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And This Is Not Elf Land

JERSEY BOYSトレーラーから



公開された2分余りのトレーラーをいろいろ語ってみる。(ネタばれ注意!)


何度も何度も繰り返して観ているクリント・イーストウッド監督によるブロードウェイ・ミュージカルJERSEY BOYSの映画版。そこから見えてくるものを語ってみます。

繰り返しますが
「日本全国ネタばれ注意」です(笑)



JERSEY BOYS映画化で、一番気がかりだったのは「はたして、第4の壁を上手く取り壊せるのかどうか…」ということでした。舞台というのは、観客は、いわゆる第4の壁を通してのみ作品を鑑賞することになります。JERSEY BOYSは限られたアングルからのみ鑑賞する舞台としては、構成も演出も、完璧な作品なのです。でも…映画は、360度アングルをくるくる変えながら映像化します…これ、やり方が下手だと、本当に陳腐なものになってしまって…舞台作品の映画化が失敗してしまうのは、ここをクリアしてないからだと言えます。

特にJERSEY BOYSはショービジネスの世界を描いていて…これ「オペラ座の怪人」でも同様のことが言えますが…舞台を見る観客は、実際の観客でもある一方で、劇中の観客になったりもします。映画になると、それはできないのでね~「オペラ座の怪人」の映画化が失敗作と言われる理由の一つも(日本でのみ大ヒットしてますがね…苦笑)このあたりの扱いが不十分だったのでしょう。

それでですね…このトレーラーを見る限りでは…正直「そんなに悪くない」と感じました。パフォーマンスを見せられるのはほんの数か所ですが、狭いスタジオだったり、小さなホールだったりなど、変化に富んでいるし、振付は舞台と同じくセイルジオ・ツルヒーヨが担当しているんですが、映画的に見栄えのする振付になっているし、まぁまぁ良い感じだと思いました。パフォーマンスのシーン関しては「目玉」であるはずの「君に瞳に恋してる」「Walk Like a Man」のシーンは封印されていますからね…まだまだ見どころはあるでしょう。

また、最初にトミー・デヴィートがフランキーを舞台に上げるシーンで「フランシス・カスタルッチオ」ではなくて「フランキー・ヴァリ」と紹介しているところが気になりました。また、トレーラーを見ている限りでは、ボブ・ゴーディオがフランキーと初めて出会うのも同じクラブのように見えるんですが(だって、フランキーの服が同じだし…)この辺は簡略化されているのかな~?フランキー・ヴァリ氏によれば、映画は2時間弱になっているそうだから…ボブが加入するまでのあれこれは省略されているのだろうか?と思ったり…しかし、ボブの隣にジョー・ペシ役の姿が見えるので、やはり彼が一役買ったという設定にはなっているのかもしれません。


それよりも、映画化に当たっては、もっとも気になっていたところというのが「ナレーション」の扱いでした。舞台では、何度もここで述べていますように、役者たちの独白、傍白が非常に効果的に機能していて…ハッキリ言って、これがないとJERSEY BOYSじゃない!…というか~しかし、これ、スクリーンでやると、どうなるんだろ???と、ずっとずっと気がかりでした。

しかし、トレーラーを見ると…なんと、もう「逃げも隠れもせずに」(!)堂々とカメラ目線で語っているじゃありませんか!なんか、ここまでやられると気持ちいいもんですよ!私は嬉しくなりました。映画で初めてJERSEY BOYSを御覧になる方は、この作品はこういうもんなんだと思って観てください。トレーラーの中では、ボブ役、ニック役、トミー役が、舞台と同じくカメラ目線で語っていますが、フランキー役のジョン・ロイド・ヤングはどうするんでしょ?私としては、ジョンにはカメラ目線じゃない語りをしてほしい気もします。その方が、変化があっていいんじゃないでしょうか?彼は、良くも悪くも、「上手すぎる」んでね(笑)あの、ボーリング場のネイオンサインを観た時の反応の表情も、上手いもんですよ。

「語り」というと、「4人の中のリンゴ」であるニック役は無名に近いマイケル・ラメンダが演じているんですが、映画中においても、ニックの重要な語りはしっかり残されていて、これもよかったと思いました。ニックの役は、ストリー上非常に重要なものなのですが、映画でも、この役は決して軽視されていないという印象を持ちました。

例のフランキーとボブが「秘密の契約」を交わすシーンも、それを耳にしてしまうニックの表情もしっかりととらえられていました。(しかし、このシーンは舞台の圧勝だね。舞台だと、ドラムセットの前でかわす「契約」と、キャットウォークの上で煙草をふかしながら見守るニック。映画だと「家政婦は見た」みたい…苦笑)

ニックと言えば、女性好きで鳴らした人だったということですが(笑)双子の美女を口説くシーンがあるのも意外な驚きでした。これに近いシーンは舞台にもありまして、この「双子ネタ」というのが、ちょっとポリティカリーインコレクトな表現になっていまして、これは映画ではカットだろう…と思っていたのですが、近いネタを残しているようですね。舞台を観た人はニンマリでしょう。JERSEY BOYSはコメディ要素のある小ネタもたくさん散りばめられていまして、これが脚本の優れたところでもあるんですが、こういう「ネタ残し」を見ると、映画全体の出来栄えにも期待してしまいます。

 
とにかく、トレーラーを見る限りでは、舞台で聴きおぼえのある台詞がどんどん出てくるんですが、舞台ではニックが階段に腰掛けながら「俺たちはすべてを手に入れたけど云々」に近い台詞を、高利貸しのワクスマンに言わせたりもしているようですね…とにかく、この作品そのものの言葉の面白さは、多少「手を変え品を変え」ではあっても、その要素はそのまま映画でも再現されているようです。

あとは、例のパーティーのシーンやボブのガウンのシーン(?)そのままあるようです。また、フランキーとマリーのウェディングのシーンがあるのも嬉しい驚きでした。舞台のほうはハードボイルドで貫かれているようなところがあって、こういう華やかなシーンはありませんしね…っていうか、この作品の中では「女性は誰も幸せにはならない」んでね…なんか、嬉しいじゃありませんか!だいたい、ジョン・ロイド・ヤングの結婚式シーンなんて、先の映画の男性同士の結婚式しかありませんでしたから、なんか新鮮ですわ!

また、例の夜の教会でハーモニーの練習をするシーンもあるようですね。確かに、IMDBを見ていますと、このときにニックを拘束するスタンレー巡査役もクレジットされていますので、ここも忠実に再現するんでしょう。とにかく、トレーラーは思ったよりも良かったです。舞台作品の魅力が、過不足なくギュッと凝縮されていて、緊張感のある映画に仕上がっていることを期待したいと思います。

欲を言えば、ジョン・ロイド・ヤングがあと5歳若かったら…と切なくなるシーンもあるんですがね(…)まぁ、劣化と闘いながら(?)熱演してくれていると思いますよ(笑)


これからしばらくはお祭ですな~

ところで
GWにNYに行く人は、
絶対にJERSEY BOYSを見てね!!!(←必死)
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