や……やっと、終わった……
通常の仕事に加え、
個人で引き受けた仕事も大量で。
もう、内職状態。
依頼人のお嬢さんが、
あちこちでキャンドルライトを
宣伝してくれたおかげです。
最終的に6つ作る事になりました……
とは言え何かと物入りな今の時期に、
臨時収入は正直言って助かります。
頑張った自分へのご褒美も兼ねて、
今年は少し豪勢な年末を過ごしましょう……
そんなわけで。
依頼されていたキャンドルライトを、
お客さんたちに引き渡すべく。
指定されたファミレスに向かいます。
音楽教室の帰りに仲の良いママ友たちで、
よく集まる場所だそうで──……
何だか自分の学生時代を思い出して、
しみじみと懐かしい気分になってきます。
「こちらが依頼品になります」
オーダーメイドということもあり。
全てのキャンドルライトが少しづつ、
色やデザインをお客さんの好みに合わせて
変えてあるという、こだわりの一品です。
こっちは燭台の色がシルバーで、
あっちは花飾りがユリの花──……
わあっ、と歓声を上げて喜んでくれる姿は、
いつ見ても職人冥利に尽きますね。
徹夜の内職モードで、
連日、頑張った甲斐がありました……
これでやっと、ぐっすり眠れます。
「あ、あの……」
不意に
こちらの顔色をうかがうような、
遠慮がちな声が隣から。
「アクセサリーって、作れますか……?」
「物によりますが──……
ブローチやペンダント類の
依頼も受け付けていますよ
何か作りましょうか?」
「助かります、ぜひお願いします……‼︎」
彼女の話によると。
娘にアクセサリーを買う約束をしたものの、
なかなか好みに合致するものが見当たらず。
それならいっそ、
オーダーメイドにすれば良いのでは、と。
今、そう思いついたらしい。
「娘は雪や氷をモチーフにした物が好きで、
色も青や水色といった寒色を好みます」
「そう言えばキャンドルライトの依頼内容も
青系の飾りを付けて、ってありましたね」
「ええ、娘の名前が冬にちなんだ物なので、
たぶんその影響もあるのだと思います」
あー……
あるね、そういうこと。
自分も蓮の花が好きな理由、
恩人の名前が切っ掛けだし……
「それならパーツを沢山用意しますから、
娘さんに好きな物を選んで貰いましょうか
それはそれで良い記念品になりますよ」
今回の依頼で用意した材料が、
まだ少し残っています。
アクセサリー1つ分なら、
余裕で作れるでしょう……
「まあ楽しそう‼︎
ちょっと娘を呼んできます‼︎」
子供たちが集まる、
少し離れたボックス席。
ドリンバーの飲み物もそこそこに、
少女たちは携帯ゲーム機に熱中。
「ちょっといらっしゃい‼︎
ライト作ってくれたビルダーさんが、
アクセサリーも作ってくれるって」
「ママが最近やってるゲーム?」
「ゲームじゃなくて、
本当に作ってくれるの
好きな色やデザインを選べるのよ」
「ゲームから出てくるの?」
「お願い、ちょっとゲームから離れて‼︎」
会話を聞いていた他のママ友さんたちが、
お互いに顔を見合わせながら、
クスクスと肩を振るわせています。
「私たちの中で今、流行っているのよ」
すっ……と、
カバンの中からゲームを取り出すママたち。
ここに集まった6人のママさん全員が、
ゲーム友だちでもあるそうで。
「ファッションドリーマーっていうの
その名の通りオシャレを楽しむゲームで、
アイテムを自作出来るのが特徴なのよ」
「へぇ……」
「ミルさんはゲームするの?」
「しますよ」
単なる趣味に留まらず、
仕事でも重宝しています。
お子さんがいると打ち合わせの途中で、
飽きてしまうことが良くあるのですが……
そんな時に、このゲーム機が
思いのほか役に立ってくれるのです。
シューティングか落ちものパズル系が、
ルールもシンプルで遊びやすいようです。
「今日も念のため、持参してきましたし」
「あら本当だわ‼︎
じゃあせっかくだし、
ミルさんも一緒にやりましょうよ‼︎」
「え」
6人のママさんたちの勢いに負け、
何故かゲームをダウンロードする事に。
このジャンルをプレイする事になるとは、
正直言って想像していませんでした……
「ミルさんのデザイン、
私たちで作っても良い?」
「ええ、お願いします」
ああだこうだ言いながら。
キャラクタークリエイトする事、数分。
「はい、出来たわよ」
どや‼︎、と言わんばかりの
満足顔で渡されたそれは──……
どうしよう
わりと似てる
「け、結構……寄せてきましたね……」
「目の前にモデルがいるから楽勝よ」
逆にリアクションに困る
これ、どうすれば良いんだ……
「ビルダーのミルさんが、
どんなアイテムを作るか楽しみだわ」
「気が向いたらで良いから、
オンラインでもプレイしてみてね」
そんな言葉を掛けられながら、
黙々とチュートリアルをプレイ。
へぇ……このゲームって、
他のキャラクターをコーデするだけでなく、
自分がコーデされる事もあるんだね……
ポニテ男子と和服の組み合わせは定番。
しかし、この靴とピアスはどうなんだ⁉︎
こっちの世界でも、
ネタ要員として扱われている可能性……?
まぁ、とりあえず。
アクセサリー用の素材を作りながら、
ちまちまとゲームも進めていきます。
相手の好みを聞いて、
それに沿ったアイテムを作って行く。
なんだかゲームの中でも外でも、
似たような事をしているような気が……
私は何度かID変更してきて フォローボタン は 要らない って思うようになりました
コメントありがとうございます
フォローボタン、無くてもわりと大丈夫そうですね💦