2024年12月10日(火)
補正予算案 質問の要旨
日本共産党の辰巳孝太郎衆院議員と井上哲士参院議員が9日の衆参両院の本会議でそれぞれ行った2024年度補正予算案についての質問の要旨は次の通りです。
衆院本会議 辰巳議員
能登地震から11カ月が経過し、9月には記録的豪雨が襲いました。医療費や保険料の免除期限が12月末に迫っています。政府は速やかに延長を決定し周知徹底すべきです。命、暮らし、生業(なりわい)を支える支援を豪雨災害も含めたすべての被災者を対象に迅速に行うべきです。
介護、医療、保育などのケア労働者の現場では、物価高騰のもとでも上がらない賃金が、離職者をさらに増大させています。「介護崩壊」ともいうべき事態の打開には、訪問介護の基本報酬を戻したうえで減額分の補填(ほてん)措置を行うべきです。介護保険への国庫負担増、賃上げ助成を今すぐやるべきです。すべてのケア労働者の賃金・処遇の抜本的改善を求めます。
13年、生活保護バッシングが吹き荒れるなか、最大で10%、総額で670億円もの生活保護費大幅減額が強行されました。全国29地裁で提起された「いのちのとりで裁判」では、基準引き下げ処分の取り消しを認めた判決が19件です。「誰一人取り残されない」というのなら、政府は控訴せず生活保護費の減額をやめ、引き上げを決断すべきです。かつてのバッシングには自民党議員も加わりました。生活保護への偏見をなくし、低すぎる捕捉率を上げ、生活保護制度を文字どおり最後のセーフティーネットとして機能させるべきではありませんか。
政府は大企業には空前の大盤振る舞いです。1兆円もの巨費を、特定の半導体メーカーに投入しようとしています。税金での肩代わりはやめるべきです。
大阪・関西万博会場は現役の廃棄物処理場で、3月に爆発事故が起きました。補正予算では「会場内の安全確保」費が計上されていますが、万博をやめることこそ一番の安全確保となります。カジノと一体の大阪・関西万博の中止を求めます。
森友事件について政府はいまだに全容解明に背をむけ、財務省は検察に任意提出した文書の存否も明らかにせず不開示としています。今年3月、情報公開・個人情報保護審査会はこの財務省の決定は取り消すべきだと答申しました。これらは全面開示すべきです。
補正予算案に過去最大の軍事費8268億円を計上していることは、財政法の趣旨に反します。当初予算と合わせ9兆円にも及ぶ軍事費で、「戦争国家づくり」を進めることは断じて許されません。
参院本会議 井上議員
元日の能登半島地震からもうすぐ1年。9月の豪雨災害の直後に輪島市の避難所や浸水した仮設住宅でお話を聞きました。「地震で自宅が被害にあい、避難所から金沢に2次避難し、仮設住宅に8カ月ぶりに帰ってきたらすぐに浸水被害を受け再び避難所に入った」「見捨てられたような気持ち」など悲痛な声が耳に残っています。
災害関連死は247人となり、地震による直接死を超え、人口流出が続き、奥能登4市町では7・5%も人口が減りました。能登の現状は、政治の責任が問われる人災というべき状態ではありませんか。大地震と豪雨の複合災害として必要な対策を届け、能登で暮らし続けられる希望を持てる支援こそ政治の役割です。
被災者の医療費・介護利用料の窓口負担の免除は年末までではなく早期に延長を決めるべきではないですか。
公費解体や住宅再建などの支援を受けるには罹災(りさい)証明書が必要です。ところが自治体による住宅被害認定の判定結果は実際の被害と乖離(かいり)があり不服だとして能登4市町では2次調査が行われています。宅地被害を含め、住宅としての失われた機能を反映した判定基準に改善すべきです。
地方自治体がキッチンカーやトイレトレーラーなどの備品を取得するための財政支援をどうするのか、地方自治体や民間団体が所有する備品を被災地に迅速に届け活用するための仕組みと体制をどう構築するのですか。
各地で有機フッ素化合物PFASの汚染に不安が広がっています。食品安全委員会が6月に取りまとめた評価書のPFOSとPFOA耐容1日摂取量の指標値は米欧の数十~数百倍で問題ないとする非常にゆるい水準です。手遅れで健康被害を生まないよう、国際水準での対策に改善すべきではありませんか。
各地の水道事業に国として財政支援し、住民の不安にこたえて自治体が行う血液検査にも支援すべきです。
軍事費は、補正予算としては過去最大で能登震災対策費の3倍の8268億円が計上され、今年度(当初)予算と合わせて9兆円近くになります。12式地対艦誘導弾などの取得とともに、沖縄県辺野古の米軍新基地建設などの予算が計上されています。これがなぜ経済対策なのですか。
陸上自衛隊V22オスプレイの移駐に伴う佐賀駐屯地の開設で380億円を計上しています。重大事故を繰り返し、欠陥機と指摘されているオスプレイの配備は、「国民の安心・安全」のための経済対策と逆行しているではありませんか。こうした軍事費は、補正予算の趣旨を逸脱したものではありませんか。