大決戦!超ウルトラ8兄弟
横浜開港150周年の前祝作品として、2008年に公開された映画『大決戦!超ウルトラ8兄弟』。
ウルトラマンがテレビの中にしか存在しない世界に突如現れた怪獣を倒し、世界を守るため、マドカ・ダイゴが孤軍奮闘する物語です。
閉鎖直後の東宝ビルトのオープンで撮影を行った東宝ビルト最後のウルトラ作品ということで、東宝ビルト閉鎖15年に因み、簡単に紹介させて頂きます――。
この世界を、僕が守る
時は1966年、ウルトラマンの初回放送が始まる中、仲良し3人組のダイゴ、アスカ、我夢の前に赤い靴を履いた謎の少女が現れ、一緒に一番星に願い事をした。
それから25年の年月が流れた横浜では、ダイゴたち3人は子供の頃に一番星に願った夢とは無関係の仕事に就き、日々を過ごしていた。
そんなある日、海上に蜃気楼が現れたことをきっかけにダイゴの身に不思議なことが起こり始める。それは、これから始まる恐ろしい出来事の前触れだった――。
編集後記
この作品のキャッチコピーは「この世界を、僕が守る」。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって、世界中が大混乱に陥り、ISSの落下もちらつかせるなど、地球の平和が脅かされている今の時勢。
平和で何不自由ない世の中では当たり前すぎて素通りしていた何気ない台詞一つひとつが、今では心に響きます。
また、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンAで主人公を務めた黒部進、森次晃嗣、団時朗、高峰圭二。
同じくヒロインを務めた桜井浩子、ひし美ゆり子、榊原るみ、星光子が総出演している本作は、昭和ウルトラシリーズのファンにとっては垂涎の作品。
本作は、ウルトラマンが存在しないパラレルワールドになっているため、ヒーロー役とヒロイン役が夫婦で暮らしているという設定も新鮮です。
そして、ウルトラシリーズ復活の狼煙となった平成3部作のティガ、ダイナ、ガイア。そして、東宝ビルト最後のウルトラマンであるメビウスとの共闘。
ウルトラ作品を生み出してきた美セン、東宝ビルトへの餞的作品といえます。
ちなみに、東宝ビルト最後のウルトラ作品の撮影は、2007年12月22日にオープンセットで行われた本作の爆発シーンの素材撮影でした。
なお、本作のBlu-rayが3月上旬にアメリカのamazonベストセラーランキングで1位になりました。
「なぜ、この時期に?」と不思議な現象ですが、世界平和を願う世界の国々のウルトラファンが購入しているのでしょうか。
今年で開設60周年を迎える美センが「私のことを忘れないで」と訴えているのかもしれません。
ウルトラマン公式チャンネルの登録者数が200万人を突破し、全世界に老若男女のファンを獲得しているウルトラ作品。
ウルトラ作品を通じた強力な世界平和へのメッセージの発出が今、ピンチに陥っている地球に求められているような気がします。
そのメッセージは、作品名にある“メビウスの輪”のように、永遠に伝承され続けるでしょう――。