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And This Is Not Elf Land

SEINFELD 3-18 The Limo(危ない人に成りすましちゃった…)


SEINFELD(となりのサインフェルド)3-18、The Limo(出来心から渦中の人)。

Larry Charles脚本によるエピソードから。

Chicagoから戻ってくるJerryを空港まで迎えに行ったGeorge。しかし、途中で車が故障して動かなくなってしまいました。帰路、車は使えません。

SEINFELDでは、友だちを空港まで迎えに行くシーンがとっても多いんですが、実際にNew Yorkerたちは、よくそうするんでしょうかね?(地下鉄でもバスでも使えばいいものを…)

そんな中、目に入ったのが「O’BRIEN」というサインを持って迎えに来ているリムジンのドライバーでした。


JERRY: I'll tell you one thing, this chauffeur's gonna be waiting a while, O'Brien's not showing up…. He was in Chicago, the flight was overbooked, wouldn't let him on the plane. He kept screaming how he had to get to Madison Square Garden.
(言わせてもらうけどね、あのドライバーさん、どれだけ待っていてもO’Brien氏は来ないよ。…彼はChicagoにいたよ。でも、飛行機が予約超過で搭乗できなかったんだ。「マディソン・スクエア・ガーデンまで行かなきゃならないのに、どうすりゃいいんだ!」と叫んでいたよ。)

GEORGE: We should take his limo…. You said he's in Chicago.
(じゃあ、僕たちがあのリムジンに乗ればいいじゃん。…本物は確かにChicagoにいるんだよね。)

JERRY: How would we do it?
(でも、どうやるのさ?)

GEORGE: We just go up to him, we say, "We're O'Brien."
(そばへ行って「僕たちがO’Brienだ」と言えばいいんだよ)

JERRY: Maybe he knows O'Brien?
(でも、彼はO’Brienを知っているかもしれない。)

GEORGE: No, he doesn't know O'Brien, if he knew O'Brien he wouldn't have a sign. Let's just do it.
(いや、そんなはずはない。知らないからO’Brienと書いたサインを持っているんだろう。やればいいんだよ。)

ナルホド…
感心してる場合じゃありませんけど(笑)

JERRY: What if we get caught?
(もし、見つかったら?)

GEORGE: What's gonna happen? They can't kill us.
(別にどうってことないさ。殺されるわけじゃあるまいし。)


しかし、この発想…
Georgeが「こんな会社辞めてやる!」なんて啖呵を切って飛び出して、次の日に「あれ冗談だったんだ~」なんて出社していくシーンと同様、彼らしくって好きですね。もう、人生で何も失うことがない者の強味(?)ですよ…

で、GeorgeはO’Brienになり、JerryもついでにDylan Murphyになりすますことにします。Dylan Murphyって、アイルランドのコメディアンにそういう名前の人がいたと思うのですが…この偽名の出所は明らかにはされません。

しかし、この「濃い」二人が、アイルランド人の名前を持った二人??

THE PRODUCERS(プロデューサーズ…舞台版のほう)にも、黒人がアイルランド訛りで喋ってて突っ込まれるシーンがありますが、この二人がO’BrienとMurphyなんて…これも殆どネタですよ(笑)

そして、二人はリムジンに乗って大はしゃぎ。ここは、同じLarry CharlesによるThe Tripの中で、やはりJerryとGeorgeがパトカーで大はしゃぎするシーンと似ていますね。

そして、Georgeは車内からママに電話します。このシーズンでは、Georgeの名物ママはまだ登場しないのですが、Georgeのひとりの電話語りからでも、殆ど会話が成立しない親子の様子が見えるのが笑えます。

そうこうしているうちに、ドライバー氏が「マディソン・スクエア・ガーデンのチケットを4枚用意した」と言ったことから、これがMichael Jordanの試合を観戦できるんだと思い込んだ二人は、早速ElaineとKramerに電話をかけて誘うのでした。(オメデタすぎる…でも、こういうのって、その後の予想外の展開への布石でもありますね、コメディでもシリアスでも…)

しかし、ドライバーが「党員二人を乗せなきゃいけないので…」と高速を降りた頃から、何やら危うい空気に…

党員ってナンなのさ…?

そして、乗り込んできたのは男女二人。女性の方は初めて会うO’Brienに興奮気味で「貴方のためになら死ぬことができます!」なんて言い出す始末。男性の方は最初から何やら疑っているような目をしています。

EVA: We are really looking forward to your speech tonight.
(あなたの今夜のスピーチ、私たち楽しみにしていますの。)

GEORGE: Uh, my speech?
(あー…、スピーチ?)

EVA: Yes, your secretary faxed me the copy. Would you like to look it over?
(ええ、貴方の秘書がコピーをファックスしてくださいましたわ。もう一度、見直されます?)

な…何のスピーチ?マディソン・スクエア・ガーデンはNBAじゃないのか?
恐る恐るコピーを読むGeorge。

GEORGE: ...and the Jews steal our money through their Zionist occupied government and use the black man to bring drugs into our oppressed white minority communities.
(…そしてユダヤ人は政府を占めているシオニストたちを通して我々のお金を盗み、黒人を使って我々の抑圧された白人少数派のコミュニティーに麻薬を持ち込み…)

あらら~

その頃、マディソン・スクエア・ガーデン付近は多くの群集で溢れていました。
ニュースレポーターもやって来ています。

なんでも、それまで姿を見せることのなかったアーリア人連合のリーダー、O’Brien氏が初めてNYに姿を現すとのことで、反対デモが起きている。O’Brien氏はヒットラーを崇拝し、政府転覆をも狙っていると言われているらしい。

その頃、リムジンの中ではJerryとGeorgeが銃を発見してビックリ…
そのうちに、男性党員の方は

TIM: You know it's funny. You don't look like an O'Brien.
(でも、おかしいな。あんたはO'Brienって感じじゃないんだが…)

GEORGE: Me??(僕?)

TIM: And you really don't look like a Murphy.
(で、あんたも全然Murphyって感じじゃないよな。)

JERRY: I may not look like a Murphy but I act like a Murphy.
(僕はMurphyには見えないかもしれないけど、Murphyらしく行動してるし。)

Jerry節をかましてる場合じゃないんです~

GEORGE: He's extremely Murphy. He's Murphy to a fault.
(彼はガチでMurphyですよ。まったくもってMurphy!)

TIM: Where are you from?
(あんたはどこの出だ?)

JERRY: Dublin. Originally. Parents came over here when I was eighteen. Cereal famine. Couldn't get a bowl anywhere. Bad. 'Tis a beautiful country though; lush rolling hills, and the peat, ah the peat.
(ダブリン…元々の生まれはね。18歳のとき両親とこっちに来た。穀物(シリアル)飢饉でね。一杯さえ手に入らなかったんだよ。でも美しい国だった。なだらかな丘と泥炭地…)

TIM: Sounds more like Scottish.
(スコットランド人みたいな言い方だな。)

JERRY: We were right on the border.
(僕たちは国境近くに住んでいたんです。)

スコットランドとアイルランドは陸続きではありません!


結局、本物のO’Brien氏から電話が入って、「君たちは偽者だろう!」と見破られてしまうんです。

そんな緊迫した中で、Georgeが「屋根の上のバイオリン弾き」のIf I Were A Rich Manを口ずさんでしまう…というネタまであります(笑)

そして、George as O’Brienを乗せたリムジンはダウンタウンにやって来ました。
車の中では党員に脅され、リムジン自体がデモ隊に取り囲まれ…最悪の事態に。「どうなっちゃうの~?」という、何ともいえない不安(?)を見る側に残したまま話は終わります(笑)
こういう終わり方はThe Operaと同じ。

最後はKramerもJerryとGeorgeがアーリア人連合のリーダーなんではないかと疑ったり(だって、Jerryはキレイ好きだし~)そのうちに、二人は実はCIAの諜報部員なんではないか…コメディアン・Jerryは世を忍ぶ仮の姿なんだ!と言い出したり、Kramerの妄想ぶりも相変わらず可笑しいです。私的には、KramerがMicahel Jordanの真似をしてゴミ箱の上にひっくり返るシーンもツボだったりします。

あとは、勿論極右団体はとんでもないですけど…とにかく、みんなのヒステリックさが半端じゃないのが何ともはや…ですわ。人間社会の、一番見たくない部分ですよね。SEINFELDだから笑っていられますが。

しかし、この二人がO'BrienとMurphyになりすますなんて…「出来心」と言うよりは、ボケすぎ!としか思えませんよ。私が「私のミドルネームはエリザベスなの」と言ってるようなもんだと思うんですが(笑)違う?


それと、これはいかにも90年代までの話。
ひとり一人が携帯電話を持っている今日では成立し得ない展開でしょう。
ま、SEINFELDの話の多くもそうなんですが、とにかく携帯電話普及のせいで…「行き違い」「すれ違い」ってのはネタにならなくなってしまいました。
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