バスクとお別れの朝だった。
宿のお爺さんも、毎日見ているだけだったが、少し反応しているようだったので、折り紙をプレゼントすると、心なしかにこっとされたような感じだった。
宿↓
そう言えば、バスクの人が大人しい?のは、冷たいのではなく、シャイな人が多いということは、日本でフランスフェアに出店していた日本人の人から聞いた。
そして、日本人が一番仕事をしやすいのは、フランスの中ではバスクの人だとも言っていた。一番勤勉で、その辺りが似ているんだそうだ。
もう一度バスクを訪れる機会があれば、そんなことも考えながら観察してみたいと思う。
またアイノアの近くで、自宅の庭?にピカソのゲルニカを描いている人を見た。ここはサールの宿から観光へ行くときに何度も通るところなので、よく目にしていたが、最終日あたりにはほぼ完成していた。
どういうつもりで描かれていたかはわからないが、平和を願ってのことであることは確かだろう。
さて、いよいよパリへ向けて出発。
まさか、と信じられないことが待ち受けていたのだった!!!
フランソワから「何時のTGV?」と聞かれて、「9時52分だよ」と答えた。
「間に合うよね?」と言ったら「大丈夫だと思うよ」と、サンジャンドリュズに向けて車を走らせてくれた。
9時20分くらいだったろうか駅前に無事到着した。駐車場に車を置いて、「余裕だ」と思いながら駅に向かっていると、ホームに電車が停まっていた。
「この後の電車だ」と思って構内に入った。と同時に、さっき見た列車は出ていった。
掲示板を見たフランソワが、「52分発の電車はないよ。」という。「えー、そんなはずはないけど」と私も見たが、掲示されていない。
おかしいなと思いつつ、チケットをここで取り出した。
えー!!!!!まさか、まさか、だった!!なんと9時26分発と書かれているではないか。
一瞬頭が真っ白になった。
そして、我に返った。
あー、なんということだ!!
行きの列車の9時52分発が頭に残っていて、思い込んでしまっていた。
あーどうすればいいのか、その時、フランソワが「窓口で聞いてみればいい」というので、窓口に向かった。
「もうパリ行直通は夕刻しかないですよ。一番早くパリに着くのはボルドー乗り換えの列車です。」と言われた。
私のチケットはインターネットで購入した格安券だったが、それは返金も交換もされないものだったし、新たに買いなおすのはノーマル料金で、心のショックも大きかったが、財布にも大きく響く、出費になってしまった。
フランソワも、「さっき停まっている列車を見たとき、おかしいなと思ったんだ。そんなに頻繁に列車は来ないはずだから」といった。
とりあえず、出発までまだ2時間弱あるので、気を取り直して、再びのサンジャンドリュズの町を散歩することになった。
前を向くしかない。失敗のことをいつまでも思っていても仕方ない。とりあえず今日中にパリに戻れる方法があってよかったと思うことにした。
しかもこの日の夜は、ブルーノ夫妻が、オペラの予約をしてくれていたので、そのチケットを無駄にせず、ぎりぎり帰れるのだから、と。
せっかくプラスされた時間を有効に使おうじゃないか、とショックを忘れるように、言い聞かせながら、散歩に戻った。
フランスでの失敗はいくつかあるが、これはその中で一番大きな失敗と言えるかもしれない。
段々旅慣れてきて、緊張感がなくなっていることもあるだろう。