ことばと学びと学校図書館etc.をめぐる足立正治の気まぐれなブログ

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「学び」続けよ!

2005年02月18日 | 「学び」を考える
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今日、私の勤める高校で卒業式がありました。卒業生が自分たちの手で作った文集に私が寄せたメッセージを転載させていただきます。

おめでとう! オメデトウ! 卒業おめでとう! 入学おめでとう!
今、諸君は、おめでとうの嵐に見舞われていることだろう。それは、苦労して何かを成し遂げたことへの賛辞、そして人生の新しいステージに立とうとしている諸君への励ましでもある。人間は一生のうちに、何度か、そういう節目を作って儀式を行い、気持ちを新たにする。昨日の自分と今日の自分は、そんなに違うとは思えないのに、節目の日には、なぜか新鮮ですがすがしい自分を感じて、気持ちがあらたまる。だから、正月も誕生日もおめでたいのである。人間とは、なんとも不思議な生き物である。

さて、そんなおめでたい人生の節目にあって、やっと勉強から解放されると喜んでいる諸君に向かって、これからも、まだ学び続ける必要があると言ったら、きっと、うんざりされるにちがいない。しかし、一人前の大人になろうとしている今この時期に必要な学びは、これまでとは違う。それは、自分を取り巻く現実社会との直接的なかかわりの中で自分を確認する作業であり、その中に組み込まれて良くも悪くも何らかの役割を果たしている自分を肌身に感じて知ることである。人生は問題の連続であるといわれるが、それは常に環境とのかかわりの中で起こり、解決される。その過程で、多様な個性を持ったかけがえのない個人がかかわり合うとき、立場や能力の違いを越えて双方に学びが生まれる。
そんな学びを豊かで実りあるものにするために心がけておくべきことがいくつかある。

読め!
 読むのは文字や文章にかぎったことではない。私たちは、映像も読めば、人の表情や気持ち、状況や空気なども読む。読むとは、ものごとの関係を把握する行為、何と何がどのようにつながっているのかを見て取ることではないか。読むことを通して、私たちは先人や同時代の人たちの経験から学び、自然や社会や人とのつながりや、過去と現在と未来のつながりを見通し、その中にいる自分を確認する。

疑え!
 言葉や情報を信用するな。といっても、人を信頼し愛することを否定しているのではない。権威にも敬意を払うべきだ。しかし、人や権威によって提供される言葉や情報は、うのみにしないでおこう。すべての知識や情報は、現実に照らしてどれくらい正しいか、自分にとってどんな意味を持つのかを吟味したうえでなければ使い物にならない。たとえ自分自身が感じたこと、考えたこと、行ったことであっても同じである。大切なのは、解答よりも、常に疑問を持ち、問い続けることである。

そして、決断せよ!
 考えあぐね、迷ってばかりいては何もできない。行動するためには決断が必要だ。行うことだけでなく、行わないことも決断すべきだ。どう行うかを決めることも大切である。自信がなくてもいい。「仮に」こうしてみようと決めることが必要である。そして、状況が変わればいつでも考えなおす心の準備をしておこう。そもそも、この世界に「ぜったい」ということはない。決断し、行動し、振り返って、修正する。その繰り返しによって人は、学び、前進する。
このような学びは、ひとつの挑戦であり、わくわくするものである。それは、学校での勉強が苦手だった諸君にとっても、きっと楽しく、得意とするところだろう。ぜひ、こうして自分の力で未知の世界を切り開いてもらいたい。
そんな思いを込めて、あらためて「卒業おめでとう!」

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