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【円谷映画祭】 『ウルトラマン』 4Kディスカバリー

2024年10月04日 | ウルトラ関連
 
 
『ウルトラマン』~浪漫のものがたり~ 


 “空想の力を育み、今も古びぬエピソードの数々を大迫力のスクリーンで観てもらいたい”という思いから生まれた『円谷映画祭』。

 10月4日(金)~17日(木)の期間限定で上映する「浪漫のものがたり」では、ウルトラマン全39話の中から、浪漫あふれる怪獣たちの物語をセレクト。

 人間の科学と古代の怪獣が交わった時に巻き起こる事件やドラマの真相を、4Kリマスター&大画面・大音量でご覧ください——。


      


上映作品    

 第3話「科特隊出撃せよ」

 第19話「悪魔はふたたび」

 第26話「怪獣殿下 前編」

 第27話「怪獣殿下 後編」

 

 

 第3話「科特隊出撃せよ」



 城の古井戸から恐ろしい音が聞こえるという通報が科特隊に寄せられ、フジ隊員とホシノ少年が調査に向かった。

 調査中に突然、山崩れが起きて水力発電所が破壊され、発電所の職員は消えていく怪獣を見たという。さらに、近くの送電所で送電事故が発生。

 それは、電気を吸い取ってエネルギーにする透明怪獣ネロンガの仕業だった――。






【制作裏話】

 ホシノ少年が井戸の底から見上げた井戸の内壁は、描いた絵を合成している。

 ネロンガの名前は“皇帝ネロ”から名付けられており、怪獣スーツは東宝怪獣のバラゴンを改造して使われた。





 ネロンガに入っているのはゴジラを演じた中島春雄氏で、中島氏が動きの段取りを組んだ。

 ウルトラマンとネロンガの戦うシーンは数百カット撮ったが、実際に放送されたのは60カットほどだったという。

 また、古谷氏は一度ネロンガの中に入ってみたが重すぎて立てず、接着剤やゴム、ウレタンなどの臭いで気持ち悪くなり、自分の声も外に伝わらず恐怖を感じたとのこと。

 「怪獣に入って颯爽と演技している中島春雄さんは本当に凄いと思った」と自著『ウルトラマンになった男』で述べている。




 また、フジ隊員役の桜井氏が撮影の空き時間に特撮ステージで初めてウルトラマンと怪獣の格闘シーンの撮影を見たのはこの回だった。

 休憩時間に、体全体から湯気を出しながらガックリと木箱に座る古谷氏の姿とウルトラマンの長靴から「ザァーッ!」と大量の汗が捨てられる光景に驚いたという。

 古谷氏と中島氏の姿は桜井氏の気持ちを打つものがあり、「主役はこの人たちだわ」とはっきりと思ったという。

 なお、冒頭の城は小田原城天守閣 、水力発電所は静岡の須川発電所 、洞窟内は伊豆シャボテン公園がロケ地になっている。


 

 

 第19話「悪魔はふたたび」



 東京のビル工事現場から金属製のカプセルが発見され、中には金属板と青い液体が入っていた。

 金属板と青い液体は研究所で検査が行われ、金属板の古代文字を解読すると「3億5000万年前にカプセルに怪獣を封じ込めた」と書かれていた。

 そんな中、工事現場に埋められていたもう一つの赤い液体が入ったカプセルからバニラ、鉱物試験場からアボラスが出現し、暴れ始めた――。






【制作裏話①】

 アボラスはレッドキングの頭を挿げ替えて造形。バニラはタツノオトシゴを怪獣にしたという。クライマックスシーンは、国立競技場とその周辺でロケが行われた。

 国立競技場のセットの図面は池谷仙克氏が作成。当時は国立競技場の資料が無かったので、自分でロケハンして写真をとって図面をひいたとのこと。






【制作裏話②】

 番組制作が放送に間に合わなくなり、円谷英二監督が自ら特撮班を編成し、特撮の指揮をとったのが第18話と第19話。

 しかし、当時は「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」の特技監修、「キングコングの逆襲」の特技監督として準備段階に入るという極めて多忙な時期だった。

 にも関らず、円谷監督は朝9時には撮影所に来て、スタッフに自分で描いた撮影コンテを渡して指示をしていたという。







 第26話「怪獣殿下 前編」


 怪獣好きのオサム少年は、怪獣の存在を否定するクラスメイトたちに“怪獣殿下”と呼ばれてバカにされていた。

 そんなある日、生物学者率いる学術調査隊がジョンスン島で古代怪獣ゴモラを発見した。そのニュースは大々的に報じられ、オサム少年も鼻高々だった。

 万国博古代館に出品するため、UNG麻酔弾を打たれて科特隊によって大阪へ空輸されることになったゴモラだったが、途中で麻酔が切れ、六甲山に落下した――。






【制作裏話】

 かつてTBSのネット局だったABCの要請を受けて大阪ロケが実現した作品。

 第8話「怪獣無法地帯」の吸血植物スフランが再び登場し、ここでもスパイダーショットから繰り出される本物の火炎放射によって焼き切られている。

 ちなみに、アラシ隊員のスパイダーのグリップの下の方をよく見ると、ガスを送る黒いコードのようなものが一瞬映る。

 ロケが行われた団地は調布市にある多摩川住宅で、子供が発する「シオシオのパー」は、当時流行っていたブースカ語。





 作品中で、ウルトラマンがゴモラが繰り出す尻尾攻撃を顔に受けた後、オサム少年の前にベータカプセルが転がる。

 これは、「ウルトラマンが普段、ベータカプセルを孫悟空の如意棒のように耳の中に納めており、それが衝撃で外に飛び出した」とまことしやかに囁かれている。

 なお、ゴモラの頭部は、戦国武将である黒田長政の兜をモチーフにしてデザインしており、頭部のみ現存している。






 第27話「怪獣殿下 後編」



 ウルトラマンとの戦いで地中に消えたゴモラが大阪市街地に現れ、街を破壊し始めたため、科特隊が現場に急行した。

 ハヤタ隊員が発射したマルス113によって尻尾を焼き切られたゴモラは、再び地中に潜り始め、発信機を取り付けた追尾弾も命中させることにも成功。

 ビーコンを追跡するとゴモラは大阪城へ向かっていることがわかり、科特隊と自衛隊が大阪城公園で迎え撃つことになった――。






【制作裏話】

 劇中で対策本部が置かれた大阪タワーは、朝日放送の放送局に併設されていたが、現在は解体されており現存していない。

 プロレスラーの前田日明は少年時代、番組視聴後に大阪城に行き、掃除のおじさんに「お城壊れなかったの?」と聞くと、「昨日、徹夜で直してん」と言われたとか 笑

 なお、上記画像の科特隊がゴモラに光線銃で攻撃しているシーンは、丸の内仲通りビルで撮影されている。







 編集後記


 「浪漫ものがたり」で注目なのは、第19話「悪魔はふたたび」。

 この回は、撮影スケジュールの遅れによって、“特撮の神様”円谷英二がピンチヒッターとして特撮シーンの監督を務めています。

 通常は1回しか撃たないスペシウム光線を3回も連続して撃たせるぶっ飛んだ演出は、円谷監督の「子供に喜んでもらいたい」という思いからでしょう。





 円谷英二監督が監修と特技監督の両方を務めた『ウルトラマン』の作品を映画館の大スクリーンで観れるのは、貴重な機会かと思います。

 1500円と割安で、時間的にも1時間半くらいでサクッと観れるので、映画館に足を運んでみるのもいいかもしれません―—。





【出典】「円谷映画祭2024


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