評価5
再読(前回2019年3月10日)。
直木賞受賞作(1999年)。
東京都荒川区の超高層マンションで中年男女と老女が殺され、青年男性が転落死する事件が発生。その部屋は競売に出されており、被疑者と目された買受人の石田直澄は行方をくらましていた。その石田が江東区高橋の簡易旅館・片倉ハウスに姿を現したことから物語が始まる。死んだ4人は実は家族ではなかった。事件はなぜ起こったのか?殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか?
死んだ4人の素性が物語の進行とともに明らかにされ、周囲を取り巻く人々を含めたその人間性と驚くべき背景と真相が読み手の心をつかんで離さない。これぞ名作!ドキュメント手法による語りも秀逸!ぐいぐい引き込まれる。
「事件当夜は雨であった。」
という書き出しは忘れることができない名文。
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