みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1433「接触」

2023-11-22 18:20:58 | ブログ短編

 老科学者(ろうかがくしゃ)が亡(な)くなった。葬儀(そうぎ)も済(す)み、ひ孫(まご)が遺品整理(いひんせいり)にやって来た。この家を訪(おとづ)れたのは赤(あか)ちゃんのとき以来(いらい)なので、彼女には何の思い出もなかった。ただ、彼女も科学者を目指(めざ)している学生(がくせい)なので、曾祖父(そうそふ)が科学者だったと聞いて興味(きょうみ)を持ったのだ。
 いくつかの部屋(へや)を覗(のぞ)いてみて、彼女は奥(おく)まったところに扉(とびら)を見つけた。その扉を開(あ)けて、彼女は目を丸(まる)くした。ここは、まるで研究室(けんきゅうしつ)のようだった。いろんな機材(きざい)が並(なら)び、書籍(しょせき)やファイルが書棚(しょだな)を埋(う)め尽(つ)くしていた。彼女は書棚をまじまじと見つめた。普通(ふつう)の学生なら難(むずか)しそうな本ばかりなので、そんな風(ふう)にはならなかっただろう。
 彼女は大きな机(つくえ)の引き出しを開けてみた。そこに一冊(さつ)の古(ふる)い研究ノートを見つけた。彼女は何気(なにげ)なくパラパラとめくってみた。すごく癖(くせ)のある文字(もじ)でどのページもびっしりと書かれてあった。どうやらこれは日記(にっき)のようだ、と彼女は思った。ところどころ読(よ)めない文字もあるのだが、何とか彼女は読み進(すす)めていった。
 何ページがめくったところで彼女は手を止めた。そして思わず呟(つぶや)いた。「ウソでしょ?」
 そこには、エイリアンと接触(せっしょく)したと書かれてあった。しかも、そのエイリアンから地球侵略(ちきゅうしんりゃく)について聞かされたと…。彼女は書かれた日付(ひづけ)を確認(かくにん)してみた。すると、七十年以上(いじょう)前の日付になっていた。まだ曾祖父が学生だった頃(ころ)なのか…。
 彼女は頭をかきむしって、「どういうことよ。こんなことって…あるはずが…」
<つぶやき>これは事実(じじつ)なのかな。この部屋には、他にも何か重大(じゅうだい)なものがあるのかも…。
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