評価4
再読(前回2019年7月21日)。
戦後世間を騒がせた高利金融会社「光クラブ」を経営していた現役東大生の自殺事件を素材に、三島のシニシズムを織り込んだ作品。前半では自意識が異様に強い主人公の少年時代が描かれ、後半では戦後の世相と主人公の関りが交錯する。
解説によると三島自身「資料の発酵を待たずに、集めるそばから小説に使った軽率さは、今更誰のせいにもできないが、残念なことである。文体もまた粗雑であり、時には俗悪に堕している。構成は乱雑で尻すぼみである。」と反省している作品らしい。確かに前半で主人公の人間性を追求していたわりには後半部での掘り下げが甘いというしかない。しかし、主人公・川崎誠と友人・愛宕の会話の内容は何度読んでもあまり理解できません・・・
キーワードは大きな鉛筆の模型!