翠(=イブ=ミロク) の語りの続き
(インドでの前世話の続き
覚醒した彼女は、2008年頃から数年間、エピソードを思い出すたびに、「鳳凰録」と名付けたノートに記録した
今回の一連の連載では、ノートにはなくても、更に詳しく思い出した箇所も含んでいる)
…父の許可を得た私は、自室に戻ると少しの衣類等を小さくまとめ、白い布に丸くくるんでから部屋を出た…そして古くからいる召し使いに、水の入った水筒を頼んだ
その召し使いにだけは、家を出ることを告げた
彼は悲しそうだったが、この所の私と父の態度からいろいろ察したようだった
それで、出口でうやうやしくお辞儀をして見送った
…私は夜空の下でうす青く見える自分の家を遠ざかりながら振り返り、あの中に父や召し使い達がいるのだと思いつつ気持ちを吹っ切り、前を向いた…
私には出家前にぜひ会っておきたい身内がいた…
既述したことのある、従兄のコーンドラーントだ
彼とは仲良く、親友のようになっていた
私より一足早く、神官見習いの仕事についており、町である神官の家に居候しているらしかった
突然で悪いと思ったが、そこを訪ねた…
やや夜遅く石造りの建物の裏口へ行って来訪を知らせると、コーンドラーントが驚いたようすで中から出てきた…
私は彼を促し、近所にある他の建物の、目立たない引っ込んだ戸口の所へ移動した
コーンドラーントは戸口のくぼみの一段高い石の台に乗ったので、私を見下ろす形になった
「一体どうしたんだ、こんな夜に、」
とコーンドラーントは少し心配そうに小声で聞いたが、私の落ち着いた態度からは、安心感も得られたようだった
私は簡単に、一切を話した
これからお釈迦様の所へ行くこと、もう、家には戻らないことなどだ
「ーーそれはまた、思いきったことをーー、」
とコーンドラーントは言って、しばらく押し黙った…それから、
釈迦の事はいろいろ聞いてる、お父上は寛大だなーー、という意味のことを言い、互いに進む道は違うが、お前の無事と大成を祈ってるよ、と答えた
私は彼を見上げ、
「どうもありがとう…これしか言えないが、君と知り合えて、本当によかった…ありがたかったよ…
どうかお幸せに、無事を祈るよ、」
と私は心を込めて言うと、互いに握手を交わした
そして、きびすを返して行こうとすると、後ろからコーンドラーントが声をかけた
「待てよ…俺に見送りなんか、させるな、俺が先に帰る、」
と言って、彼はさっと身を翻すと、建物の角を右へ曲がり、姿を消した
今にして思えば、彼が年上だから、というよりは、私の遠ざかる姿を見たくないと、いうことだったのだろう…
そして、私は出立した
国之常立神より
どうもありがとうございます
細かい事を思い出すのに時間がかかったようですね
今回は、友情物語ですが、このコーンドラーントは、翠さん (当時はメッテッヤという名) にとっては特に意味のある人で、また後日解説いたします…
その他の人々についても、関わりの深い人もございます…では、
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