今はネットで注文する時代なのでしょう。
ネット注文の良さは、欲しい本をあちこち探し回らなくてもすぐに見つけられることです。
でも、本の状態を手にとって確認することができないので、届くまで心配なときもあります。
先日、「九州西国霊場の秘宝」という本を注文しました。
1983年に出版されたもので今は絶版です。
中古本で検索すると値段に幅があります。
一番高い15,270円から1,350円まで。
出版当時の新品の値段が28,000円ですので、中古で5,000円代はざらです。
さて、どれにするか。
実は、この本を長崎市立図書館で見たのが切っ掛けで九州西国霊場三十三カ所巡りに興味を持つようになりました。この本の半分は写真です。普段は拝観できない秘仏を近距離から撮したものも載っているので、手元に置いときたくなりました(図書館のは館外持ち出し禁止)。
さて、どれにするか、思案の末に見られればいいと安い方から2番目の1,400円のを注文しました。
それから数日後、件の本が届きました。
値段が値段だったのであまり期待していなかったのですが、箱を開けてビックリです。
私の期待は大きく裏切られました。


全く傷みがありません。古本独特の匂いもシミもなく新品同様なのです。
これには興奮しました。
この本が世に出た当時の値段は28,000円、あの頃の私の給料が手取り10万円ほどでした。
給料の1/4もする本とは…
例えば

これは私が住む諫早市にある和銅寺の秘仏十一面観音菩薩です。
ご開帳は50年に一度なので、普段は目にすることはできません。
この本は、そんな秘仏を見ることができるのです。
しかも近距離で、しかも十分な明るさで。
これまでいくつかのお寺で拝観させてもらいましたが、文化財でもある仏像の保護のために、収蔵庫の中は極力照明を落としてあります。ですから、写真集ほど鮮明には拝観できないのです。
これは先日拝観した大楽寺の仏像ですが

何という迫力でしょう。
こんな感じの写真集ですので、28,000円の価値は十分あると思います。
はたして、今回の古書ガチャ
新品同様の本を定価の5%で購入できたので大当たりでした。
実はこの本には外箱があって、その中にはもう一つあるものが入っていました。
これです。

「染筆」と書いてあるが、何だろう?
中には色紙が

「福聚海無量」
天台座主米寿恵諦とあります。
調べたら、天台宗第253代座主の山田恵諦氏の揮毫でした。
直筆なのか印刷なのかは分かりませんが、貴重なオマケも付いていました。
初めにも書きましたが、古書は手元に届くまではドキドキです。
失敗だったのは、吉井勇全集がメルカリに市場の値段の1/3ほどで出ていたので購入したのですが、届いたものはカビの臭いがひどくて部屋の中には置いとけないものでした。
購入後、臭いを取るのにかなりの労力を要しました。

現在はかび臭さが抜けたので、やっと机に立てられるようになりました。消臭に1年かかったのです。
あの時ばかりはケチらずに、全集相応の価格(相場は1万円)のものを買えば良かったと後悔したものです。
本はできるだけ増やさないようにしているのですが、どうしても必要な場合は「日本の古本屋」を利用するようにしました。
注文して手元に届くまでは、ガチャポンを回したときのようにワクワク、ドキドキです。