ロハスの思考 (ソトコト新書) 福岡 伸一 木楽舎 このアイテムの詳細を見る |
ロハス=LOHASとは、Lifestyles of Health and Sustainabilityの頭文字をとった言葉で、健康と持続可能性に配慮したライフスタイルのことであるという。なんだか健康オタクや環境問題にコンシャスな人たちを対象にした商業主義のにおいがただよっていて、これまで、あまり関心がなかった。だが、本書に関しては、著者が専門とする分子細胞生物学の立場から真摯な態度で記述されていて、科学者の良心が感じられる好著である。内容も興味深く、ていねいに書かれていて読みやすい。
健康や環境について考え、行動するには、自分ひとり、あるいは家族の健康と繁栄といった自己中心的な志向ではなく、個人の健康の維持と地球環境の持続可能性が結びつく視点を明確に持ちながら自分のライフスタイルを自分で作り出していくことが大切である。
それには、ロハスという言葉を錦の御旗にしないことである。ロハスを標榜する商品に安易に手を出さないことである。これからはロハスをビジネスチャンスとして捉えようとする動きが高まっていくにちがいない。商品を売る側からの提案を無批判に受け入れるのではなく、私たち一人一人が自らの思考と判断によって行動することで、商業主義に毒されないで真に健康と地球環境の持続可能性に配慮したライフスタイルをつくっていくことができる。本書はそのための思考法を示してくれている。
子どもの力は学び合ってこそ育つ―金森学級38年の教え (角川oneテーマ21 A 73) 金森 俊朗 角川書店 このアイテムの詳細を見る |
あたりまえのことだが、子どもの教育は「国家」や「企業」のために行なうものではない。子どもたちが、社会や自然など私たちを取り巻く環境の変化のなかでたくましく生きていく力、状況を切り開いていく力を育み成長することが教育の目標であるはずだ。本末転倒した教育論にまどわされてはならない。「学力低下」や「教師の指導力不足」といったキャンペーンに踊らされてはいけない。目の前の子どもと私たちが置かれている社会の構造をしっかりと見据えながら親と教師が一緒になって、まっとうな教育を展開していきたい。そのための指針を示してくれるのが本書である。
本書を流れている思考法を一言でいえば、私たちの学びや生きる営みを関係性の中で捉えていることであろう。個人の成長も、生きた知識の獲得も、問題状況を生み出している構造も、環境とのかかわり、社会、親、学校のかかわりとして捉えることができる。こうして子どもたち一人一人が状況を見通して適切な判断ができる力、他者と協力して困難を乗り越える力、一人の人間として自らのいのちを全うする力を身につけることができるなら、そのような教育を受けた子どもたちが将来大人になったときに自分たちが生き生きと生きるための国や企業のあるべき姿を選択、形成することができるようになるにちがいない。
☆ いのちや生きることについて子どもとともに考える本
いのちってなんだろう (子どもだって哲学 (1)) 中村 桂子,金森 俊朗,沼野 尚美,高橋 卓志,鷲田 清一 佼成出版社 このアイテムの詳細を見る |
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