今朝、たまたまテレビのチャンネルを回していたら、テニス界の往年の名選手であるナブラチロワとクリス・エバートが対談をやっていた。二人はライバルであると同時に、大の仲良しでもある。
クリス・エバートが8歳の時、あるテニスの試合に出場した。たまたま父が見に来られなかったので、家に帰って報告した。
エバート:「今日はすごくよかったのよ。フォアーもよかったし、バックハンドもうまく打てた。ダブルフォールトは1回もしなかったのよ」
父 :「それでスコアーは?」
エバート:「6-0,6-0,6-0 で負けちゃった。」
何ともいい話である。人間、しかられれば萎縮する。反対に、ほめられればやる気が出る。
先日、シドニーパラリンピック車椅子バスケットボール元日本代表チームキャプテンだった根木慎志(ねぎしんじ)さんのお話を聞く機会があった。18歳(高校生)の時交通事故に遭い、その後、車椅子バスケットに出会い、選手として大活躍をした人である。
根木さんが、アメリカにコーチングの勉強に行ったときのことである。生まれて初めて、「ほめられるシャワー」を浴びたそうだ。日本の練習では「アホ、ボケ、カス」などとしごかれるが、アメリカでは失敗をしても常にほめられる。前向きなのだ。クリス・エバートの話を聞いていて、ふと根木さんの話を思い出した。根木慎志氏が講演の中で、「ほめられるシャワー」を浴びていたら、そのうち自分もほめることができるようになったと語っておられたのが印象的だった。
アメリカではまずほめる。アンケートで Excellent, Very good, Good, Fair(普通), Unsatisfactory(不満足)の中から、Very good, Good を中心に○をつけたら、「いったい何が不満なのか」と聞かれたという。アメリカでは Excellent 以外はすべてバッドスコアらしい。
ところで、日本の学校では、小学生は授業中さかんに「ハーイ」「ハーイ」といって手を挙げる。しかし、高学年になるとだんだん手を挙げなくなり、中学生や高校生になると、たとえ質問の答えを知っていても手を挙げなくなる。その遺伝子は、大人になっても受け継がれる。かくして「日本人はシャイな民族なのだ」と本人も周りも信じて疑わない。
しかし、ふと、疑問に思う。日本人は根っからのシャイなのか。日本のコーチングの仕方に問題があるのではないか。日本の学校では、教師は常に正解を持っており、生徒が間違うとすぐ叱る。これを毎日繰り返すと、生徒は萎縮し、次第に自己防衛のために発言を控えるようになる。このことは英語教育で特に顕著に現れている。
日本人の自己肯定感が極端に低いのも、こうした教育の仕方とも関係があるのではないか。
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