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「疲労」

2012年05月30日 | 労働環境



 疲労



 私たちが普段、生活や仕事を通じて感じている疲労。疲労の性質を知ることで、疲労との適切な付き合い方について考えます――。



 疲労の性質



 疲労には、二つの性質がある。一つは「可逆性」で、心身の状態変化が起こっても、初期の段階で適切に休息をとれば、元の状態に戻れるもの。

                    


 もう一つの性質は「進行性」で、心身の状態変化が起こっているにも関わらず、無理をしてその活動を続けると状態変化が進行して、健康障害へと行き着く。

 また、この進行性と関連して、「蓄積性」という性質もある。

 疲労の進行と回復とを繰り返す過程で、バランスを逸すると、元の状態に戻らずに疲労が蓄積され、ついには慢性化することになる。


                   


 労働と生活の節目の無さは、働く人間の疲労回復を悪くして、疲労の慢性化へと追い込む。

 こうした形で起こる慢性疲労は、体調を崩したり、様々な疾病の引き金になるため、仕事の抱えすぎや、時間追われ、ゆとりのなさといった問題を解決することが重要になってくる。



 慢性疲労



 残業が長引いたり、夜勤などに従事すれば、前の勤務の疲労を翌日の勤務に持ち越すことになる。

 慢性疲労は、疲労の進行が平常より大きくなり、睡眠・休息の時間が不十分になって、疲労回復が滞りがちになると起こる。

                   


 生活時間の調査によれば、帰宅が22時をまわると、就床時間も明らかに遅くなることが示されている。残業で疲労が大きく進むのに、休息が少なければ、当然、疲労回復は不十分に終わる。

 したがって、残業時間が月に40~50時間を超え、場合によっては100時間にも達するような場合、慢性疲労が懸念されることになる。



 残業時間と疲労の関係



 下図は、出版労働者を対象に疲れ具合と健康状態を残業時間別に比較したもの。


          


 「一晩で回復する」という比率は、残業が10時間以内だと30%内外だが、10時間を越えると10%台に減り、さらに残業時間が長くなるにつれて比率が減っている。

 これと対をなす形で、「疲れが毎日たまっていく感じ」が、残業時間とともに増え続ける。

 とくに、残業が40時間を越えるあたりから疲労蓄積の訴えが急速に増し、100時間以上では全員が「疲れがたまっていく」と回答している。



 残業時間と健康状態



 労働者の健康状態を、残業時間との関連で見たのが下図。


           


 健康状態が「普通か良好」と答えた人の比率が、残業が0時間の場合は約75%と4分の3を占め、70時間くらいまでは50%内外で経過する。

 しかし、75時間あたりから減り始め、100時間以上になると「普通か良好」は皆無だった。
 
 残業の増加によって「健康がなんとなく優れない」と答える人が増加するという点は大変重要である。


                   


 つまり、残業によって健康状態は確実に低下するが、即加療が必要なほどでもない。いうなれば、半健康状態が蔓延してくることが特徴といえる。



 疲労対策



 労働と休憩のあり方についての吟味が必要である。無理に頑張るより、うまく休憩をとりながら作業に臨んだほうが、健康と作業能率の両面からみて有利。

 残業を減らすことも有効な疲労対策になる。時間的ゆとりができれば、当然、心身ともに楽になり、生活やライフスタイルに関心を向けられる。


                   


 特に、充電の時間を持つことは、よい仕事、よい生活をする上で不可欠。また、職場の環境を充実させることも大事になってくる。

 仕事の特性に見合ったソフトな職場環境づくりが望まれる。VDT作業では、スペースの広さ、照明、植栽、環境音楽の有様が大切である。



【記事引用】「人間の許容限界ハンドブック
【画像引用】「FOTOSEARCH」「日経エレクトロニクス/01年5月7日号

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