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And This Is Not Elf Land

SEINFELD 8-15 The Susie (不条理劇)


SEINFELD(となりのサインフェルド)8-15、The Susie(スージーって誰?)から…

「混乱するアイデンティティー」?
不条理劇のような面白さがあるエピソード。


Petermanのカタログ会社で働くElaineはデザイナーのPeggyと打ち合わせをしているのですが、
Peggyは何故かElaineを”Susie”と呼ぶのでした。
「はぁ?」なElaineでしたが、訂正してもらうタイミングを外してしまって、その日はそのまま終わってしまいました。

Jerryのアパートで…

ELAINE: You won't believe this but, as I'm leaving, she calls me "Susie."
(信じないかもしれないけどね、私が帰るときになっても、まだ「Susie!」って呼ぶの)

JERRY: I don't see you as a Susie. Sharon maybe.
(君はSusieって感じじゃないよな。どっちかっていうとSharonかな~)

ELAINE: What am I, a--a bulimic, chain-smoking, stenographer from Staten Island?
(はぁ?じゃあ私はスタッテンアイランド出身の大食いでヘビー・スモーカーの速記者だって言うの?)

JERRY: Who are you describing?
(誰のことよ?)

ELAINE: Someone I know.
(私の知ってる人)

で、次の日には誤解を解きたいと思いながらPeggyの仕事場に行ったのですが…

PEGGY: Susie. Susie!

ELAINE: Uh.. Hi, Peggy. Um.. Look, I should have said this yesterday, but--
(あっPeggy…実は、昨日言わなきゃいけなかったんだけど)

PEGGY: Did you get this memo from Elaine Benes?
(このElaine Benesからのメモ、あなたにも来た?)

ELAINE: Yeah. See that—
(ええ、つまりその…)

PEGGY: You know, it's amazing Peterman hasn't fired that dolt. She practically ran the company into the gro-ound.
(Petermanがあんな間抜けな人を首にしないなんて驚きだわ。彼女のせいでこの会社は地に落ちてしまったのよ)

ELAINE: Well. Well, I thought she did a pretty good Job..
(そ、そうかしら?彼女はよくやったと思うけど)

PEGGY: I heard she was a disaster, Suz—
(だって、あの人は災難のもとだって聞いたわよ、Suz

ELAINE: Look-it. It's not Suze. All right? It's Su-zie. My name, is Su-zie!
(ちょっとよろしいかしら?Suzじゃないでしょ?Susie!私はSusieなの!)

いつものElaineですね。
実際には自分の悪口にムッ!!ときたんでしょうけどね…思考回路のどこかで断層が起きたんです。ま、ひとつ「カチン!」と来ると、「腹が立つ」という激情だけが心の大部分を占めてしまって、対象は「何」なのかなんて、さほど意味を持たなくなっていくことって、ありますよ。

ELAINE: Can you believe this woman?
(信じられる、こんな人?)

JERRY: The nerve. Talkin' about ya behind your back--and right to your face!
(図太い人間だ。陰で君の悪口をいうつもりが、君の真ん前で言うなんて!)

ELAINE: No. "Suz!" I mean, "Suzie!" "Suzanne!" "Suzanna." Fine! But there is no, way, I'm gonna be a Suz.
(違うの、私のことをSuzと呼ぶのよ!SuzieとかSuzanneとかSuzannaならまだいいけど、Suzなんてイヤ!)

JERRY: No. No Suze.(ああ、Suzなんてあり得ないよな!)

ELAINE: I mean--what am I--some pom-pom-wavin' Backseat Bimbo?!
(だって、私ってバックシートでポンポン振ってるお頭の軽い女?)

JERRY: Who are you describin'?(誰のこと?)

ELAINE: Someone I know!(知ってる人!)

JERRY: Named Suz?(Suzって人?)

ELAINE: No, still Sharon!(いや、これもSharon!)

クラシカルなコメディ・チームのような面白いやり取り。第8シーズンには、こういうのも復活してきて面白いんです。

さて、Jerryのアパートで油を売ってるうちは良かったんですが、Peterman氏がPeggyとSusieという部下(Peterman氏はどういう部下がいるのか、全てを把握していない。ま、突然ミャンマーに消えるような人ですから)が喧嘩をしたという話を耳にし、Elaineを呼び出します。明日、PeggyとSusieをここに連れてきて、4人で話をしようと提案するのです。

で、翌日…「摩訶不思議な」ミーティングが始まりました。(トップの写真)3人の人物しか現れません(当たり前ですが)でElaineのことをPetermanはElaineだと思ってるし、PeggyはSusieだと思っているんです。

PETERMAN: Just Hold On a minute. Still One Short.
(ちょっと待って、まだ一人来ていない)

PEGGY: Susie has been very rude to me.
(Susieは失礼な態度を取り続けてるんです){ElaineをSusieだと思ってPetermanに訴えている}

PETERMAN: Well, Elaine has nothing but Good things to say about Susie.
(いや、ElaineはSusieのことに関しては関係ないんだよ、あったとしても良い関係でいるだけだ…)

ELAINE: Look. We don't have to name names, or, point fingers, or.. name names! Me and her, have had our problems. She and I have had our problems! You and I, and she and you—
(ちょっとよろしい?人を名前で呼んだり、指さししたりしなくてもいいんじゃないでしょうか。名前を呼ばずにやりましょう。これは私の彼女の問題。彼女と私の間にも問題があって…あなたと私、そして彼女とあなたの間の問題なのよね…)

PETERMAN: Don't you drag me into this! This is between you and her, and her.
(そんなややこしい話に巻き込まないでくれ。これは君と彼女と彼女の話だろ)

ELAINE: Yes! And I am convinced that if she were here with us today, she would agree with me, too.
(ええ、で、彼女が今日ここにいたら、私と同意見だと思いますわ!)

PETERMAN: Who.(誰?)

ELAINE: Her?(彼女)

PETERMAN: Where is she?!(彼女って?)

ELAINE: Ah--this is part of the problem!
(それが問題なのよね!)

PEGGY: I thought I was, part of this problem.
(これは私の問題なんじゃなかったの?)

ELAINE:You're a, huuge part of the problem. But, I think that at its core, this is a Susie-and-Elaine problem that requires, a Susie-and-Elaine solution! And, who better to do that than.. Elaine and Susie! Susie and Elaine!
(そう、あなたが問題の大部分なの。でも、私が考えるに、この核心部分はSusieとElaineで解決すべきSusieとElaineの問題なの。SusieとElaine以外にこれを上手く解決できる人っていないでしょう!?)

PETERMAN: Well, now that we have that cleared up.. why don't the three of us have lunch.
(なるほど、これで一件落着だな。じゃあどうだ3人でランチでも…)

そ、そんな…!で、Elaineは「呼ばれた振り」して出て行ってしまうのでした。

しかし、Petermanは上手くだませたものの、Susieという人間が「存在」することになってしまいました。それでJerryと話しながら考え付いたのは「Susieが亡くなったことにする」こと!ElaineはSusieの葬儀までセットしてしまうことになります。ここでの「お別れの言葉」も面白いんですが、これはまたの機会に。

それよりも、このエピソードでもうひとつ面白いのは…
GeorgeのガールフレンドAllisonはGeorgeと別れ話をしたいのだけど、Georgeは会ってくれない。それでバスケットの試合のチケットを手配してあげたKramerに、自分の代わりにGeorgeに別れ話をしてほしいと頼むのです。で、ある夜、雰囲気のいいレストランで、キャンドルの灯りを挟んで向かい合ったKramerとGeorgeが別れ話をするんですね。

この二人が「別れ話」(笑)Kramerは演技に入りすぎて、自分がGeorgeを振ったような気持になってしまうし、GeorgeはKramerに振られたような気持になってしまうし…その後も、別れた恋人同士が久しぶりに出会ったようなシーンを「この二人」が見せてくれます。


でも、現代社会に生きる人間には、個人に付いた名前なんて深い意味を持たなくなっていって、そして、実体のない「名前」だけを誕生させたり葬ったり…終いには「自分が何者か」分からなくなって…

我々は、そんなある種の「ミステリー」と常に隣合わせなのかも

センスのいいエピソードです。

コメント一覧

master of my domain
Petermanと言えば、本物のPetermanさんのニュースは耳にしたことはないんですが、彼を演じているJohn O'Hurleyは、つい最近まで、ミュージカル「モンティ・パイソンのスパマロット」の王様役で活躍していましたよ。確かにいい声をなさってますね。
master of my domain
ファイアーさま、こんにちは。
人の名前を間違えるなんてことは日常的にあることだと思いますが、よくここまでの脚本を書くなぁ!と感心したエピソードです。これを書いたのはDavid Mandelで、あのThe Bizarro Jerryも書いている人ですね。面白い感覚を持った人だと思います。
7,8シーズンになると、台詞が多くなって、より演劇的になってきていて、演技力のあるJerry以外の3人(笑)はホントにいい仕事をししていますよね。台詞もリズミカルに韻を踏んでいたり、言葉で遊んでいたりして、「音」としても心地よく響くように作られていると思います。「勢い」のある時だからこそできるような完成度の高さだな~と唸ってしまう…
ファイア-
おお~
Seinfeldレビューということで、しゃしゃりでてきました
マスターさま、おつかれさまです。
実は第8シーズンはまだ1、2回しか観てないんですが、ありましたね~このエピソード。また観てみたくなりました。
Mr.Petermanって、基本的にすごくいい人なんだけど、そのためかえってはた迷惑、なんですよね(笑)。ホンモノのPetermanさんはどう思ってたのかなあ。

Seinfeldには、こういう不条理な話がよく出てきますね。個人的ベスト3にランクインするエピソードThe Parking Garageなんかも、身近でよくあることなんだけど(実際自分にも起きました)どこかシュールレアリスティックというか。
「まるでSFだよ。おしっこに行って戻って来なくなるなんて」っていうGeorgeのセリフが好きでした(笑)。
こういうエピソードは、JerryもそうでしょうがやはりLarry Davidがもつ独特のセンスなんでしょうか?
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