PCR検査の自動化について
新型コロナウイルス感染症のPCR検査数が、諸外国と比較して少ないので、
検査数を増やすべきとの議論があります。
単純に検査数だけ増やせば良いものとは思っていませんが、検査数が
増えない理由の一つは、習熟した検査技術者が限られた人数しかいない
点が要因の一つとして考えられます。
検査技術者の養成には、時間がかかります。
そこで、検査数を増やすためだけなら、PCR検査の自動化が有効と
考えられます。
1、現在実施している検査方法 (RT-PCR法)
新型コロナウイルスに対するPCR検査は、
(1)検体採取→(2)ウイルス遺伝子(核酸)抽出→(3)ウイルス遺伝子増幅→
→(4)増幅産物検出→(5)成績の確認・評価
この中で最も人手を必要とする行程は、ウイルス遺伝子の抽出です。
ウイルス遺伝子抽出は非常に手間がかかり、コンタミネーション(汚染)や
検体の取り違えなどが起きやすいので、この方法では、多数の検体数を
こなすことは困難です。
また、このPCR検査は、熟練した検査技術者以外には困難なので、
人材が不足しています。これに対応するには自動化しかないと考えられます。
日本はいまだに利益団体と政官財の利権構造等により、新しい機器等の
認可にはかなりの時間を要する現況にあります。
そのため、日本にはPCR検査の核心的な技術がありながら、
それを有効活用できないおかしな現状にあります。
2、自動PCR検査装置
スイシのロシュ社の全自動PCR検査機器の中枢部分には、
日本のPSS社(プレシジョン・システム・サイエンス社)の技術が
組み込まれています。
検査者の手作業に頼るPT-PCR検査では6~12時間を要します。
しかし、ロシュ社の全自動PCR検査機器では、2時間位で検査が
終了します。
然しながら、このスイス・ロシュ社の全自動PCR検査機器や試薬は、
今だに厚生労働省から認可されていません。
海外ではすでに使用され、実績もあるのに、国内では使えない現状にあります。
早期の認可は出来ないのでしょうか?
レムデシビルは、国内初の治療薬として承認されたのに。
(2020年5月7日に特例承認されました。)
自動PCR検査装置は、なぜ早期に認証されないのでしょうか?
やみくもにPCR検査を実施することについては、諸々の理由から
全面的な賛同は致しませんが、検査数の増加だけを目的とするなら、
全自動PCR検査機器に頼ることも必要と考えられます。
2020.05.11.moai291(口⇒口)