評価5
再読(前回2017年2月11日)。
小説世界から言葉が徐々に消えて行く。
例えば「あ」が使えなくなると「愛」も「あなた」も消えてしまって、この話の主人公である作家・佐治勝夫は「あ」以外の言葉を駆使して「愛」や「あなた」を語らねばならなくなる。そして、どんどん言葉が消えて行って最後は・・・
使える言葉が減って行く中で、執筆し、飲食し、講演し、そんな毎日と自身の過去をどんな言葉でどんな表現で語るのか?前代未聞の実験的小説の行方は如何に!?
変な小説と言えば変な小説だが、筒井康隆しか書けない小説!
筒井康隆天才!!!
ちなみに表題は「ぬ」が使えなくなってしまったために、わずか50頁にして消滅してしまった三女絹子について語った下り「その残像に薄化粧を施し、唇に紅をさしてやろう。」から来ていると思われます。
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