みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0015「いつか、あの場所で…」

2025-01-15 16:32:43 | 連載物語

 「おまつりの夜」2
 ゆかりと二人でお手伝い。とっても楽しかったよ。ゆかりのお母さんは面白い人だった。冗談ばっかり言って、私をいつも笑わせる。おばさんの手料理、美味しかったなぁ。ゆかりが料理上手だってことも分かる気がする。いつもお手伝いをしているんだ。私も少しだけ教えてもらった。
「そんなに面白い? またいつでもおいで、教えてあげるから」って、おばさんが言ってくれた。また教えてもらうんだ、絶対。
 おばさんの料理は豪快だ。大きな鍋を使ってどっさり作る。家族が多いから大変だよね。
「こんな田舎の味じゃ、お嬢さんの口には合わないかもね」
「とっても美味しいです」私は正直に答える。ママの味より美味しいかも…。
 ママはたまに手抜きをする。何でも手早くやらないと気が済まないみたい。それでときどきパパに叱られる。ママは、「効率よく家事をしてるの。私がいるからパパも気持ち良くお酒が飲めるんじゃない」って、笑いながらパパにお酒を注ぐ。
 こうなるとパパは何も言えなくなる。ママの笑顔には弱いんだ。この二人、ちょうどいい感じなのかな。言いたいことは言い合うんだけど、あんまり喧嘩にならない。何でだろう? 不思議な夫婦だ。…理解できない。
 お祭りの最後の日。いよいよ花火だ。今日もゆかりの家へ。お昼の後片付けをすませてのんびりしていると、おばさんが冷たい麦茶を持ってきてくれた。
「さくらちゃん、ありがとね。ほんと助かったわ」この三日間、ほんとに大変だった。
「あのーォ、私にも言ってよねぇ。手伝ったんだから」ゆかりがふくれてる。
「あんたはいいの」
「そんなぁ…」
「それより、これからさくらちゃんをお祭りに連れて行ってあげなさい」
「えっ、行ってもいいの?」
「さくらちゃんは初めてなんでしょう、ここのお祭り」
「はい」お祭りに行ける。やったーぁ。
「今からでも楽しめるよきっと。それに花火もあるしね」
 おばさんは私にお小遣いをくれた。お手伝いをしたお礼だって。
「私も手伝った」
「この前、あげたでしょう」
「お祭りよ。欲しいものあるし…」
「しょうがないね。お兄ちゃん達には内緒だよ」
 ゆかりはちゃっかりしてる。さすがだ。
<つぶやき>お祭りって、わくわくしますよね。それは大人になっても変わりません。
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