皆さんは 「ムペンバ効果」 と言う言葉を御存じでしょうか?
これは、特定の条件下では、「湯」のほうが「水」よりも早く凍る
という現象です。
湯の方が早く凍るなんて、手品でも無いのだから、
そんな馬鹿なことはないだろうと常識では考えます。
しかしながら、この現象は数千年前から確認されていた現象です。
アリストテレスは、「水をあらかじめ温めておけば、急速に凍結する」
と言っています。
また、17世紀の科学者フランシスベーコンも、「ややぬるい水は、
完全に冷たい水よりも簡単に凍る」と言っています。
1963年にタンザニアの学生のムペンバは、「あらかじめ温めてから冷凍庫に
入れた方が、アイスクリームは早く凍る」 と言って笑われたそうです。
しかし、実験をすると、本当に早く凍ることが確認されたそうです。
この奇妙な現象を解明しようと、いろんな説が論じられていますが、
今だ決定的な結論には至っていません。
「蒸発説」、「溶解気体説」、「霜溶解説」などがあるようですが、
決定打は今のところありません。
私は、水の体積が約4℃で最も密度が高くなることが、この
問題解決の着眼点の一つになるのではないかと考えています。
固体の氷の方が、ある温度帯の液体の水よりも、同じ体積で
比較したときに軽い、すなわち密度が小さいということです。
氷の密度は0℃で0.9168g/cm3です。
この氷が溶けると10%近く体積が小さくなり、
0℃で0.9998g/cm3の密度の水になります。
そして温度が上昇するにつれて水の密度は大きくなり、
3.98℃で最大密度0.999972 g/cm3なります。
この温度を超えると又密度は小さくなっていきます。
この問題を解決すればノーベル賞ものかもしれません。
然しながら、実質的に何の役にも立たないと思われる理論は、
ノーベル賞にはそぐわないものと考えられます。
リチゥムイオンバッテリーなどの様に、直接役立つものが
求められている現代です。
本当は、直接役に立たないと思われる「基礎物理学」はとても
重要だと考えているのですが………
(しかたない、ノーベル賞は、あきらめるか~)
2020.05.10.moai291(口 ⇒ 口)