背中合わせの二人

有川浩氏作【図書館戦争】手塚×柴崎メインの二次創作ブログ 最近はCJの二次がメイン

しようがないだろ

2008年08月16日 11時11分17秒 | 【別冊図書館戦争Ⅱ】以降

「いいなあ、手塚は」

残業を終え、帰寮した早々、同室にそう話しかけられた。

「何が」

「何がって、決まってるだろ、柴崎さんだよ!」

「ああ……それか」

つい気が抜けたような返答になるのは、さんざ振られつくされた話題だからだ。

柴崎と付き合うようになってから、男連中から(特に同期)顔を合わすたびにネタ

のように持ち出され、やっかまれ、さすがに食傷気味だった。

うんざり、というのではない。内容が何であれ、柴崎のことを振られるのは嬉し

い。

自分が、あの女にとって特別な存在になったのだと、第三者が承認してくれる気が

して。

今日からんできた同室は、時刻柄悪い酒でも入っているのか、ううう、とわざとら

しく目元を拳で押さえて見せた。

「あんな美人と付き合えるだなんて、……いやお前たちならそうなるかもとは薄々

思ってたけど、それでも俺はあえて言う! 手塚、お前はずるい。ずるいぞおっ」

手塚は同室に分からないように、肩を竦めた。

ずるいときたか。30にもなろうという男が。

聞いているほうが恥ずかしい。

それに「柴崎が美人だから付き合えて羨ましい」という発言は、柴崎に対して甚だ

失礼であることにこいつは気がついていない。

あいつのよさは何も見かけに限ったことじゃないのにな。

「別にあいつが美人だから付き合ってる訳じゃない」と言ってやりたい。……でも

そう口にしたが最後、どれだけ周囲を敵に回すか分かっているので、ぐっと堪え

る。

代わりに、

「しようがないだろ」

手塚は制服を脱ぐふりをして、背中を向けながら答えた。

「しようがない? しようがないって何がだよ」

ったくホントタチ悪い酒だな。こいつ今日何杯呑んでんだ? 内心毒づきながら、

「あいつが俺を選んだんだから、文句はあいつに言えよ」

そう言って階級章を襟元から外す。

制服をクリーニングにかける頃合だった。



「てーづーかあああ! お 前 と い う 奴 は あ!」


「うわ、な、なんだよ。絡むな、首を絞めるな! 正気を保て!」



……結局、手塚のこの発言で、基地内の同年代の男性隊員ならびに下士官のやっか

みはピークに達することになる。

しかし、一番堪えたのは、柴崎の耳にまで部屋でのやりとりが入ってしまったこと

で、「あんた何同室に吹いてるのよ? 覚えてらっしゃい!」と数日まともに口

をきいてもらえなかったことだった。



口は災いの元?

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1 コメント

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三正なのに「同室」? ()
2008-08-16 18:31:23
ってありえな~いという自分突っ込み。。。

別冊Ⅱの後も、手塚は天然で、柴崎は辛口であれ、という一ファンの願いを込めてみました。はい
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