楽しむことが最優先

庭で花や野菜を育てて楽しむ北海道民です。
趣味関連を中心に日々のあれこれを、
マイペースに綴って行くつもりです。

冬の寒さと、ぬくもりと

2023-11-16 23:31:00 | 日記
『冬用の布団カバーが欲しいから、
 買い物に付き合ってほしいの』


そんな母からのLINEによって、
外出の予定が決定しました。

母が欲しいという布団カバー。

カバーそのものが、
毛布生地になっているそうな。

そんなのがあるんだ……

なかなか画期的です。
これから寒さは増すばかりだしね。


地下鉄に乗って目的地へ赴くと、
思いのほかすんなりと目当ての物を発見。

売れ筋商品のようです。
種類が沢山あると選ぶのも楽しい。

エスニック柄のものがあったので、
ひとつ自分用にも購入してみたり。




「もっと時間がかかるかと思ったのに、
 あっさりと買い物が終わっちゃった」

「順調で良いじゃない
 毎回トラブルに巻き込まれていたら、
 こっちの身が持たないよ」

「せめて、お茶くらいしてから帰らない?」

「……まぁ、お茶くらいなら」


布団カバーとは言え、
毛布生地なだけあって質量があります。

他にも食器やルームウェアも買ったしね。

これを長時間持ち歩くのは正直言って困る。
重くはないけれど、両手も塞がっているし。

何より、割れ物を持つのは
気を遣って疲れるのです……


飲食店が並ぶ階層へと移動し、
イタリアンレストランへ入店。

ドリンクの飲み放題をオーダーして、
とりあえずホットコーヒーでひと息。

「それにしても……
 急に寒くなったわねぇ」

「場所によっては積雪もあったんだよね
 また気温が上がるって話だけれど……」


そんな話をしていると、
徐に背後から声を掛けられました。

振り返ると、上品な身なりのお婆さんの姿。


「あら……‼︎」

「どうもこんにちは
 こんな所で奇遇ねぇ」

どうやら母の知り合いらしい。

彼女たちの会話に耳を傾けていると、
2人が同じボランティアグループに
所属していることがわかりました。


毎年、今の時期になると
ギンナン拾いをするというお婆さん。

今年はお嫁さんとお孫さんも
一緒に拾ってくれるとのことで、
このお店で待ち合わせをしているらしい。


「お節料理は注文して済ませるのだけれど、
 茶碗蒸しだけは毎年、手作りなのよ
 そのためのギンナンを拾いに行くの」

カバンの中には、
ビニール袋とゴム手袋。

さすがは毎年恒例、
準備に抜かりはなさそうです。


「それにしても遅いわねぇ……
 小さな子供連れだし、
 時間通りに行かないことは
 わかっているけれど心配になるわ」

無音を貫くスマホを片手に、
首を傾げるお婆さん。


その後──……

湯気を立てたカップが空になる頃、
待ち合わせ相手と思われる親子連れが来店。

少女に手を引かれて入って来た母親の目は、
どう見ても真っ赤に泣き腫らした様子。

尋常じゃない光景に緊張が走ります。


「まぁ……‼︎
 一体、何があったの⁉︎」

「ううっ……お母様、すみません……」

泣き崩れる母親
母親の頭を撫でる娘
優しく声をかけるお婆さん

そして

帰るタイミングを失った自分


どうすれば良いのだ……

完全なる部外者なのだけれど、
だからといって立ち去れる空気でもなく。

結局無言のまま、
ことの成り行きを見守るしかない状態に。



少しずつ落ち着いてきた母親の話によると。

娘さんが通う音楽教室では、
毎年12月になると演奏会があるそうで。

教会や老人ホームなどでも披露するという、
結構大きなイベントだそうです。


今日から練習が始まったらしく、
キャンドルライトかペンライトを
持参するように通達されていたらしい。

その話を聞いた祖父が家にあった、
アンティークのキャンドルライトを
貸してくれたそうなのだけれど──……


「キャンドルライト、盗まれちゃったの」

「ええっ⁉︎」

犯人は同じ教室に通うママ友。

『ちょっと見せて』と言われて貸した結果、
『これは最初から我が家の物』と主張され、
結局返してもらえなかったそうで──……


教室の先生に助けを求めても、
『名前が書いているわけでもないし、
 あなたが嘘をついている可能性もある』

……という言葉が返ってきて、
逆に、こっちが悪いという扱いだそうです。


しかもママ友は挙げ句の果てに、
『かわりのライトをあげる』と。

渡されたのは100円ショップの、
まさかの仏壇用キャンドル。


「ひど過ぎるわね……」

怒りにワナワナと震えるお婆さん。

聞き耳を立てていたギャラリーたちの
ボルテージも同時に上がっています。


「お母様すみません
 あのキャンドルライトは、
 記念の品だと聞いていたのに……」

「そんなの、もう良いわ
 傷ついた貴方たちのほうが心配よ」

とは言え。
このままで良い筈がありません。


「そのママ友を何とかしないと
 子どもの教育にも悪いわよね……」

「名前が書かれていないものは、
 盗んでもいい……って学習しちゃうかもね
 そうなる前に対処しないと」

「でも、どうやって取り返すの?
 先生はあてにならなそうだし……」

周囲のそんな疑問に、
何故か不的な笑みを浮かべるお婆さん。


「別に、取り返さなくても良いじゃない
 むしろ責任もって使い続けさせるわ
 その方が良い教育になるってものよ
 だってあのキャンドル──……
 電池交換不可なタイプで、
 とうの昔から、もう光らないんだもの」

「え」

「泥棒の件は任せなさい
 彼女の姑と私、仲が良いのよ
 事情を伝えたら味方になってくれるわ
 だから何の心配もいらないからね


ママ同士が友達なだけでなく、
姑同士も友達だったのですね……

それにしても

お婆さんの笑顔が怖くて、
逆に心配なんですが



「それより、新しいライトを用意しないと
 この仏壇用のは流石にあんまりで……」

「ああ、それなのだけれど
 色を塗ってリメイクしたら、
 そのまま使えないかしら?」

カーチャン⁉︎
何を言い出すんだ⁉︎


「いやいや待ってよ母さん‼︎
 そんな縁起の悪いライト、
 見るのも嫌な状態じゃない⁉︎
 むしろ塩かけてゴミ箱行きにしよう⁉︎」

「押し付けられたキャンドルライトで、
 誰よりもゴージャスに目立ってみせる……
 盗んだキャンドルライトで
 1人だけ光らない泥棒に対する、
 最大の皮肉であり復讐じゃない?」
 
お願い‼︎

お願いだから黙って‼︎
自分たちは部外者なんだから‼︎



「なるほど……」

なるほど、じゃねぇよ

お婆さん……頼むから、
冷静になって考えて下さい。

そのライト、
手元に置いておきたいか?

視界に入る度に嫌な気持ちにならないか⁉︎

自分としては、
速やかに供養を勧めたい


「このまま嫌な思い出として残るより、
 少しでも華やかなものに上書き出来るなら
 ……その方が私たちも救われるかも」

ま、前向きですね……

「悪いのは泥棒だもん
 このキャンドルライトは悪くないもんね」

ああ……
優しくて、しっかりしたお嬢さんだ。


「でもリメイクと言われても、
 どうすれば良いか私たちには……」

「大丈夫よ、うちの子が何とかするわ
 昔からそういうのが好きなのよ」

鮮やかすぎる丸投げっぷり

うん
わかってた

そんな気は最初からしていたけれど

どうしろと

普段の仕事とはまた違った重圧
胃痛を感じるのは気のせいではない筈



「…………。」


じーっ……

どうしよう
すごく見られている

少女、
無言の圧力


「な、なに……かな……?」

「……ビルダーなの?」

「えっ……?
 いや、建築業ではないよ」

「あー……この子が言うビルダーは、
 物作りが好きな人、って意味です
 最近、夫とそういうゲームをしていて」

「へぇ……」

「人を助けるために戦うのが勇者なら、
 物作りが好きで楽しんでいた結果、
 人助けに繋がるのがビルダーなんです
 作るものも野菜からメカまで実に様々で」

幅広く手掛けすぎだろ


でも、そうか……

あくまでも物作りを楽しんで、
結果として喜んでもらえれば……と。

そういう考え方は嫌いじゃない。
その位の気軽さでも構わないのであれば……


「それでは『ビルダー』として
 そのキャンドルライトのリメイク、
 承ることにしましょうか」

「ええ、ぜひお願いします
 仏壇用にさえ見えなければそれで……」

「そう言わず、好みを聞かせて下さい
 どこまで寄せられるかは分かりませんが、
 出来るだけリクエストには応えたいので」

「はい、それでは──……」


そんなわけで
急遽、舞い込んだ依頼。

物作りの疲れを癒すための休暇を、
まさかの物作りに費やす本末転倒っぷり。

でも後悔はしていません。


あのお婆さんも今ごろ、
彼女なりのやり方で戦っていることでしょう

それなら自分も戦ってやるさ

ビルダーとして、
物作りという形でな……‼︎


100円ショップの仏壇用キャンドルライト。

色を塗ったり装飾を付け足して、
ゴージャスな姿にリメイクします。

これを──……




ビルダーが全力でリメイクを楽しんだ結果

こうなった




ちなみにコレは試作用のサンプル品です

流石に依頼品の写真を
載せるわけには行かないしね……

実際に渡した奴はもう少し、
カラフルでキュートな雰囲気。

そして名前の刻印入りかつ、
強度倍増バージョン


お渡ししたキャンドルライト

お嬢さんも気に入ってくれたようで、
嬉しそうに音楽教室の友達に
見せてまわっていたそうです。

歌の練習時だけでなく、
何故か魔法少女ごっこの時にも
活躍しているそうですが──……

どんなに振り回したり落としても大丈夫、
安心して思う存分に戦って下さいな

万が一、破損した場合も、
ちゃんと修理は承るしね。


それはさておき


ビルダーが主人公のゲームって、
わりと人気らしく種類も多いそうです。

少し気になっているので、
機会があれば挑戦してみたいのですが……

現在、音楽教室に通う他の親御さん達から、
キャンドルライトの依頼が相次いでいまして

しばらくの間、
ゲームの時間は取れそうにありません……

まぁ、これはこれで、
楽しいから良いのだけれどね。



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3 コメント

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Unknown (xxkaminosizukuxx)
2023-11-17 07:34:04
そ、そんなのママ友じゃねぇデェース。
( っ'-' )╮=͟͟͞͞🕯ブォン

あ、おはようございます。
オトシガミです。

でも、その前向きな考え方は共感出来ます。
いろいろと大変でしょうが、応援してますね!
返信する
Unknown (milkylotus)
2023-11-22 13:32:00
@xxkaminosizukuxx コメントありがとうございます‼︎
返信が遅れてすみません💦
泥棒ママさんは実家に強制送還されたそうです……
子供同士、姑同士は相変わらず仲良しだそうですが、ママ同士は距離を置く事になりました💦
人生、前向きに行きたいですね😄
返信する
Unknown (xxkaminosizukuxx)
2023-11-22 14:50:38
@milkylotus (;^ω^)こんにちは。
いろいろ有ったんですね💦
教えて頂きありがとうです。
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