cation!
複数での交愛描写を厭われる方、図書戦のノーマルカップリングにのみこだわりがある方は、これより先の購読をおやめください。(管理人)
上記に抵抗感がなく、許容できる方のみ先にお進みください。
柴崎との結婚をひと月後に控えた手塚には、実は人に言えない悩みがあった。
花婿だというのに浮かない顔をしているのに気がついたのは小牧だった。それとなく話を向けると、手塚はなんでもありませんと口を濁した。
なんでもないって顔じゃないよなと思いつつ、相手が躊躇う部分にずかずかと上司面ふりかざして深入りするのは小牧の主義ではない。
「ふうん? まあ、気が向いたらいつでも話は聞くから、相談に来なよ。あ、でも結婚関係のやつなら班長に訊けよ。俺は先を越されたクチだから」
と突き放さない程度に素っ気無く言ってその日は済ませた。
後日、手塚から申し出があった。
辺りをはばかるように、誰もいないタイミングを見計らって。
「小牧一正、折り入ってお聞きしたいことがあるのですが」
口調が硬い。
そらきたと顔には出さずに小牧はにっこりと笑みを向けた。
「なんだい。改まって」
「その、ちょっとここでは」
口火を切ろうとしては、唇が虚しく開閉され、ひどく話しづらそうにしている。小牧は「自販機のところまで行く?」と水を向けた。
「できれば」
「コーヒーでもおごるよ。行こう」
「あの、小牧一正は、毬江、……さんをどうやって満足させていらっしゃるのでしょうか」
ぶぶーっ。
手塚の放った爆弾に、小牧は派手にコーヒーを吹いた。
そのままげほがほぶふぉっと激しく咳き込む。
特殊部隊班のフロアの片隅にある休憩所。ソファに向かい合わせに座った二人。
「大丈夫ですか」
むせる小牧を気遣い、手塚が覗き込もうと腰を浮かしかける。小牧は手でそれを制して、
「へ、平気。ちょっと食らった」
不意打ちを。必死にむせびを押さえ込んで小牧が息を整える。
体勢をなんとか立て直し、向かいの男を見つめる。
手塚は眉間にうっすら皺を刻んで小牧を見据えていた。
生真面目さを鎧のようにまとっているな。小牧はそう思い、
「ごめん。ちょっとびっくりして。まさか手塚の相談がそういう内容だったとは予想だにしてなかったもんだから」
「すみません。軽率でした」
手塚は話を畳もうとする。
「いや、別に気を悪くしたんじゃないよ。驚いたってだけ。―― 今言ったのって、夜の話のことだよね?」
手塚は心持ち 肩を落として見せた。
「柴崎さんと、うまくいってないんだ? ……その、夜のほう」
さすがの小牧も言葉を選ばざるを得ない。
セックスという直截的な言い方を避けて、曖昧にぼかした。
手塚は「お恥ずかしながら」とあくまで項垂れている。
うーん。彼の様子を窺いつつ、だから俺なんだなと小牧はそこで合点が行く。
手塚が心酔する堂上に相談するのではなく、あえて俺を選んでこの話題。確かにあの堅物に切り出すのは憚られたのだろう。
男女間の機微やつきあいについてなら、あの堂上よりは自分のほうが聡いしそれなりの経験値もある。女性の心理にもそれなりに通じているとの自負も。
それに関してはおそらく班長も異を唱えまい。
小牧はこほんと咳払いをしてコーヒーの紙コップを脇に置いた。
「結婚を間近に控えた新郎がそんなしけた顔してちゃいけないなあ。詳しく聞くよ?」
誰にも言わないから安心して。目でそう約束して小牧は先を促した。
この先は【夜の部屋】のさらに【奥の間】にてブロマガにて公開中。
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花婿だというのに浮かない顔をしているのに気がついたのは小牧だった。それとなく話を向けると、手塚はなんでもありませんと口を濁した。
なんでもないって顔じゃないよなと思いつつ、相手が躊躇う部分にずかずかと上司面ふりかざして深入りするのは小牧の主義ではない。
「ふうん? まあ、気が向いたらいつでも話は聞くから、相談に来なよ。あ、でも結婚関係のやつなら班長に訊けよ。俺は先を越されたクチだから」
と突き放さない程度に素っ気無く言ってその日は済ませた。
後日、手塚から申し出があった。
辺りをはばかるように、誰もいないタイミングを見計らって。
「小牧一正、折り入ってお聞きしたいことがあるのですが」
口調が硬い。
そらきたと顔には出さずに小牧はにっこりと笑みを向けた。
「なんだい。改まって」
「その、ちょっとここでは」
口火を切ろうとしては、唇が虚しく開閉され、ひどく話しづらそうにしている。小牧は「自販機のところまで行く?」と水を向けた。
「できれば」
「コーヒーでもおごるよ。行こう」
「あの、小牧一正は、毬江、……さんをどうやって満足させていらっしゃるのでしょうか」
ぶぶーっ。
手塚の放った爆弾に、小牧は派手にコーヒーを吹いた。
そのままげほがほぶふぉっと激しく咳き込む。
特殊部隊班のフロアの片隅にある休憩所。ソファに向かい合わせに座った二人。
「大丈夫ですか」
むせる小牧を気遣い、手塚が覗き込もうと腰を浮かしかける。小牧は手でそれを制して、
「へ、平気。ちょっと食らった」
不意打ちを。必死にむせびを押さえ込んで小牧が息を整える。
体勢をなんとか立て直し、向かいの男を見つめる。
手塚は眉間にうっすら皺を刻んで小牧を見据えていた。
生真面目さを鎧のようにまとっているな。小牧はそう思い、
「ごめん。ちょっとびっくりして。まさか手塚の相談がそういう内容だったとは予想だにしてなかったもんだから」
「すみません。軽率でした」
手塚は話を畳もうとする。
「いや、別に気を悪くしたんじゃないよ。驚いたってだけ。―― 今言ったのって、夜の話のことだよね?」
手塚は心持ち 肩を落として見せた。
「柴崎さんと、うまくいってないんだ? ……その、夜のほう」
さすがの小牧も言葉を選ばざるを得ない。
セックスという直截的な言い方を避けて、曖昧にぼかした。
手塚は「お恥ずかしながら」とあくまで項垂れている。
うーん。彼の様子を窺いつつ、だから俺なんだなと小牧はそこで合点が行く。
手塚が心酔する堂上に相談するのではなく、あえて俺を選んでこの話題。確かにあの堅物に切り出すのは憚られたのだろう。
男女間の機微やつきあいについてなら、あの堂上よりは自分のほうが聡いしそれなりの経験値もある。女性の心理にもそれなりに通じているとの自負も。
それに関してはおそらく班長も異を唱えまい。
小牧はこほんと咳払いをしてコーヒーの紙コップを脇に置いた。
「結婚を間近に控えた新郎がそんなしけた顔してちゃいけないなあ。詳しく聞くよ?」
誰にも言わないから安心して。目でそう約束して小牧は先を促した。
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意見が分かれる作品はオフ本に出来ないですもんねぇ…残念です。
これはさすがにオフ本にはできませんです
連載終了後、シリーズの前作を含め、CDーR化などで対応できればいたしたいと思っております。ご容赦を。