ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

いくらなんでもこれはひどいと思う(こういうデタラメな編集をしているから会社が倒産するんだといわれても仕方ないのではないか)

2022-06-30 00:00:00 | あまりに初歩的なところから粗雑すぎる

先日このような本を図書館で借りてみました。江川紹子の著書です。

大火砕流に消ゆ―雲仙普賢岳・報道陣20名の死が遺したもの (新風舎文庫) 

ちょうど6月になって、この火砕流発生が1991年6月でまた慰霊関係の報道がされたので、ちょっと読んでみようかと思ったわけです。関係ない話ですが、附属池田小学校の事件が2001年6月で、まさにこの10年後でしたから、この2つは同じ月のセットでしかも10年間隔ですから、同時にマスコミに取り上げられます。

この記事では、本の感想やマスコミ報道のありかたなどについて論じるのが目的ではありません。本を読んでいて、かなりひどいと思った不始末の件です。

本の目次に目を通していたら、解説に「石井文洋」なる人物の名前が記されていました。

それで私、最初「え!? 石井文洋氏って人いるの?」と思いました。私の知らない人だったからです。石川文洋氏なら知っていますが、石井文洋という人は知らない。石川氏といえば、「戦場カメラマン」として知られ、同題名の著作は私も読んでいます。本多勝一氏とも盟友です。私が読んだのは朝日文庫です。ちくま文庫が、どれくらい再編集されているのかは知りません。

非常に危険な取材を長きにわたっておこなってきた報道カメラマンである石川氏ならこの本の解説にふさわしい人物でしょうが、石井氏なる人物は何者かと思い、解説を確認すると、「おいおい」でした。

・・・(苦笑)。

目次で解説者の名前を間違えているんじゃねえよ!!!

いや私も、これ名前の誤植じゃねえのという疑念は(当然)あったのですが、さすがにねえと思いました。しかし現実は、そのまた上をいったわけです(笑)。なお以上の件は、私が読んだ版についてであり、他の版があったとしてそちらで訂正されているかどうかは未確認です。その点ご了解願います。

江川本を出版した「新風舎」という会社は、Wikipediaから引用すれば、

>かつて東京都港区に本社を置き、自費出版・共同出版を中心に行っていた日本の出版社。2008年1月に経営破綻した。

1996年から出版作品賞として「新風舎出版賞」を開催していたが、同社の経営破綻により終了した。

>トラブル
共同出版が盛んになったことで飛躍的に出版点数が伸び、2005年には出版点数で業界1位となるなど多数の書籍を発行するようになっていたが、同時に著者とのトラブルも増加した。

2007年7月4日、元大学教授ら3人が、全国約800の書店で販売すると勧誘されて新風舎と出版契約を結んだが、実際は一部の書店(原告のひとりの場合にはわずか3店)でしか販売されなかったとして、約736万円の損害賠償を請求する民事訴訟を東京地方裁判所に提起した。

批判
藤原新也は、新風舎が著者に共同出版を持ちかけ、通常以上の出版費用を出させているのではないかという疑義を提起した。藤原はまた、同形態の流通出版(旧称協力出版)を手がける文芸社への疑義も提起している。
有田芳生は「書き手の夢を食い物にするあくどい希望商法」であると批判しているが、論拠を明らかにはしていない。
一方で江川紹子ら、新風舎を擁護するジャーナリストやライターもいた。

と酷評されています(注釈の番号は削除。以下同じ)。当の江川の名前が出ていたり、ほかにも有田氏とか、拙ブログでも言及することのある人物がでてくるのも笑ってしまいますが、実はこの会社についての記事を私は執筆しています。

過去の人間かもしれないが、さすがにこれはどうかと思う

この記事は、新風舎よりも、その会社にどっぷりつかって癒着していた、本や本の取次流通などについてのライターである井狩春男という人物を批判した記事です。なにしろ彼は、

>新風舎は本を出版するすべての人の味方である!

とまで宣伝したり、また

新風舎出版賞の審査委員長も務め、さらに自身の著書『本は読むより書く方が10倍楽しい』でも同賞に応募することを勧めているなど、新風舎との関わりが深かった。

とまでWikipediaでも指摘されているのですから。彼の著書が最後に出版されたのは、2007年のようですが、新風舎の経営悪化が表面化したのが2007年、倒産したのが2008年であり、たぶんですが、彼は新風舎のからみで出版界から追放とまで言えるかはともかく、締め出された可能性が高いのではないですかね。江川は本を出版させてもらっているライターですが、井狩は、新風舎とのかかわりが一線を明らかに超えてしまっていましたからね。さすがにご当人も、これ以降は、本について偉そうな口をたたくのが難しくなったのではないかと思います。それはご当人の不徳のいたすところで仕方ありませんが、ベストセラーがどうしたこうしたとかそのような本を出していた人物がこの始末とは、なんとも無様で無残な話ではあります。

そして新風舎は、これもWikipediaから引用すれば

>2006年時点では社員数360名で、自費出版系を含めた年間出版点数では2,788点と日本最大であった。なお、自費出版系を除くと、2006年の新風舎の年間出版点数は2005年が1,673点、2006年が385点であり、2005年は講談社(2,099点)が、2006年は講談社(2,013点)をはじめとする多くの出版社がこれを上回る点数の書籍を出版している。

とありまして、江川本の出版は2004年でしたが、明らかに編集や校正などにゆきとどかないところがあったんじゃないんですかね。もちろん経営全般についてもです。私も正直、さすがに本の解説を担当した人物の名前を目次で間違えているというのは、全く読んだ記憶がないかどうかは断言できないのですが、しかし思い浮かびませんね(苦笑)。これ、出版社の陳謝は当然として、江川も石川氏に詫びることになりますよね。彼女の責任ではないとしても、「自分とは関係ない」では話が済まない。石川氏もさすがに絶句したのではないか。

この関係でちょっと興味深いこともありましたので、またその件については記事を書きたいのですが、新風舎という会社の文庫のラインアップをみてみますと、冤罪についての本(上の引用での江川の新風舎擁護というのは、たぶんそういう部分の評価もあるのではないかと思います)などなかなかいい本も出しているのですが、いろいろ経営に行き届かない部分が多かったのでしょうね。そういう観点からすると、新風舎はやはり倒産すべくして倒産したし、そこに過度にコミットした井狩春男は、出版業界での居場所をなくすべくしてなくしたのだろうと思います。私が井狩批判記事を書いたのが2013年でそれから9年もたっていますが、彼はほぼライター廃業に近い、そうでなくてもかつてのような活動ができていません。江川紹子は才能があったが、井狩は出版ゴロのレベルの人物だったのでしょう。それまた「どうもなあ」の世界ではあります。


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