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南英世の 「くろねこ日記」

絶対に緩まないナット


2012年9月29日、金融経済教育教員研究会主催の講演会が行われた。
講師は、ハードロック工業社長 若林克彦氏。
知る人ぞ知る「絶対に緩まないナット」の開発者である。

会社は東大阪市にある。
分類的にいえば、社員48人の中小企業である。
ところがこの会社はただの会社ではない。
「絶対に緩まない」という世界に誇れるナットを作っているのだ。
16両編成の新幹線には、写真で示したナットが2万個使われている。
スカイツリーには40万個使われている。
振動でナットが緩むと困る橋梁、高速道路、高層ビルなど、ありとあらゆるところにこの製品が使われている。
もちろん日本国内だけではない。世界中に輸出されている。
1974年に生産を開始して38年。一度も事故を起こしたことがないという。

若林社長は「絶対に緩まない秘密」を私たちに説明してくれた。




仕掛けは写真の赤い部分(説明しやすいように、私がマジックで塗った部分)にある。
凸ナットの中心を少しずらしてあるのがポイントである。
これが強力な緩み止め効果を生む。
振動でナットが緩もうとすればするほど、締め付けがきつくなる仕掛けである。
説明を受けて、「なるほど、これなら緩まない」と感動した。
何より、原理がシンプルなところがいい。
このナットをぜひ生徒に紹介したいと言ったら、若林社長はデモンストレーション用に持参した大きなナット(写真)を私にくださった。参加したほかの人たちの羨望を一身に感じた(笑)。

早速、学校に持って行って、このナットを教室で生徒に紹介した。
原理がシンプルで理解しやすかったこともあって、生徒も「オー」と感動しながら聞いてくれた。
ナットの緩み止め効果を確かめるために、ひとしきり触る生徒もいた。


自分が得する事ばかりを考える世の中にあって、
「まず、相手に喜んでもらうことのほうが大事だ」という若林社長の言葉が印象に残った。
覚えるばかりの日本の教育。
もっと自分で何かに挑戦する授業があってもいい。
近年にない、いいお話だった。
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