条例の一部改正案可決/賛成派が突如提出―市長「法的精査必要」/豊橋市新アリーナ問題
2024/12/28
豊橋市の12月定例議会は26日の最終本会議で、議会の議決を経て結ばれた契約を解除する場合にも議決を必要とする条例の一部改正案を可決し、閉会した。改正案は、新市長による新アリーナ計画の契約解除方針に反発する計画推進の会派が突如提案した。長坂尚登市長は、法的精査の必要性を指摘していて、火種がくすぶりそうだ。
本会議最終盤の同日夕、計画推進派の自民党と公明党、まちフォーラムの3会派から「市議会の議決すべき事件を定める条例」の一部改正案が提出された。
質疑で、計画に反対する諸井菜々子議員(新しい豊橋)が改正案を緊急提案する理由を尋ねたのに対し、土屋祐司議員(自民)は12月定例会で「議会の議決に付すべき契約等の金額が1億5000万円から2億2500万円へと増額された。市長の専決権限が大きくなり、議会の議決権限の範囲の縮小につながる」と説明した。
菅谷竜(新しい豊橋)は、改正案が新アリーナ計画を念頭に置いたものかどうかを質問。本多洋之議員(自民)は、念頭にはないとしつつ同計画も「対象になる」とした。
斎藤啓議員(共産党)は、地方自治法の規定についての認識をただした。本多氏は、同法では契約締結の定めがある一方、解除に触れていないことを「法の不備だ」と指摘。その後「法の抜け穴」と言い直した上で「それを補完するため条例制定を考えている」と述べた。契約の締結と解除には、同等の重みがあり「契約締結に議会の議決が必要であれば、契約の解除にも議会の議決が必要だ」と付け加えた。
深夜に及んだ審議の末に、同改正案は賛成多数で可決された。
採決の際、尾崎雅輝議員(自民)は議場から退席した。東日新聞の取材に「市長と議会の権限の均衡を揺るがす恐れがある」と棄権の理由を語った。
閉会後、報道陣の取材に応じた長坂市長は条例改正案の議決について「豊橋市議会が全国に例を見ないものを決めた。先例となるならないを含め、すべての地方公共団体に影響がある」と述べた。地方自治法の趣旨に照らし、法的に精査する必要があるとの認識を示した。
新アリーナ計画をめぐっては、11月の市長選の公約通り契約解除に向けた協議を事業者に申し入れた長坂市長に対し、推進派の市議らが「議会軽視」と批判を強めていた。