仕切り直しティータイム

「ミルくん生きてる？

　今日も泣ける暑さだからお休みだ。

　庭仕事はダメだよ、涼しく過ごしてね」

社長……

毎回、挨拶がわりに生存確認しないで下さい……

まぁ、熱中症も増えているし気持ちはわかりますが。

「そう言えば人形作りはどうなった？

　やっぱりお絵描きとは勝手が違うの？」

二次元のお絵描きと三次元の創作だからね……

確かに色々と違いはありますが。

でも、意外と何とかなっているので、

当初抱いた無茶振り感は薄れています。

「今度は髪の植毛に着手しようかと」

「あー……

　やっぱりミルくんの髪の毛使うの？」

待って

やっぱりって何⁉︎

どこから来たの、その発想…‼︎

「鶴の恩返しじゃないんだから……」

「じゃあその長髪、いつ使うのさ」

「少なくとも人形作りにではない事だけは確かだよ‼︎」

そもそも使わない……‼︎

この長髪は単なるファッション……ッ‼︎

「それに人毛使った人形って、

　髪の毛が伸びる怪異とか起きそうだし」

「お盆らしくて良いじゃないか」

社長……

冷静に考えて下さい。

そんな人形貰って嬉しいか⁉︎

『自毛を植え付けました』とか言われても、

相手方は反応に困るだけだと思うよ⁉︎

想いを込めた、とか

手間暇かけた……ってレベルじゃねぇ

も　は　や　呪　詛　。

このまま会話を続けていても、

手掛けた人形が呪物化するだけなので。

社長には早々に退出いただきました。

ついでにミントを一握り摘んで、

前回トラブルに巻き込まれて中断した

ハーブティータイムの仕切り直しと行きましょう。

レモンとハチミツを入れて、

甘酸っぱい清涼感を満喫。

室内にも爽やかなミントの香りが漂います。

あー…癒される……

でも

そっか

作成中の人形……

何かの拍子に呪物化する可能性あるんだな……

お盆が近いし。

そうでなくても何かしらのトラブル引き寄せ体質だし。

霊障の対処なんてハチの巣駆除と同レベルの

カジュアルな依頼と化しつつある今日この頃。

人形が意思持っても不思議じゃない環境だよね。

……。

…………。

まぁ…意思持ったら持ったで、

その時にまた考えることにしましょう……