今見てもSEINFELDでのMichaelのパフォーマンスは素晴らしいし、sitcomの歴史に残るような人気キャラクターだったのに…残念ながら、演じたMichael Richardsの品性と知性には大きな「?」がついてしまいました。
先日、こちらで取り上げましたところ、同じくSEINFELDファンのベル様やファイアー様がコメントを書き込んでくださいました。どのコメントも今回のMichaelの騒動やSEINFELDのことから始まって、差別について、「笑い」について…本当に内容の濃い意見を寄せてくださいました。本文よりも充実していますので(笑)、コメント欄もお読みください。
さて、アメリカ在住のベル様はNBCの「Last Comic Standing」という番組で、Josh Blueという全身が麻痺しているという障害を持つコメディアンが活躍したことから「笑いとは不思議なもの。その人の人となり(育った背景、知性等等)が出るんだな~と改めて思った」と言われました。
私は、日本ではSEINFELD自体が知名度が低いことから、今回のニュースは日本では全く取り上げられていないけれど(Mel Gibsonのときと違って…)、「SEINFELDの中でKramerが歯医者の麻酔が効きすぎて口元が麻痺し、涎を出しながら不自由な話し方をしていたら知的障害者と間違われたパフォーマンスが大喝采を浴びて、何故、今回のこれが非難を浴びるのか、日本人にはピンと来ないのではないか。」とレスの中で書きました。
ベル様は「SEINFELDの登場人物は風変わりな人ばかり。だから、フィジカリー・チャレンジドの人々が”普通”に扱われるのではなく、Jerry達が彼らと対等に扱われているのかなと思える。こういうセンスはLarryやJerryの卓越しているところ」であるとも。
また、国内外のコメディに関心を持っておられるファイアー様は「何を笑うのか、何が笑えるのか・・・Seinfeldが画期的だったのは、まったくベル様が仰るように、usとthemを区別せずにおんなじ地平でジョークのネタにし、しかも諷刺でも政治的でもなく、ごくごく普通のコメディにした、ということ…ただ、こういうことがさらっとできる土壌はまだないし(日本はもちろんのこと)、LarryやJerryの才能は、特異なものだろうな、とも思う」と。
(かなり大雑把に要約しています。コメント欄をお読みください)
本当にありがとうございました。
私が長年「漠然」と感じていたことを言葉にしてくださいました。
ま、ここで私がまたまた余計なことを書かなくてもいいようなものなんですけど(笑)
みなさまのコメントを読んでいて改めて実感できたのは、SEINFELDやこれと似た雰囲気のコメディ(プロデューサーズなども)というのは、人間の無意識の中にある、言い表しようのないような、ちょっとした「違和感」としっかり向き合い、知性と感性の風味を加えて上手く料理しているということです。
異なる人々と共に生きるのは、なんだかんだ言ってもストレスを感じること。「差別はいけない」「偏見を持たないように」…みんな頭では分かっている。だから、表だって偏見に満ちたことを言う人はいない(はず)。でも、本当に心の底から、どのような人たちに対しても、何のこだわりもなく、分け隔てなく付き合える人は…いるとしても、ごくごく少数ではないでしょうか。あるいは、最初はこだわりなく付き合うんだけれど、でも「自分と違うバックグラウンドを持つ人は何となく疲れるな」と思ってしまう…というのは人としてむしろ正直な気持ちなのでは…
SEINFELDなどが面白いのは、この「なんとなく違和感」ってところをしっかり認めている。この「違和感」というものと「社会に生きる者として正しく振る舞う」ということの隙間を突っついてくるから面白くて痛快なんだと思う。(そこには善人ぶる人の「嘘」を笑うという要素も、もちろん含まれる。)
もちろん、先日のMichaelのやったことはここから大きく逸脱してしまっていますよね。
「問題外」ですね。
また一方では、こういうのは「違和感」というもの自体を否定してしまって、そこに蓋をしてしまっても、生まれないものなのですよ。日本はむしろここじゃないでしょうかね。これは異質な人たちとの共存という経験がまだまだ浅く、人々の考えも未分化だからだろうと考えるのですが。
「差別をしてはいけない」というのは「違和感を持つな」ということではないのです。(心の奥底にある思いを全否定してしまうと、心は不自由になる。)
「違和感」と上手く付き合えるのが「大人」なんですよね。
《追記》デリケートな問題なのに言葉が足りませんでした。
つまり、それぞれが自分自身の本当の心のありようと向き合って初めて、「共生」という人類の大きな理想が達成できるのではないかと思うのです。「表面を取り繕った」「よそ行きの心で」「理解しているつもり」になっていても、そんな中からは何も生まれないのではないかと…。
人を「レッテル」で判断しようとするのではなく、それぞれ独自の個性を持った人として見るのであれば、人を笑わせられるような才能や個性を持った人はどんどん笑わせてほしいし、どういう人であれ、そういう面白い個性の人たちは笑いの材料にしてもいいのではないかと思うのですけどね。
もちろん、「じゃあ、どのように?」という段になると、それは容易いことではないでしょうし、また人それぞれ感じ方に違いはあるでしょうけれど、少なくとも、みんなが「よそ行きの」善意でガチガチになっているよりはノーマルな発想なのではないかと思うのです。
ブロードウェーのパッペット・ミュージカル、AVENUE Qの中の歌に
Everyone's a Little Bit Racistというのがあります♪
時々、誰もがホンのちょっと人種差別主義者になるのさ
それってヘイトクライムに走るようなことじゃないけれどね
でも、周囲を見渡してごらんよ
本当に人種を気にしない人なんていやしない
これこそ本当に我々が直視しなきゃならないことなのかも
だって、みんな人種で判断してるじゃない
だから、誰もがホンのちょっと人種差別主義者なのさ
エスニックジョークなんて野暮なもの
でも、みんなホントのことだから笑うのさ
個人攻撃だと思っちゃいけない
みんな楽しんでるんだからさ、気楽に考えようよ
LA TIMESの記事 We're All Racists, Unconsciously
本ブログの記事から
The Jimmy
The Lip Reader
The Cigar Store Indian
The Handicapped Spot
The Outing これはいつか書き直しますね~ファイアー様にも勧められたことですし(笑)
The Bubble Boy これもね
The Producers ブロードウェー・ミュージカルです
コメント一覧
master of my domain
belmont(ベル)
ファイア-
master of my domain
ファイア-
最新の画像もっと見る
最近の「SEINFELD Cast」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
- JERSEY BOYS (舞台ミュージカル)(127)
- JERSEY BOYS(映画)(43)
- JERSEY BOYS(来日公演)(9)
- JERSEY BOYS(日本版)(18)
- JERSEY BOYS(音楽関連)(30)
- Jerry Seinfeld(36)
- SEINFELD Cast(22)
- BEE MOVIE(40)
- CUTMAN(27)
- Theatre(118)
- Books(33)
- Music(84)
- Movies(111)
- THE PRODUCERS(20)
- CURB YOUR ENTHUSIASM(6)
- New York(49)
- HAIRSPRAY(33)
- SEINFELD(139)
- English(1)
- Unclassified(84)
バックナンバー
人気記事