今から6年くらい前になるだろうか
叔母に誘われてポルトガルを旅した時のこと
最後の夜にリスボンのレストランへファドを聴きに行った
ファドの調べに酔いしれ
最後の夜ということもあって
ほろいよい機嫌でその店を出た
バスの待つ場所までの距離を
夜風の中、石畳を踏みながら
叔母はすがるように私の腕にしがみつき
楽しかった思い出の話などをしながら・・・
と、後ろの方からやってきた若いポルトガルの女性が
叔母の脇をすり抜け
何があったのかと、思っているうちに
前を歩いていた女性のショルダーバッグを思い切りひったくって小路へ走り去った
「あ、あ、ど、泥棒・・」
ひったくられた女性はバッグを持っていた手を広げぼうぜんと立ち尽くす
いち早く動いたのは添乗員の女性
バッグを撮られた女性の友人
私も負けじと犯人めがけて走りだした
と、その友人が目の前で石畳に足を取られて
思い切り転ぶ
私はロングスカートをたくしあげ
彼女を飛び越し、犯人を追いかける
添乗員が叫ぶ
「フェ~ドロ~~」
訳も分からず私も叫ぶ
「フェ~~ドロ~~~」
後ろに続いた初老の紳士の奥さまが叫ぶ
「あなた~~~、心臓がぁ~心臓がぁ~~」
叔母も負けじと後ろから叫ぶ
「お体お大事なさいませ~~~~」
(なんのこっちゃ?)
そう思いつつも、
「フェ~~ドロ~~」
(後で教えてもらったのだが、ポルトガル語で泥棒と叫んでいたらしい)
夜の道には出ている人が誰もいない
ポルトガルは小さな小路がいくつもあり
石畳の坂道
犯人は運動靴
私はハイヒール
フェドロの声もむなしくいくつか曲がってるうちに
とうとう、犯人に逃げられてしまった
幸いなことにバックには大事なものは入ってなく
小銭が少々と小さな手帳ということでした
彼女にとっては、旅の思い出を書き留めていたその手帳だけが心残りだったようです
9日間のポルトガルの旅、色々な思い出が残っていますが
いつも、思い出すのはこの事です
写真はポルトガルの猫たちと、リスボンのレストラン。犯人はこの店を出た時から狙っていたらしい
音楽はポルトガルのファド。カティア・ゲレイロのGuitarra Triste
女はギターラのようなもの奏でる人によって、その音色も変わるものなの
そう、歌っています。聞いてみてください
ギターラはポルトガルのギターで玉ねぎのような形をしています