行き先はアパート。息子21歳、大学3年生にして、初めて一人暮らしをすることになったのだ。
世間的には、一人暮らしも当たり前の年だが、息子は、生まれたときは、両親・祖父母・曽祖父母との7人暮らし。しかも私たちの一人息子。元小作農の零細農家とはいえ、農家にありがちな古い考えの中で育ってきた若者。田舎の大人に囲まれて、世間のことをあまり知らずに育ってきた若者だ。
だから、これは彼の人生の一大事なのだった。(と、親は思っているのだった。息子自身はどう思っているのか知らないけどね)
車の中で息子は言ってた。「オレ、まだ17歳ぐらいの中身やからな~」 うん、新入生とちょうど同じくらいの世間度だと思う(笑)。でもこれでいい経験をすればいいじゃないか。
昨夜、私は蒲団に入ってから眠れなかった。私が19歳で、誰もいない下宿屋の一室の暗闇の中で、一人蒲団にくるまって、不安な夜を過ごしたことを思い出したからだ。「ああ、息子もそんな不安な夜を過ごすんだろうかなぁ」と思うと、なんだかたまらない気持ちになるのだった。(とっても親ばかだった(笑))
昼にアパートに着き、あり合わせのご飯を食べ、荷物を整理し、思いつく生活用品を買い出しにいって、そのあと妻と私はそそくさと帰ってきた。あんまりベタベタすると親が子離れできなさそうだった。
帰り際、息子はちょっとさびしそうな仕草をしていたが、何も言わなかった。
帰り道、京滋バイパスをおりて京奈和道に向かうはずが、妻と息子の話をしていたのと、新しい高速があまりに気持ちよかったのとで、名神に入ってしまい、大阪回りで帰ってきた。
息子からは2度メールがあって、アパートの近くに下宿している大学の友だちが遊びに来てくれたとのことだった。
ばあさんは、慣れないメールを一生懸命息子に打っていた。息子の返事は素っ気なかったみたいだけれど(笑)。でも息子が出かけ際に、ばあさんに“カリカリ小梅”をあげたことを、ばあさんから聞いた。ばあさんはそれがとてもうれしかったようだ。
今、深夜、息子は眠っているだろうか。それともテレビやパソコンのディスプレイを見ながら過ごしているだろうか。
しばらくは、酔っ払った息子を迎えに行くために、ガレージを開けておく必要もなくなった。きまって10時にお風呂に入る息子を待って、私たちがお風呂に入る必要もない。
妻は「今日からしばらくは、朝、起こしに行く必要もなくなったんやねぇ」と言ってた。
今や、家には男一人となった私は、男の小便用のトイレに入って、「これを使うのはオレしかいなくなったんやなぁ」と思った。
いつもは3月中に来ていたツバメが、今年はようやく今日姿を見せた。
巣のある私のガレージは、これから数ヶ月、いつも半開きとなる。
よくきてくれたね
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