約3週間前の水曜日、高校時代の友達から連絡があり、同じクラスだったSちゃんがもう長く生きられないということを知らされました。子宮がんのステージ3とのことでした。抗がん剤の効果なく、緩和ケアに移行したという状況でした。ホスピスに入れるようになるまで自宅で過ごすことになるものの、訪問看護が受けられる手はずが整うまでは退院できないとのこと。私がSちゃんのことを知った日を「その日」とします。
高校時代、Sちゃんと同じグループだったわけでもない私に知らせてくれたのは、私にオーダーしてくれたものをとても大切に使っていて、よく私の話をしていたからだそうです。私なんかでいいのか?他にもっと会いたい人がいるんじゃないのか?面会したいと希望するのは私の自己満足にならないか?葛藤がありました。でも自分なんかの判断より、他人が判断してくれたその意見を重んじたいと思いました。友達が声をかけてくれたのは、「今その時」というタイミングだからのはず。キャンプ2日目の予定でしたが、命は待ってくれないので万難排してキャンプ場から向かうつもりでした(結局キャンプは体調不良者発生のためキャンセルになりました)。
その日から4日後の日曜日、友達とお見舞いに行きました。帰りに紫陽花を見たのはこの日でした(ブログの投稿日とは異なります)。婦人科の病気のため、産科と同じフロアにいるということを知り、胸を締め付けられる思いでした。子宮を取って、命が終わりそうな人が、子宮から生まれたばかりの人がいる場所にいる…。Sちゃんはもう全て受け入れている様子で、「余命があるうちに」とか「私が死んだら」という言葉を口にしていました。私には明日があってごめんなさいという気持ちになりました。デリケートな話をどこまでこちらから問いかけていいのか、死を覚悟した人になんと声をかけていいか戸惑いました。
1人で死を迎えようとしている本人に比べたら全然大した事ないのでしょうが、そのことを知って受け止めるというのもとても重いことでした。未来にやりたいことがあって、当然できると思っているということが、どんなにありがたいことかを思い知らされました。話をした中で、私も七五三でお願いした高校のクラスメイトのカメラマンに写真を撮ってもらいたいと言っていたので、友達と2人で撮影をプレゼントしたいと思いました。1日でも早く、元気な姿をのこしてあげたくて、その日のうちにカメラマンと連絡を取って承諾を得ました。
その日から5日後の月曜日にSちゃんと連絡を取り、撮影の日取りを決めました。自宅近くの公園で1人で撮ってもらい、後日家族写真を1枚撮ってもらうことになりました。すごく喜んでくれて、楽しみにしてくれました。そのワクワクでがん細胞がいくつか撃退できたのではないかと思います。
その日から6日後の火曜日に退院。梅雨らしい日が続いていた中、この日は晴れて気持ちの良い日でした。
その日から9日後の金曜日、撮影日でした。この日も晴れて、晴れ過ぎて猛暑でした。ところが当日朝連絡を取ると、体調が悪く起き上がれないとのこと。とりあえずその日の撮影は延期にしました。夜になって、撮影自体をキャンセルしたいと連絡が来ました。このまま寝たきりになることを覚悟したようでした。私は願いをかなえてあげられなくなりそうなことにショックで、その日は返信できませんでした。回復することを願って、本人には伝えずに家族写真の撮影日はそのままカメラマンにあけておいてもらいました。
その日から12日後の月曜日、今回作った3人のLINEグループに他愛のない話を送信すると、返信してくれました。誤字があり、もしかして文字を打つのも大変なのかな、と思いましたが、顔文字が入っていたので音声入力にするほどではないのだと理解しました。
その日から16日後の金曜日、カメラマンからSちゃんの体調を気遣う連絡が。この人はいつも穏やかで冷静で優しい。グループLINEには動きがないので、友達が個人的に連絡しているかと思って聞いてみると連絡していないとのこと。グループLINEに投げかけてもらいました。
その日から18日後の日曜日、一向にLINEに反応がなく、友達によると既読にならないと言うので実家に電話してもらいましたがつながらないとのこと。
その日から19日後の月曜日、友達から電話がかかってきて、3日前の金曜日にすでに亡くなっていたとのこと。葬儀はこれからということで、一緒に告別式に行くことにしました。それから、シフトを代わってもらったり、連絡できる限り葬儀の情報を広めたりしてあわただしく過ぎていきました。
その日から22日後の木曜日、お通夜。高校のクラスメイトが何人も行ったそうです。
その日から23日後の金曜日の昨日、告別式でした。会ってから2週間ほどで亡くなるなんて、早すぎて実感がわきませんでしたが、入口の大きな看板を見て、現実なんだ…と思いました。会場の手前のスペースに遺品が飾ってあって、その中の目立つ場所に、2週間前、ホスピスで使えるかと思ってプレゼントしたバッグがあり、胸がいっぱいになりました。キリスト教式で、お花がとてもきれいでした。独身だったSちゃん、女性としてやりたいことがいっぱいあっただろう、ご両親は娘が花で飾られるのは結婚式であってほしかっただろうと思うと涙があふれました。
弔電が3通あったのですが、3通目は高校の部活一同から。「もうあの笑顔が見られないと思うと」「悲しくて」という言葉にうんうんと心の中でうなずきました。Sちゃんは笑っている顔しか思い出せません。「お悔み申し上げます」とか「安らかに」とか葬儀用語?はあるけれど、そうだ「悲しい」んだ、と気持ちをストレートに表現したメッセージに感動してしまいました。
行くつもりで楽しみにしていたサザンのコンサートには行けなかったのですが、メンバー全員がSちゃんのために特別にサインして送ってくれたイベントTシャツを棺に納めました。会場後方の席に私物の山が置いてあって、その1番上に私の作ったマスクケースが置いてあり、お母さんの荷物かな?プレゼントしたのかな?と思っていたら、それは棺に入れる品々でした。こんな経験初めて…。天国に持っていく宝物と花でいっぱいになった棺に、最後にご両親が花を添えました。親として子どもを見送るなんてこんな辛いことはないと思いました。
その日から24日後の土曜日の今日は、2回目の撮影(家族写真)予定日でした。七夕撮影だね、なんて言っていました。だからどうしても今日投稿したくて書いています。書くことで追悼し、自分の運命を受け入れて旅立ったSちゃんのように、私もSちゃんの死を受け入れたいと思います。これからは毎年紫陽花の季節が来たら、Sちゃんと、七夕にかなわなかった願いを思い出すでしょう。
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mimi
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