前回に引き続いて、「ものづくり中堅中小企業の中国市場開拓戦略」講演の報告書を投稿します。
中国の場合は、政治と経済が深く結びついているという事を改めて感じました。
中国進出する場合も、どの地域に?どんな製品を?どのように?などを検討する場合に、中国政府の外交方針、経済政策等を注意深く読み取る必要があります。
3)日中韓2020ビジョンに関して:
・6月に済州島で開催されたこの会議の目的は、東アジアに共存共栄の共栄圏
を作るためには、北朝鮮をソフトランディングさせる事が必要であり、
その方法が議題になった。
・中国は政治・経済までは良いが、軍事まで共栄圏を作ると欧米から目を
付けられるので、事務局は韓国に設置せざるを得なくなった。
・共栄圏を作るために、三江平原・東北3省の開発が推進されている。
黒龍江省、遼寧省、吉林省
現在 「農墾」という言葉が作られ、日本語では屯田兵であるが、米の
生産を増やし、北朝鮮に援助輸送する。
吉林では化学産業を振興し、長春では自動車工業を振興する。
・物流は韓国が担当するが、釜山から北朝鮮の羅津・先峰を通って
ウラジオストック・ナホトカを経由して東北3省に鉄道建設。
・ソ連のイルクーツクからモンゴルのウランバートルを通り、天津までの鉄道
を開通させる。
別のルートではロシアから満州里を通って、大連までの物流を完成させ、
原木をロシアから運び、モンゴルで二次加工を行ない、大連から輸出にする。
4)人民元について
・人民元は2005年7月の人民元の初の切り上げ時を基準にして、
その変動率を元高・元安の基準にしている。
最近は約20%人民元高になっており、25%まではこのままで行くのでは
ないか。
・政治的にはイスラエルがイランを攻撃したいと考えているが、その場合
中国はイランに協力する。そのなった場合は欧州からの元切り上げ要求が
更に強くなるので、中国としては自嘲気味にしている。
・貿易では建値を人民元にする事を政府として推進しており、東南アジアや
アフリカ諸国に要求している。
・人民元切り上げにより、日本企業の現地生産工場からの(日本の親会社等
への)輸出では不利になるが、中国への輸出では有利になるなど、その
企業の業務形態によって、不利と有利が決まる。
・講師としてはもっと人民元高になれば、日本への中国製品の価格が高くなる
ので、日本国内産業を保護するためにも歓迎するとの見解。
5)中国との取引きに関して
・中国は日本以上に法事国家であるので、何か問題があると裁判等の法律
に頼る傾向が強いし、中国人は日本人以上に法律に詳しくて明るい事を
認識しておくべき。
そのために日本の会社が中国と契約する時は、契約書を弁護士なりに
確認してもらい、抜け目がないようにすべき。
埼玉県の対中ビジネス代表所が上海に開設され、優秀な現地貿易
コンサルタントを紹介出来るので、まずそこに相談するのも一つの手である。
・中国は日本企業の技術やノウハウやのれんを欲しがっている。ここが
アメリカのハゲタカとは違い、良心的である。
自社に優れた技術があれば、自社で中国に進出するよりも、中国企業に
会社を買って貰い、製品を中国に出荷するのも一つの優れた会社方針
である。
・中国に進出するには、単独ではなくて、スイス・シンガポール・香港の
エージェント(代理店)を使うべきである。
これらの国の代理店となるべき会社は常に日本や中国の市場を研究・調査
しており頼りになる。
以上
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