オンダビリエの街の散策が終わり海沿いを歩いていた。
フランソワは心臓の大手術をしてるので、歩くのもゆっくりだが、元々慎重な性格だ。
奥さんのフランソワーズは、ちょっと違う。おしゃべり好きで、ちょっとあわてんぼうなところもある。
フランソワが遅れてついてきていて、フランソワーズと二人で話しながら歩いていたとき、
私が「部屋を出るときも(フランソワが)忘れ物をすべてチェックしてくれるし、いいわね」というと
フランソワーズは「そう、みんなそう言うんだけどね、それはいいけど、いつもいいとは限らないのよ。あまりにものんびり慎重すぎて、楽しめないときもあるのよ、わかる?」と、言った。
フランソワーズがフランソワのことをこんなふうに言うのを初めて聞いた。
彼女は、スペインバスクの事のようにはっきり思ったことを言うのは初めて会った時から知っているが、ことフランソワについて、よくないように言ったことはなかった。
この時私は感じた。これは私のことを家族、または親戚に近い思いを持っていてくれるからこぼしたのではないかと。
そう思うとちょっと嬉しくなった。
この旅行はそういう意味でも、素晴らしい旅行になったのだ。
遠く離れた駐車場まで車を取りに行って、車をちょうど歩き終わった私たちのところに回してくれるなんて、なんていいご主人だろう。
いつもきっとフランソワは辛抱強くこの奥さんに耐えているのだ?(笑)
まるで、エスカレーターに黙って耐えている奥さんのようではないか。
これがフランソワーズの様な奥さんだったら、エスカレーターとは一日も持たないくらいだろう。
よく似合ったそれぞれのカップルである。
ちなみに、フランソワーズは、フランソワを呼ぶとき「シェリー」(愛しい人、みたいな感じ)と呼び、フランソワはフランソワーズを「ミミ―」と呼んでいる。慣れない日本人の私からするとこんな年配のカップルだと、ちょっと恥ずかしくなるくらい。
たいていこのように愛称で呼び合っている夫婦が多いが、エスカレーターは全くそういう呼び方はしないのもまたおかしい。(笑)
そして、Cabo Higerという灯台のようなところがあるところへ向かった。