玄関先で動かない母に最初に声をかけたのは、高校受験を控えた長女だった。
母は買い物途中の通いなれた道の、ほんの少しの段差に気づかす転倒をしたという。
痛みは無く、少し足をひねっただけだと言った。私も長女も母も、その時は、ただの転倒だとしか思わなかった。
後で知るのだか、高齢者が介護を必要とする最初の一歩は転倒による自信の喪失である。とある介護職員から聞かされた。
しかし転倒は避けにくいものでもある。
何気なく歩いている道も、よく見ると段差があり、滑りやすくもなっている。駅やスーパーは人混みでもある。
意外と高齢者には危険が沢山あるものかもしれない。