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And This Is Not Elf Land

JERSEY BOYS (その①)

原風景のある音楽…

NY滞在最終日を飾るにふさわしい、素晴らしいBroadwayショーでした。

このJERSEY BOYS(ジャージー・ボーイズ)は2005年暮れにオープンして以来、今も一番人気のショーです。昨年も「大きな期待をもって」観たのですが、席がよくなくて(PVに近い…分かってはいたけど、あれは↓だった)、気持ちも盛り上がらないままに終わったという経緯があります。

そして、今年は思い切って…プレミアシートでの観劇になったわけでして…その「プレミアシート」如きに慌てる私の小市民振りがこちらこちらでも書いております(汗

ついでに、もうひとつ「小市民的エピソード」を言わせてもらうと、この日、私は午前10時にBox Officeでチケットをゲットして、ショーが始まる2時までマンハッタンで時間をつぶすつもりだったのですが、プレミアシートだったばかりに、ブルックリンのお宿へ服を着替えに戻ったのでした。

ま、こういう「くどくどした」話はもう終わりますよ(苦笑

ちなみに、昨年の観劇レポートはこちら

昨年とのトーンの違いは…もちろん、今回は座席が良かったのと、もうひとつは「白人ベビーブーマーばかり」という独特の観客層に私が慣れたことにもよる…と思いマス



さて、JERSEY BOYSは1960年代初め、イギリスからビートルズがやってくる直前、アメリカで大人気が爆発し、その後もコンスタントにヒットを飛ばし続けた4人のグループ、The Four Seasons(フォー・シーズンズ)の軌跡を彼らのヒット曲を交えながらミュージカルにしたものです。

とかく、このような「ジュークボックスもの」はミュージカルの亜流と見られがちでなのですが…なんと、このJERSEY BOYSは2006年トニー賞「ベスト・ミュージカル」を取ったばかりでなく、「最優秀主演男優」「最優秀助演男優」まで取ってしまったという作品でもあります。

New Yorkばかりでなく、Chicago, Las Vegas, 全米ツアー…と、アメリカ国内だけでも複数のカンパニーが上演しているだけでなく、先日Londonでもオープンしました。オーストラリアでも近々オープンの予定です。

(こういう流れになれば、来日公演期待!東京厚生年金か渋谷公会堂あたりでやって~♪)


さて、フォー・シーズンズの4人が生まれたのは、ハドソン川を挟んだNYの対岸に当たるJersey Cityでした。ここは埋立地で、小規模工場が並び、貧しいイタリア系が多く住む地域でした。オープニングから、夕闇に浮かぶ寂れた町のシルエットがステージいっぱいに広がります。(日本でも、昭和30年代には首都圏の下町を舞台にした映画が数多く作られましたが、ああいうイメージでしょうか)そして、ステージには、むき出しの鉄骨の高架橋もセットされています。

ブルックリン滞在7日目で、改めてこういう風景を見ると、本当に胸がいっぱいになるのです。今でも、NYの華やかな地区を一歩出れば、こういう寂れた町並みが目の前に広がります。そこに暮らす移民の若者たち…「彼らにはどんな将来が?」と思わずにいられませんでしたから。

このショーでは、彼らが華やかなショー・ビジネスの世界に入ってからでも、この風景は時々ステージに浮かび上がります。高架橋も、あるときはホテルの通路に、あるときはステージのロフトへと役割を変えながらも、それでもステージから取り除かれることはありません。

公式サイトで知ったのですが、このJERSEY BOYSの舞台美術はGeorge Ticeという、Jersey City生まれの写真家の作品からイメージを得たものであるようですね。


Tice氏は故郷だけでなく、様々なアメリカの都市の片隅で生きる人たちを撮り続けました。あくまでも「音楽」がメインのショーでありながらも、このように細部まで拘りを見せた作りになっているからこそ、彼らの音楽の世界が五感を通して染み入ってくるのでしょう。「音楽」って「耳」から入ってくるだけじゃないんですよね…


当時の4人の若者たちには、将来の選択肢と言えば、軍隊に入るか、「組織」の使い走りをして小遣いを稼ぐか…それくらいしかなかったといいます。

オープニングは彼らの往年のヒット曲Oh What a Night!のフランス語版Ces Soirees la'から始まります。これは2000年にフランスでヒップポップアレンジで大ヒットしました。(実際、先日セネガル出身の人を車に乗せていたとき、この曲をかけると「あれ、この曲、フランス語圏で大ヒットした曲ですよ。僕もよく知ってます」と言われました)


そこで、彼らの生み出したものが時代を超えて生き続けていることを改めて知らされてストリーが始まるわけですが、最初のヒット曲Sherryに到達するまでに40分ぐらいかかります。

そのあたりは改めて書きます。

真向かいのNeil Simon TheatreのHAIRSPRAY(ヘアスプレー)の客層は十代が圧倒的に多かったですが、このJERSEY BOYSは相変わらず50-60代の白人でいっぱいでした。取り上げている時代は似通っているのに…面白いですね。
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