発がん性物質の混入、濃度の高い農薬を使用した野菜、汚染された土壌で育った家畜、非衛生的な食材、他国では使用禁止となっているような薬品や添加物の使用等々ーー中国の食の安全に関する心配は解消されたのでしょうか。
残念ながら解消されたというような事は聞いていませんし、中国内での報道もありません。
中国の一般家庭では、残留農薬を除去するため、野菜を食べる前には流水につけておいたり、野菜用の洗剤で洗うなどしています。
多くの消費者が「高濃度の残留農薬があることが当たり前」と認識しています。
そして、海外から中国産の食品が大きな非難を受けている事も重々承知していると思います。
日本と中国で行なわれた比較世論調査では(2008年の調査ですが)、中国産食品の安全性に「不安を感じる」と答えた日本人は96%に達し、同じ質問に対して何と
79%もの中国人も「不安を感じる」と答えています。
そこで、近年「安全な食べ物」に対する注目度が上がっており、必然的に日本食品に対する需要が多くなっています。
これまで中国で日本食品を購入するには、大手デパートやスーパー、現地在住の日本人相手の食品店に限られていましたが、商魂逞しい中国人の事ですから、一般の店でも日本食品を販売するようになってきました。
日本食品は一般国内食品よりも高価であるとの認識が中国内でも浸透してますから。
(写真は四川省のイトーヨーカ堂ですが、ここには私も何度も行きましたが、日本食品も販売している割には、日本人は殆んど見当たりません。
現地の中級以上の消費者をターゲットにしています。)
こうなると金儲けの為には何でもするお国柄ですから、最近は日本産を騙った偽物が出回るようになりました。
中国産食品を日本産と偽って、高価で販売するわけです。
こうなってしまうと、デパートや大手スーパーで販売している日本食品まで偽物ではないかとの疑う人々が出てきたとの事。
こうなるとどうなるかというと、一般消費者特にお金が豊富な富裕層はネットなどを利用して日本から直接購入する様になってきています。
日本から直接輸送してもらえば、中間業者が入る事がないので、産地の偽装は確実に防げます。
ちなみに日本からの直送製品で人気になっているのは、食品以外に化粧品、健康食品、ベビー用品、生活用品などもあります。
やはり女性の利用が多いようです。
これらの流行は、中国で、或いは日本に居て中国を相手にビジネスをしてみたいという人にとっては、大きなビジネスチャンスになります。
裕福な消費者が、国内の製品ではなく、日本の製品をぜひ買いたいと大きな声を上げているのですから。
昨年の中国の輸出入総額がGDPに占める割合は65~70%に達しており、バブル時代の日本の30%を軽く超えており、貿易黒字がGDPに占める割合も5~10%で、当時の日本の4.1%より高くなっています。
しかし、PPP(購買力平価)換算で見た中国の1人当りGDPが6000ドル前後であるのに、バブル時代の日本は20,000ドル以上でした。
この数字は何を意味するかというと、中国にはまだまだ経済的な調整余地が当時の日本よりも大きいという事です。
中国に進出するのは、まだまだ遅くありません。