この己という主体
一時も我が身を離れず
一生つきまとう
神を忘れて
大罪を
犯したら
自己嫌悪が襲う
この自己嫌悪
自己の中のもう一人の自己
執拗に責め立てる
強くあり続け
登りつめて破れた時
人ごとが降りかかる
人は騙せても
己は騙せない
己の中に神がいる
己の中の
己という主体
取り出して捨てられない
善意の同情
この有り難くないもの
却って重荷になる
勝者にとっては
敗者の痛みなど
分かるすべはない
当然という言葉
勝者のセリフ
敗者にはむごいせりふだ
他人ごとに
嫌いと思うことは
簡単で、平気にいられる
他人ごとに
感情をむき出しにしても
吐いて捨てられら
他人事とは
自分とは無関係
無責任に振る舞える
襲わなければ
襲われない
襲われる恐怖に
身構える時
異常な殺気がみなぎり
自我が凶暴になる
神を信じ、仏を信じ
我が身を委ねる時
襲われる恐怖もなく
身構える殺気もない
何もないところには
何もない