砦まえに高く積まれていた、丸太材の残り火を肴に、大将どうしは酒を酌み交わしています、将兵たちも、鬼らと、うちとけたように酒を・・・
「貴殿の鬼丸の太刀を拝みたい、私の信貞の大太刀も是非見てほしい」
「そして、貴殿のしるし首はおっしゃられるとうり、持ち帰る”」
秀郷はおだやかな表情でそう言う、鬼おさも、やはりおだやかに、
「和尚からの、ふみを受けたときに、すでに覚悟は出来ており申す」
周りの者は動揺し、またまた、敵意があらわに・・・
二人の将は、周りにかまわず、太刀の競いあいをしてのち、
空が青みがかり、夜明け近くに
頃合いを図ったように、いきなり秀郷が土下座で
「鬼丸号の太刀、我が太刀で切らせてくれ!」
鬼おさは「どうぞ、切れ味試されよ、なるかな?」笑顔です。
まわりでは、どよめきと好機のまなざしが、
「おまかせあれ」長が、抜き身を差し出す、秀郷が太刀を振り下ろす、
・・・切れた!長が「さすが信貞、見事なり”」と切り口の鮮やかさを見”そのとき!
「ゴメン!」と発するや、信貞の太刀が、今度は袈裟に振り上げられ
太刀を握ったままの、おさの利き腕をおとしました。
皆は脇に置いてある武器に手を伸ばします、両将が同時に叫びます、
「騒ぐな!控えよ!」
長が笑顔で「おぬし、臆したか?」「なんのなんの、これも和尚のもくろみであろう!」と、持ってきた血止めで処置し、
長は自分で腕を拾いあげ、渡します、
秀郷は「鬼丸の太刀」の代わりに、自らの、片手握りの名刀「長船勝光」を手渡し
「あいつめ右手だけ置いて、あの火に飛び込みよっだぞ”首は頂けぬな!」
秀郷が20人の将兵をにらむように大声で言い放ちます、
将兵たちも、鬼達も両将の見事な振る舞いに感服し、その後、すべての者が口を閉ざしました。
この後は⑥銘々鬼切りの太刀、につづく
写真入れ替え、追加し挿入しました。
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