映画の話
マヤ文明後期の中央アメリカ。ジャガー・バウは部族長の父や妻、幼い息子、仲間たちとともに平和な日々を送っていた。しかしその平和は突然崩れ去ってしま う。村がマヤ帝国の傭兵に焼き討ちされたのだ。目の前で父を殺されたジャガーは、捕まって都会へと送られる。各地で捕縛された人間が奴隷として売り買いさ れる都会。そこで彼を待っていた運命は、あまりにも過酷なものだった…。
マヤ文明の崩壊前夜を描いたメル・ギブソン監督のアクション大作だ。俳優は全て無名の素人たちで、セリフは全篇マヤ語で進行する異色作でもある。
無名の俳優陣に対してスタッフにはメル・ギブソンとは関係の深い最高級のプロフェッショナルが集まった。まず撮影監督に『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でアカデミー賞を受賞したディーン・セムラー。音楽には『タイタニック』『ブレイブ。ハート』などで知られるジェームズ・ホーナーだ。本作ではパーカッションと尺八かパンフルートと人間の声によるシンプルであるがダイナミズム溢れるスコアで映画を盛り上げる。
メル・ギブソン監督作は『顔のない天使』以外、『ブレイブ・ハート』『パッション』と全て過激な暴力描写がしばし問題とされるが、本作も過激な暴力描写満載の作品で日本の上映はR-15指定とされている。
本作はデジタル撮影をフィルムに変換した為に、激しいアクションシーンで動きボケが頻繁に出てしまうのが難点。
オープニングに狩を通して村人たちのキャラクターを活き活きと冗談を交えながらコミカルに人物紹介をしていて表現が現代流で実に取っ付き易いく、父と子、婿と姑など、つかの間の平和な村の風景を印象的に描いている。しかしメル・ギブソンの本領発揮は、村人が町から来たマヤ帝国の傭兵に襲われてから怒濤の残酷描写が続く。無残に殺されていく者と捉えられ奴隷のように扱われる者や逃げ延びる者、一瞬のうちに運命が翻弄される村人たちの様子を克明に描く。
捕らわれたものたちは、腕を後ろ手に縛られ、首は竹の棒に縛り付けられ一列に数珠繋ぎに町に連れて行かれる、その大人たちをどこまでも追いかける子供たちの姿が悲しい。村から町までの過酷な道中は、村人を人間扱いをしない意地悪な傭兵や、激しい川の横断と崖から転落の恐怖や、マヤ帝国の崩壊を予言する少女など要所要所つぼを抑えた演出が冴える。
そして、村人たちが初めて目にする文明、マヤ帝国の全貌が明らかにされる。
映画の感想
これは面白い。出来れば予備知識無しで見たほうが面白いと思われる。メル・ギブソン監督の前作『パッショッン』は重々しく痛々しい映画であったが、本作は前半から中盤にかけてはかなり苦痛を強いられる展開ではあるが、話の面白さと卓越した演出でグイグイと引き込まれていく。そして、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」のような奇妙奇天烈なマヤ帝国の描写から人間狩りに変わる後半が面白い。村に残した妻と息子の為に主人公が傭兵に追われながらひたすらジャングルを駆け抜ける展開であるが、人間の肉体の限界とCGを取り入れたアクション演出が素晴らしく、断崖際立った滝つぼへのダイビングや、動物絡みのアクション、憎き傭兵との一騎打ちから大親分との一騎打ちなど見ていてハラハラドキドキの連続で、ギブソン作品でここまで娯楽色の強い作品は初めてで、ギブソンの監督としての才能に拍手を送りたい。それから、以前からギブソン作品を支えてきたアクションコーディネイトとセカンド監督を務めたミック・ロジャースの存在も大きかったようだ。映画は第一級の秘境を舞台としたアクション娯楽作であり、暴力描写が苦手でなければ十分に楽しめる作品であり、久しぶりに映画を見ていて興奮した作品でもあった。
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マヤ文明後期の中央アメリカ。ジャガー・バウは部族長の父や妻、幼い息子、仲間たちとともに平和な日々を送っていた。しかしその平和は突然崩れ去ってしま う。村がマヤ帝国の傭兵に焼き討ちされたのだ。目の前で父を殺されたジャガーは、捕まって都会へと送られる。各地で捕縛された人間が奴隷として売り買いさ れる都会。そこで彼を待っていた運命は、あまりにも過酷なものだった…。
マヤ文明の崩壊前夜を描いたメル・ギブソン監督のアクション大作だ。俳優は全て無名の素人たちで、セリフは全篇マヤ語で進行する異色作でもある。
無名の俳優陣に対してスタッフにはメル・ギブソンとは関係の深い最高級のプロフェッショナルが集まった。まず撮影監督に『ダンス・ウィズ・ウルブズ』でアカデミー賞を受賞したディーン・セムラー。音楽には『タイタニック』『ブレイブ。ハート』などで知られるジェームズ・ホーナーだ。本作ではパーカッションと尺八かパンフルートと人間の声によるシンプルであるがダイナミズム溢れるスコアで映画を盛り上げる。
メル・ギブソン監督作は『顔のない天使』以外、『ブレイブ・ハート』『パッション』と全て過激な暴力描写がしばし問題とされるが、本作も過激な暴力描写満載の作品で日本の上映はR-15指定とされている。
本作はデジタル撮影をフィルムに変換した為に、激しいアクションシーンで動きボケが頻繁に出てしまうのが難点。
オープニングに狩を通して村人たちのキャラクターを活き活きと冗談を交えながらコミカルに人物紹介をしていて表現が現代流で実に取っ付き易いく、父と子、婿と姑など、つかの間の平和な村の風景を印象的に描いている。しかしメル・ギブソンの本領発揮は、村人が町から来たマヤ帝国の傭兵に襲われてから怒濤の残酷描写が続く。無残に殺されていく者と捉えられ奴隷のように扱われる者や逃げ延びる者、一瞬のうちに運命が翻弄される村人たちの様子を克明に描く。
捕らわれたものたちは、腕を後ろ手に縛られ、首は竹の棒に縛り付けられ一列に数珠繋ぎに町に連れて行かれる、その大人たちをどこまでも追いかける子供たちの姿が悲しい。村から町までの過酷な道中は、村人を人間扱いをしない意地悪な傭兵や、激しい川の横断と崖から転落の恐怖や、マヤ帝国の崩壊を予言する少女など要所要所つぼを抑えた演出が冴える。
そして、村人たちが初めて目にする文明、マヤ帝国の全貌が明らかにされる。
映画の感想
これは面白い。出来れば予備知識無しで見たほうが面白いと思われる。メル・ギブソン監督の前作『パッショッン』は重々しく痛々しい映画であったが、本作は前半から中盤にかけてはかなり苦痛を強いられる展開ではあるが、話の面白さと卓越した演出でグイグイと引き込まれていく。そして、「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」のような奇妙奇天烈なマヤ帝国の描写から人間狩りに変わる後半が面白い。村に残した妻と息子の為に主人公が傭兵に追われながらひたすらジャングルを駆け抜ける展開であるが、人間の肉体の限界とCGを取り入れたアクション演出が素晴らしく、断崖際立った滝つぼへのダイビングや、動物絡みのアクション、憎き傭兵との一騎打ちから大親分との一騎打ちなど見ていてハラハラドキドキの連続で、ギブソン作品でここまで娯楽色の強い作品は初めてで、ギブソンの監督としての才能に拍手を送りたい。それから、以前からギブソン作品を支えてきたアクションコーディネイトとセカンド監督を務めたミック・ロジャースの存在も大きかったようだ。映画は第一級の秘境を舞台としたアクション娯楽作であり、暴力描写が苦手でなければ十分に楽しめる作品であり、久しぶりに映画を見ていて興奮した作品でもあった。
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