「兄貴、タロス。面白いもんが手に入ったぜ」
<ミネルバ>のリビング。リッキーが平たい箱を持ってやってくる。
「なんだそれは?」
「いや、こないだ偶然ネットオークションで見つけてさ。落札できたのが今届いたんだ。見てみようよ」
テーブルの上に箱を置く。見ると、なんとも造りのしっかりした、それでいて装飾もほどこされた美しい箱だった。
「ネットオークション? お前、あやしいのをぽちっとしたんじゃねえだろうな」
タロスがリッキーの手元を覗き込む。
「そんなんじゃないやい。いいかい」
丁寧に上箱を外して中身を取り出す。中にはアルバムらしきものが薄紙に包まれて入っていた。
「アルバム? また古風なものを落札したな」
写真をデータでやりとりしたり、保存したりするのが全盛のいま、アルバムとは。ジョウは腕を組んだ。
「まあ見てなって。ほら」
厚みのある表紙をリッキーが恭しくめくると……。
ジョウもタロスも目を瞠った。
「お、これは」
思わず前のめりで覗き込む。
それは、王室アルバムだった。連帯惑星ピザンの。
一枚目に、大きくハルマン三世とエリアナ王妃、そしてアルフィンの家族写真が載っていた。みな正装してエリアナ王妃を真ん中に、その後ろに国王とアルフィンが立って王妃の肩に手をかけているショット。
アルフィンはまだ幼かった。あどけない。10歳かそのくらいに見える。水色のドレスを着ておすましして、よそ行きの笑顔を浮かべていた。
奥付を見ると今から8年前に発刊されたとある。
「これはまた、珍しいもんを手に入れたなあ」
「アルフィンにはないしょだよ。きっと恥ずかしがるからさ」
リッキーは得意顔だ。
ジョウはアルバムを手にとってぱらぱらとめくってみた。
アルフィンが生まれたときの赤ん坊の頃の写真から、つかまり立ちをしたり、乗馬をしたりする姿が収められている。どの写真にも両親が映り、一人娘のプリンセスを温かいまなざしで見守っていた。
いい写真だ。ジョウは目を細めた。
「可愛いな」
「ほんとだよね。面影あるね、やっぱり」
「よくこんなレアな代物、オークションで見つけたな。個人所有だったんだろ」
「発行部数が少なくて、巷では滅多に手に入らないらしいよ。すごいでしょ」
「シリアルナンバーが奥付にある。誰に買われたか追跡可能なんだな」
「じゃあ誰が出品したか発行所とか王室でわかっちゃうんだ、すげえなあ」
3人でアルバムを覗き込んでいると、背後から急に声をかけられた。
「――何を見てるの? みんなして」
ぎょ。
アルフィンだ。うしろから彼らの手元を見て、
「! なにそれっ」
甲高い声を上げた。真っ赤になる。
「いやこれはっ、リッキーが」
あたふたとアルバムを畳んでジョウがリッキーに押しやる。
リッキーは「あ、きったね。同罪じゃん」とそれをタロスにパス。
タロスはロシアンルーレットの拳銃を渡されたように、アルバムをハンブルさせた。
「いやこれは、リッキーがネットオークションで見つけてきて」
そう言って、アルバムをリッキーに押しつけた。
「ネットオークション?」
アルフィンが虚を突かれたように目を見開く。
そして、
「あんた……。たいがい暇ね。で、みんなで回し見してたってこと? あたしに隠れて」
呆れた様子でリッキーをにらみつけた。
「隠れてたわけじゃないけどさあ。なんか、本人の前で見づらいじゃん? こういうの」
「そんなの言い訳よ。渡しなさい、それ。没収よ」
「えー」
リッキーが口を尖らす。結構な値段したのにいと不満顔。
「いいから、出して。あたしの写真が載ってるでしょ」
言われてしぶしぶアルバムを差し出す。アルフィンはそれを受けとって、表紙の装丁を愛おしそうに指先でなぞった。
一枚ずつめくって、しみじみと写真を眺める。懐かしいわと目元がほころぶ。
「王宮にも一冊あったわ。お父さまの書斎に」
ぱらぱらとめくる。
年中行事や公式行事のたびに収めたのと呟く。
ジョウが訊いた。
「いい顔をしてる、みんな。お父さんやお母さんが懐かしいだろう」
アルフィンが密航してから2年が経とうとしていた。その間、もちろん帰郷などするはずもなかった。
「ピザンに帰りたくなっちまうんじゃないかい? アルバムとか見たら」
リッキーが口を挟む。
「何言ってんのよ、そんなのあるわけないでしょ」
こんな台詞が返ってくるかと思いきや、アルフィンはアルバムの写真に目を落としたきり沈黙した。
唇が開きかけたが、声にならずに呑み込まれる。
「……」
あ。
まずい……。
アルフィンを除く3人の脳裏に、同じタイミングで同じ言葉が浮かんだ。
ホームシックにならないわけがないのだ。幼い頃から宇宙生活者として生きてきたジョウやタロス、ローデスの浮浪児だったリッキーと違い、両親の愛情を一身に浴びて育ってきたアルフィンが、2年も帰郷せずにいてふるさとのことを思いやらないわけがない。
ただ、口にしなかっただけ。おもてに表さなかっただけだ。
寂しくないわけがない。時には母親に甘えたいときだってあるだろう。父親に話を聞いてもらいたいときだって。
でも、これまで一度もアルフィンはピザンのことには触れないできたのに。
このタイミングで本人にアルバムを見せ、帰りたくなっちゃうもなっちゃわないもないだろう。
デリカシーがなさ過ぎる。
「ご、ごめん、アルフィン。俺らが悪い。全面的に悪かった。このとおり謝るよ」
リッキーがテーブルに両手を突き、頭をこすりつけた。
平身低頭謝罪する。
「いや、リッキーだけじゃねえ。俺も調子に乗ってこいつが落札しただかなんだか言うから、勝手にアルバムなんか覗いて。悪かった。いくらチームメイトといったって、やっていいことと悪いことがあるよな、うん」
すまんな。この通りだとタロスも頭を下げる。
「俺も同罪だ。小さいころも可愛いなあって、ただ眺めて。無神経だった。ごめん。もうしない、だから」
そんな顔しないでくれ。ジョウは必死で謝った。
今にも泣きそうな顔。眉間に皺を寄せ、口を引き結んで、何かを堪えるみたいな。
自分たちがそうさせたのだという罪悪感に3人はさいなまれる。
「……ほんとうに?」
小声で、アルフィンが言った。
「え?」
「本当に悪いと思ってる? あなたたち」
上目で3人を順繰りに見つめた。
「う、うん」
「もちろん」
「リッキーが一番悪いけど、俺たちも悪い。うん、確かに悪い」
「あ、きったね。兄貴そういう風に押しつけるのなしだぜ」
「第一お前がオークションになんか手を出すのがだめなんだろ。個人所有のものなのに」
「兄貴が一番ガン見してたんじゃないか。なんだよ人のせいにして」
「まあまあ、罪のなすりつけはやめましょうや。みっともないですぜ」
「みっともないってなんだ。タロスだって見てたくせにばっちし」
「……ふふっ」
ん?
笑い声がしたので見ると、アルフィンが肩を揺すっている。小刻みに。
口を押さえてくつくつとおかしそうに笑みを堪えている。
「アルフィン」
「うふふ、おかしい。みんな焦って。びっくりした?」
笑顔を見せる。アルバムを胸に抱えたまま。
3人はそれを見て、はああと大きく肩を落とした。気が抜けた。
「泣かせたかと思った。――人が悪いな、アルフィン」
かついだのかとジョウが訊く。
「かついでないわよ。懐かしかったわ。帰りたくなったわよ。もう大分お父さまやお母さまに会ってないもん。
でもね、あたしの今の家はここで、家族はあなたたちだわ。だから、ホームシックになってる暇なんてないのよ」
からりと言う。
「ピザンにはもう帰らないつもりで、アラミスに骨を埋めるつもりで出てきたの。だから、大丈夫よ。帰りたいなんて言って泣かないから。――あ、でもこのアルバムは没収だからね。あたしの部屋で管理させてもらいます」
文句ないわね、と念を押す。
「ない。ないです。どうぞ厳重に管理してください」
「よろしい。いったいどこの所有者がオークションにかけるなんてことをしたのか、しっかり追跡しなくちゃ」
にっこりと微笑んで、アルフィンは3人を放免した。
怖え。かすかに誰かが呟いた。
後になってタロスがジョウにしみじみと言った。
「いい女になりましたねえ、アルフィン。湿っぽくなった空気を読んで、あんなこと言ってくれるなんざ。
助けられましたな、あたしらは」
特に、あほたれのリッキーが、ですけどね、と。
リッキーは今回の件で猛省して、もうネットオークションから足を洗うと言っている。本気だろう。
「そうだな」
ジョウも頷く。アルフィンの心遣いは痛いほど分かっていた。
ホームシックにならない訳がない。なのに、それを明るくさらりと流した。
「アラミスに骨を埋めるつもりで出てきたってあたりが、ぐっとくるじゃねえですか、ジョウ。
クラッシャーのあたしたちにとっちゃ、殺し文句ですな」
「……」
「アラミスの同じ墓に入ろうって、いつかアルフィンに言ってやってくださいよ」
普段以上に饒舌になって、タロスが言う。
ジョウはかぶりを振った。
「そんな古い言い回しをするか、今時」
「じゃあなんて言うつもりなんです?」
「さあ。……ナイショだ。お前に言われなくても、アルフィンに言う時はちゃんと言う」
タロスは、片方の目を大きく見開いた。しげしげとジョウの面を見遣り、
「そいつは、何より」
と顎をさすって何度も頷いた。
「ジョウの小さい頃のアルバムも、アルフィンに見せてやってもいいですか?」
嬉しくてつい言葉を重ねてしまう。すると「ばか、余計なことをするのはやめろ」とにべもなく言われた。
END
<ミネルバ>のリビング。リッキーが平たい箱を持ってやってくる。
「なんだそれは?」
「いや、こないだ偶然ネットオークションで見つけてさ。落札できたのが今届いたんだ。見てみようよ」
テーブルの上に箱を置く。見ると、なんとも造りのしっかりした、それでいて装飾もほどこされた美しい箱だった。
「ネットオークション? お前、あやしいのをぽちっとしたんじゃねえだろうな」
タロスがリッキーの手元を覗き込む。
「そんなんじゃないやい。いいかい」
丁寧に上箱を外して中身を取り出す。中にはアルバムらしきものが薄紙に包まれて入っていた。
「アルバム? また古風なものを落札したな」
写真をデータでやりとりしたり、保存したりするのが全盛のいま、アルバムとは。ジョウは腕を組んだ。
「まあ見てなって。ほら」
厚みのある表紙をリッキーが恭しくめくると……。
ジョウもタロスも目を瞠った。
「お、これは」
思わず前のめりで覗き込む。
それは、王室アルバムだった。連帯惑星ピザンの。
一枚目に、大きくハルマン三世とエリアナ王妃、そしてアルフィンの家族写真が載っていた。みな正装してエリアナ王妃を真ん中に、その後ろに国王とアルフィンが立って王妃の肩に手をかけているショット。
アルフィンはまだ幼かった。あどけない。10歳かそのくらいに見える。水色のドレスを着ておすましして、よそ行きの笑顔を浮かべていた。
奥付を見ると今から8年前に発刊されたとある。
「これはまた、珍しいもんを手に入れたなあ」
「アルフィンにはないしょだよ。きっと恥ずかしがるからさ」
リッキーは得意顔だ。
ジョウはアルバムを手にとってぱらぱらとめくってみた。
アルフィンが生まれたときの赤ん坊の頃の写真から、つかまり立ちをしたり、乗馬をしたりする姿が収められている。どの写真にも両親が映り、一人娘のプリンセスを温かいまなざしで見守っていた。
いい写真だ。ジョウは目を細めた。
「可愛いな」
「ほんとだよね。面影あるね、やっぱり」
「よくこんなレアな代物、オークションで見つけたな。個人所有だったんだろ」
「発行部数が少なくて、巷では滅多に手に入らないらしいよ。すごいでしょ」
「シリアルナンバーが奥付にある。誰に買われたか追跡可能なんだな」
「じゃあ誰が出品したか発行所とか王室でわかっちゃうんだ、すげえなあ」
3人でアルバムを覗き込んでいると、背後から急に声をかけられた。
「――何を見てるの? みんなして」
ぎょ。
アルフィンだ。うしろから彼らの手元を見て、
「! なにそれっ」
甲高い声を上げた。真っ赤になる。
「いやこれはっ、リッキーが」
あたふたとアルバムを畳んでジョウがリッキーに押しやる。
リッキーは「あ、きったね。同罪じゃん」とそれをタロスにパス。
タロスはロシアンルーレットの拳銃を渡されたように、アルバムをハンブルさせた。
「いやこれは、リッキーがネットオークションで見つけてきて」
そう言って、アルバムをリッキーに押しつけた。
「ネットオークション?」
アルフィンが虚を突かれたように目を見開く。
そして、
「あんた……。たいがい暇ね。で、みんなで回し見してたってこと? あたしに隠れて」
呆れた様子でリッキーをにらみつけた。
「隠れてたわけじゃないけどさあ。なんか、本人の前で見づらいじゃん? こういうの」
「そんなの言い訳よ。渡しなさい、それ。没収よ」
「えー」
リッキーが口を尖らす。結構な値段したのにいと不満顔。
「いいから、出して。あたしの写真が載ってるでしょ」
言われてしぶしぶアルバムを差し出す。アルフィンはそれを受けとって、表紙の装丁を愛おしそうに指先でなぞった。
一枚ずつめくって、しみじみと写真を眺める。懐かしいわと目元がほころぶ。
「王宮にも一冊あったわ。お父さまの書斎に」
ぱらぱらとめくる。
年中行事や公式行事のたびに収めたのと呟く。
ジョウが訊いた。
「いい顔をしてる、みんな。お父さんやお母さんが懐かしいだろう」
アルフィンが密航してから2年が経とうとしていた。その間、もちろん帰郷などするはずもなかった。
「ピザンに帰りたくなっちまうんじゃないかい? アルバムとか見たら」
リッキーが口を挟む。
「何言ってんのよ、そんなのあるわけないでしょ」
こんな台詞が返ってくるかと思いきや、アルフィンはアルバムの写真に目を落としたきり沈黙した。
唇が開きかけたが、声にならずに呑み込まれる。
「……」
あ。
まずい……。
アルフィンを除く3人の脳裏に、同じタイミングで同じ言葉が浮かんだ。
ホームシックにならないわけがないのだ。幼い頃から宇宙生活者として生きてきたジョウやタロス、ローデスの浮浪児だったリッキーと違い、両親の愛情を一身に浴びて育ってきたアルフィンが、2年も帰郷せずにいてふるさとのことを思いやらないわけがない。
ただ、口にしなかっただけ。おもてに表さなかっただけだ。
寂しくないわけがない。時には母親に甘えたいときだってあるだろう。父親に話を聞いてもらいたいときだって。
でも、これまで一度もアルフィンはピザンのことには触れないできたのに。
このタイミングで本人にアルバムを見せ、帰りたくなっちゃうもなっちゃわないもないだろう。
デリカシーがなさ過ぎる。
「ご、ごめん、アルフィン。俺らが悪い。全面的に悪かった。このとおり謝るよ」
リッキーがテーブルに両手を突き、頭をこすりつけた。
平身低頭謝罪する。
「いや、リッキーだけじゃねえ。俺も調子に乗ってこいつが落札しただかなんだか言うから、勝手にアルバムなんか覗いて。悪かった。いくらチームメイトといったって、やっていいことと悪いことがあるよな、うん」
すまんな。この通りだとタロスも頭を下げる。
「俺も同罪だ。小さいころも可愛いなあって、ただ眺めて。無神経だった。ごめん。もうしない、だから」
そんな顔しないでくれ。ジョウは必死で謝った。
今にも泣きそうな顔。眉間に皺を寄せ、口を引き結んで、何かを堪えるみたいな。
自分たちがそうさせたのだという罪悪感に3人はさいなまれる。
「……ほんとうに?」
小声で、アルフィンが言った。
「え?」
「本当に悪いと思ってる? あなたたち」
上目で3人を順繰りに見つめた。
「う、うん」
「もちろん」
「リッキーが一番悪いけど、俺たちも悪い。うん、確かに悪い」
「あ、きったね。兄貴そういう風に押しつけるのなしだぜ」
「第一お前がオークションになんか手を出すのがだめなんだろ。個人所有のものなのに」
「兄貴が一番ガン見してたんじゃないか。なんだよ人のせいにして」
「まあまあ、罪のなすりつけはやめましょうや。みっともないですぜ」
「みっともないってなんだ。タロスだって見てたくせにばっちし」
「……ふふっ」
ん?
笑い声がしたので見ると、アルフィンが肩を揺すっている。小刻みに。
口を押さえてくつくつとおかしそうに笑みを堪えている。
「アルフィン」
「うふふ、おかしい。みんな焦って。びっくりした?」
笑顔を見せる。アルバムを胸に抱えたまま。
3人はそれを見て、はああと大きく肩を落とした。気が抜けた。
「泣かせたかと思った。――人が悪いな、アルフィン」
かついだのかとジョウが訊く。
「かついでないわよ。懐かしかったわ。帰りたくなったわよ。もう大分お父さまやお母さまに会ってないもん。
でもね、あたしの今の家はここで、家族はあなたたちだわ。だから、ホームシックになってる暇なんてないのよ」
からりと言う。
「ピザンにはもう帰らないつもりで、アラミスに骨を埋めるつもりで出てきたの。だから、大丈夫よ。帰りたいなんて言って泣かないから。――あ、でもこのアルバムは没収だからね。あたしの部屋で管理させてもらいます」
文句ないわね、と念を押す。
「ない。ないです。どうぞ厳重に管理してください」
「よろしい。いったいどこの所有者がオークションにかけるなんてことをしたのか、しっかり追跡しなくちゃ」
にっこりと微笑んで、アルフィンは3人を放免した。
怖え。かすかに誰かが呟いた。
後になってタロスがジョウにしみじみと言った。
「いい女になりましたねえ、アルフィン。湿っぽくなった空気を読んで、あんなこと言ってくれるなんざ。
助けられましたな、あたしらは」
特に、あほたれのリッキーが、ですけどね、と。
リッキーは今回の件で猛省して、もうネットオークションから足を洗うと言っている。本気だろう。
「そうだな」
ジョウも頷く。アルフィンの心遣いは痛いほど分かっていた。
ホームシックにならない訳がない。なのに、それを明るくさらりと流した。
「アラミスに骨を埋めるつもりで出てきたってあたりが、ぐっとくるじゃねえですか、ジョウ。
クラッシャーのあたしたちにとっちゃ、殺し文句ですな」
「……」
「アラミスの同じ墓に入ろうって、いつかアルフィンに言ってやってくださいよ」
普段以上に饒舌になって、タロスが言う。
ジョウはかぶりを振った。
「そんな古い言い回しをするか、今時」
「じゃあなんて言うつもりなんです?」
「さあ。……ナイショだ。お前に言われなくても、アルフィンに言う時はちゃんと言う」
タロスは、片方の目を大きく見開いた。しげしげとジョウの面を見遣り、
「そいつは、何より」
と顎をさすって何度も頷いた。
「ジョウの小さい頃のアルバムも、アルフィンに見せてやってもいいですか?」
嬉しくてつい言葉を重ねてしまう。すると「ばか、余計なことをするのはやめろ」とにべもなく言われた。
END
⇒pixiv安達 薫
きっと6ヶ月から10歳まで空白期間だよ。
だって、ダンは忙しかったし、
写真なんか撮りそうもないし。
さっさとまとまってしまえ(笑)
えぎるさんやら、がんびーのさんやら。
おじさん連中が手をかけて育てたんでしょうねえ。
だからああいう感じに育ったんでしょうねえ。笑