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なので、タイトルはそのまま変えられませんでしたの。
まあプロローグからもとのバージョンとだいぶ違うのですが気にしないで!これからの展開もっとテコはいりますよー!
がんばります。ところで、今回のバージョン挿絵付き?いや、途中で扉絵になる可能性もありますが、そういえばブラッディストも最後の方挿絵ありましたね。と思って。
そんなわけで本編どうぞ。
やけに青い朝だった。
俺は科学的な根拠でこう、光線の具合で青く見えるのはどうだとかってことは全く知らないが、冗談ではなく、何もかもが青く見える日というのはある。
証明するのは難しいが、青さの基準で言ったらコンクリートの建物や道路が一番わかりやすい。差し込む光がもはや蒼。昼間でも割とある現象だ。
まあ、月や空が青かったり赤かったりみたいなもんだ。
特に何もない日でも、あの色でどきりとする。
解明されたらつまらないんだろうが。
俺が我が家の道場を見に来た時、そこにいつもうちによってくる猫をいじりにくる女が猫を抱いてぽつんと立っていた。
我が家は、表向きは道場で空手を教えている家だが、実は中身は違う。
俺の名は月影草二。
この女は名前を聞いて、それは闇のスイーパーだよ、といった。
「よ、どうした?」
「最後に、あって行こうと思って。」
貴志美諒子は、力のない笑顔でこっちを見た。
「これから、この子たちにも会えなくなるだろうから」
何かあったのか?と聞こうと思ったが、言わないでおいた。聞いたらまるで遺言のようだ。
「君が本当に、スイーパーさんならよかったのに」
「なんだ、殺してほしい奴でもいるのか」
愚問だよ、とばかりに諒子は笑った。
「もう手遅れだけどね。トリノ君、きれちゃったから。これから二人で逃げるよ。残念だけど」
「ごくろーさんだな。けど、お前は逃げなくてもいいんじゃないか?それなら、」
「行かなきゃいけない場所があるんだよ。」
貴志美は猫の手をとって、ばいばい、と手をふった。この猫は、俺がゴン太と呼んでる奴だ。
「こうなった責任は私にもありますから。」
「ゴン太、つれてくか?」
「いやそれは冗談すぎでしょ。この子にそんな逃避行させちゃ駄目だよ、なんにもしてないのに、にゃ」
ゴン太は巨体の割に動きが素早い。諒子の手を離れると、するりと道場の裏に去って行った。…って、さっき俺が飯おいたから、そっちだな。
「死ななきゃいけない悪い人っていうのはいるんだけど、何も身内が殺さなくてもて思っちゃうんだよね、きっとそれは私が駄目なんだろうけど、もーちょっとなんとかね…」
貴志美は感情が喜しかないタイプの女だと思っていたが、どうやらそうでもなかったようだ。純粋に鳥野のために悲しんでいるのだろう。俺はせめて鳥野がこいつを大切にしてやることを望んだ。
「そんなわけだから、スイーパーさんは、好きな人はちゃんと守らなきゃ駄目だよー後から後悔するようなことは絶対しちゃ駄目だからね」
「気にするな、人間はなにしても後悔するようにできてる」
「それじゃトリノ君と一緒だよー」
もー、と言う感じだが、どこかその言葉にはあたたかみがあった。
俺はあんまりうれしくはないが、貴志美の言う通り、同類なんだろう。
超能力社会に、何の能力ももっていない普通の人間の俺が暗殺者の家系って言うんだからため息ものとしか表現しようがない。
「んじゃ、元気でな。あったことないけど、鳥野にもよろしく」
言うと、貴志美は何か言いたそうに唇を動かしたが、一言だけ、
「皆によろしくね。」
と言った。
俺は、皆って誰だよ、と突っ込まずにはいられない気がしたが、きっとこの時どこかでこいつみたいな奴に会うんだろう、とわかっていたような気がする。
そして、その時、もう水面下で事件は起こっていたのであった―――。
俺がいつも入り浸っている隣のクラスの皆月の従姉だと言う女から連絡がはいったのは、一週間も後のことだった。