ヤフオクに「雪晴れの朝」という30号の絵が出品されていた。黒沢信男画伯が白馬山麓を描いた油彩の1点ものである。
白馬鑓ヶ岳(しろうまやりがたけ)が正面にそびえたち、左手前には八方尾根スキー場、谷をはさんで右側に岩岳スキー場が描かれている。
一目見てほしくなった。しかし、複製ではなく肉筆である。相当値が張るに違いない。美術年鑑を調べると黒沢信男の相場は号24万円とある。
オークションは最後の10分で勝負が決まる。終了10分前、それまでの入札最高額の2倍を超える値段をドカンと入れた。さあ、どこまで競りあがるか。来るなら来い、受けて立つぞ。
ところが、対抗馬が一向に現れない。残り時間がどんどん短くなっていく。残り3分・・・。肉筆画の30号という大作をこんな安い値段で本当に落札できるのかと思ったが、やがてオークションが終了し、競り合うこともなく落札した。
かくして、待望の絵が届いた。受け取ってびっくり。30号ってこんなに大きいのか。しかも重い。
すぐ玄関に飾った。藤井智美先生の「笹部桜」と並んで肉筆画が二つ。玄関が一気に華やかになった。
後日、ネットで同じアングルで撮影された写真を見つけた。右下に水力発電所が写っているから間違いない。松川橋から撮られたものと思われる。
(白馬鑓ヶ岳)
白馬山麓には八方、岩岳、栂池、白馬乗鞍などたくさんのスキー場がある。これらの一つ一つに思い出がある。とくに白馬乗鞍は今から40年前(1983年)、生まれて初めてヘリコプタースキーをしたので印象深い。ヘリで山の頂上付近まで行き、山岳ガイドの案内で標高差1350メートルのバックカントリースキーを思いっきり楽しんだ。
(白馬乗鞍岳の大斜面)
あれから40年。今72歳。スキーはもう卒業した。板も靴も全部処分した。でも、この絵を見ていると、スキーにまつわるさまざまな思い出がよみがえってくる。
(2018年 天王寺高校山岳スキー部の生徒と栂池にて)