怒りの沸点(?)は、
人それぞれ
違いますよね…。
私は、元々 怒りの沸点が低い様で、普段 “ 怒りを表に出す ” ということが ほとんどありません。
ですから、巷でよく見掛ける “ ヒステリックに子供を叱る母親の姿 ” が好きではありません。
ある時、夫と訪れたラーメン屋さんでのこと…。
隣のテーブルには、小学校1,2年生位の女の子とお母さんが座っていました。
女の子は、一生懸命お母さんに話し掛けています。
テーブルが近いので、どうしても会話が耳に入ってきてしまいます。
「 2年生になったら…」 と話していますから、やはり小学校1年生です。
お母さんは適当に、本当に適当に、答えていました。
そして、足を揺らしている女の子に 「 プラプラしないで!」 とプリプリ叱り、その他にもあらゆることにプリプリ…。
その度に女の子は話題を変えて、お母さんに一生懸命 話し掛けています。
私は、女の子の健気さに心を打たれていました。
そのうちに、隣のテーブルにラーメンが運ばれて来ました。
二人が食べ始めて しばらくした頃、お母さんが 「 ああ、食べにくい!」 とポツリ…。
どうやら割り箸が綺麗に割れなかったらしく、片方が短くて食べにくい様です。
それでも、そのままズルズルと食べ続けては、「 食べにくい!」 と何度か呟いていました。
私達のテーブルにもラーメンが運ばれて来ましたので、私達も美味しく食べ始めました。
その間にも、女の子がお母さんに話し掛ける声がずっと聞こえていました。
と…?
「 何でこんなに箸を割ってんのよー!」 という声が…。
ふと見ると、隣のテーブルには割り箸が何本か転がっていました。
「 もうー!何やってんのよ!手イタズラしないで!」
お母さんはプリプリしながら、ズルズル食べ続けます…。
女の子は ほんの一瞬うつむき、またしても笑顔で違う話題を話し出しました。
私はその時、どれほど言ってあげたかったことか…。
「 お母さん、貴女のためですよ!」 と…。
そうです。
女の子は、「 食べにくい!」 と呟いたお母さんのために、そっとお箸を割り続けていたのですね。
上手に割ることが出来たら、お母さんに渡すつもりだったのでしょう。
ところが子供の小さな手では難しかったのか、割り損ねたお箸がテーブルに並ぶことになってしまったのです。
女の子の優しい心にも気付かず、プリプリしながら食べ続けるお母さん。
叱られて泣くこともせず、 「だってお母さんが言ったから。」 と言い訳もせず、笑顔で話し掛けてお母さんの気持ちを解そうとする女の子…。
こんなに小さな子供なのに…。
多分、お家でもこんな光景が 日々繰り広げられているのかと思うと、私は胸が苦しくなってしまいました。
「 あぁ、せめてお父さんが優しい人であります様に…。」 と願わずにはいられませんでした。
その後、店員さんを呼び止めたお母さんは、とびきりの笑顔で、「すみません、セットのデザートをお願いします。」
“ 外面が良い ” ってこういうことですね…。
どうかあの女の子には、お母さんを見習わず、そのまま清らかに育って欲しいと思います。
怒れる様…特にヒステリックに怒る姿は、どんなに素晴らしい人でも、決して美しくはありません。
お顔の皺も、心の皺も増えてしまう様な気がしますから…。
なるべく
心穏やかに
過ごしたいものです。