呑気に自分の趣味に走る。

個人的趣味に走りまくった日々や、適当に過ごした日々をしがなく綴っています^^

『傷物語』著: 西尾維新

2010-02-13 07:22:01 | 本の足跡。
化物語の前日談。
(語り部阿良々木暦の怪異=吸血鬼遭遇の話)

【収録作品】
・第零話 こよみヴァンプ


――――存外切なかった。
四百年を生きる吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード。

彼女はその長い生涯に二人。
二人だけ、仲間にした。


一人目は、日本の武士。

二人目は、阿良々木暦。


彼女は死に場所を探していた。
昔、彼女は死にそこねたから。

――そんな覚悟がなかったから。


だから今。
こやつのために死のう――。

――真実は隠したまま。


あなたは最初から阿良々木くんに殺されるつもりだったんでしょう――?

羽川翼、聡すぎる人の子。
キスショットの心を汲めるほどに。


死ぬな――。
俺はお前に従わない――。
みっともなくていい、だから、生きてくれ――。


――二人とも助かる方法?
なくはないさ――それはね、

忍野メメ、怪異のオーソリティ。
チャラくも、優しき人。




そして結末は、

優しくて、残酷な終結。



――――お前が今日死ぬなら、俺も今日死のう。


お前が明日も生きるなら、俺も生きよう――――。



でもきっと、

良かったのだと思いたい。




どんなにか無様でも。


吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに共に寄り添ってくれる『者』がいるのだから。



――――心の下に刃あり。

一人目の眷属の刃を心の下に持っていた吸血鬼。

ていた、吸血鬼。


彼女は今、とても無口だ。



2010/02/12読了。