今から50年ほど前の話になりますが、犬の散歩の時に思い出したことがあります。
母の実家は福島県の山深い場所にありますが、小学生のころは夏休みになると里帰りをして同年代の従妹たちと遊んでいました。そんな夏のある日に、従妹2人と姉と私で従妹たちが通う小学校に遊びに向かっていた時のことです。
田んぼが左右にある舗装されていない田舎道を4人で楽しく歩いていると、20メートル位でしょうか…前方に2頭の野犬が来るのが見えました。慌てた4人は小道に入ることにしました。(コの字になっている道だったので遠回りをして回避しようと思いつきました)
すると、何ということでしょう……野犬は二手に分かれて私たち4人を挟み撃ちにしたのです!!!
獲物を捕らえる本能でしょうか。
4人は大慌てで山の中に逃げ込みました。走って、走って、走って…犬の気配が消えたころには自分たちが何処にいるのか分からなくなっていました。私たちは遭難したのです。
地元の従妹たちも一目散に逃げてきたので何処から来たのか、何処へ向かえばよいのか皆目見当がつきません。
一番年上だった姉が先導して山道を歩き続けたのですが、ハチの巣があったり、蛇に出くわしたりと不安と恐怖でみんな泣き出してしまいました。
そんな中、姉は気丈にみんなを励まして、なんとか山から脱出することができたのですが、山から出たときには日も沈み空は薄暗くなり始めていました。
午前中に家を出発したので、7・8時間は山の中をさ迷ったことになります。
そんな昔々の遭難事件から、自分の人生も遭難していたも同然だったことを思いました。
「自分とは何なのか」「何のために生きているのか」「何処へ向かっているのか」、そんな大切なことさえ考えることなく気ままに呑気に過ごしていたからです。(*1)
そして多くの人が、自分の本質や地上人生の意義や目的を知らぬまま生きていることを思うと胸が締め付けられる思いがします。
80億といる地上人類のほとんどの人が地上における遭難状態だと思ったからです。
では人類の地上での目的とは何でしょうか。
お金をたくさん得ること、地位や権力を握ること、はたまた有名になることでしょうか。いい学校を出て、良いとされる職業に就くことでしょうか。
シルバーバーチは地上での目的と地上世界の現状について次のように述べています。(*2)
「地上生活の目的は、いよいよ霊界へ旅立つ時が来た時に霊に十分な備えが出来ているように、様々な体験を積むことです。まずこの地球へ来るのはそのためです。地上はトレーニングセンターのようなものです。霊が死後の生活に対して十分な支度を整えるための学校です。
あなた方にとってイヤな体験こそ、本当はいちばん為になるのですよと繰り返し申し上げるのは、そういう理由からです。魂が目覚めるのは呑ん気な生活の中ではなく嵐のような生活の中においてこそです。雷鳴が轟き、稲妻が走っている時です」 シルバーバーチの霊訓10
ーーーーー
「あなた方も、お一人お一人がミニチュアの大霊すなわち神なのです。その霊はあなた方の努力次第で生長と発達と拡大を続け、成熟して開花する可能性を秘めているのです。どこまで発揮できるかを決定づけるのはあなた自身です。他の誰もあなたに代ってあげることはできません。それが地上生活の目的なのです。あなたも大霊であることを自覚することです。そうすれば神の王国があなた自身の中にある事に理解がいくはずです。霊力は絶対に裏切りません」 シルバーバーチの霊訓9
ーーーーー
「神からの霊的遺産として当然味わうべき生命の優美さ、豊かさをまったく知らない人間の数の多さに愕然とさせられます。餓死の一歩手前でようやく生きている人々、地上生活の最低限の必需品さえ恵まれずにいる人々を座視するわけにはまいりません。地球の富の分配の不公平さを見て平然とはしておれないのです。
それは大変な仕事です。そしてあなた方はその実現への最短距離に位置しておられます。あなた方は新しい時代に入りつつあります。人類の新しい時代の夜明けです。その恩恵のすべてに浴したければ、真理の受け入れを邪魔してきた愚かな教義をかなぐり棄て、無知の牢獄から脱け出て、自らの自由意思で歩み、神が意図された通りに生きることです」 シルバーバーチの霊訓2
このシルバーバーチの言葉を読んで驚いたのは、「地上はトレーニングセンターのようなもの」ということと、”霊界へ旅立つ時”つまり「死後に備えて体験を積むことが目的」だということです。それは私たち人間が肉体だけの存在ではなく、地上限りの人生ではなく死後にも生命は続くからです。
そう考えると、多くの人が間違った人生観のもと生きていることが分かります。大金を得ることや学歴、地位、権力といったものに終始している生活を送っているからです。
かく言う私も以前は「お金持ちになりたい」とか「子ども達がいい学校を出て良い就職先を見つけて、いい人に巡り合い幸せな家庭を築いてくれたら最高」だと思っていましたし、「病気や苦労、試練がないことが幸せ」だと信じていました。
まさしく地上人生の遭難者だったのです。
驚く言葉は続きます。
私たちにとって「イヤな体験」こそが、一番為になるのですから…。
シルバーバーチの言葉を知りながらも、困難や苦難こそが大切で、ありがたいものだとは中々思えませんでした。
「困難や苦難、病気から逃れたい」「試練はないほうがいい」と思っていたのです。
ようやく今、少しずつですが起きる困難苦難は自分の魂にとっては必要なことで、本当はありがたい出来事だと理解できるようになりました。
ですから、地上の多くの人が魂の目覚めるチャンスを逃している現状を思うと気の毒に感じます。霊的真理があったなら自分がそうであったように「生き方が変わる」という思いが募るからです。
そして更に驚くことには人間の一人ひとりが「ミニチュアの神」だということです。
それは偉いとか凄いとかではなく、一人ひとりの内部には神性が秘められていて同じ資質があるということ、誰もが「ミニチュアの神」ということは地位や学歴、権力によって差をつけるのは間違った考えであるということです。(*1)
国や民族、職業や貧富の違いは、人間の内部の神性に影響しないということなのです。みんなが平等、公平な立場で地上に生を受けたのです。
また自分の努力次第で地上的な差におかまいなく成長と、発達と、拡大を続け、成熟して、開花する可能性を秘めている存在で、困難や苦難も、試練も地上でイヤな体験も神性を引き出せば乗り越えて強く生きる力を持っているということになります。霊力は裏切らないのです。
自分が神と同じ資質を未熟な形にせよ授かっているということは、驚くと同時にとても力になる言葉です。
どんな困難も苦難も神の摂理を信じて生きようと思えますし、イヤな出来事も神の深い深い愛であり自分が愛されていると感じられるからです。
それは自分が肉体だけの存在ではなく永遠に進化し続ける霊的存在であるとの認識がわずかでもできたからであり、神の摂理は進化を前提として働いていることを理解できたからです。
シルバーバーチの言葉が広く地上に行き亘り、餓死の一歩手前でようやく生きている人々や地上生活の最低限の必需品さえ恵まれずにいる人々、無知の牢獄に縛られている人が減り、平等・公平な世界になることを願って、先ずは自分自身が生き方を変えていきたいと思います。
(*1) 「関東シルバーバーチの会」という、「シルバーバーチの霊訓」を学ぶ読書会のメンバーが「あいのしんこと舎」を設立し、自費出版にてスピリチュアリズムの知識を分かりやすく絵本にしました。
絵本は全部で「コトとシンのうちゅういちたのしいおはなし」 「コトとシンの10のどうして?」 「コトとシンのうちゅういちたいせつなおはなし」 「コトとシンのうちゅういちすてきなおはなし」
「コトとシンのうちゅういちふじぎなおはなし の五部作です。
「コトとシンのうちゅういちたのしいおはなし」と 「コトとシンのうちゅういちふじぎなおはなし には、自分の本質についてが分かりやすい言葉と可愛い絵で表現されています。本当の自分を知るきっかけになる絵本です。
「コトとシンの10のどうして?」 には、人生で起きる理不尽なできごとについてや疑問についての内容が描かれています。自分という存在や今の地上人生がいかなるものなのか…そんなことを知りたいと感じさせてくれます。
絵本は英語版、中国版もあります。ご興味のある方はぜひ「あいのしんこと舎」のホームページへ足を運んでみてください。
また、読み聞かせ動画の「あいのしんこと舎チャンネル 」からは、コトとシンシリーズの全巻を見ることができます。心に響く語りと可愛い絵とバック音楽(オリジナル曲)が心を和ませてくれます。
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