女ひとり、歳をとる。

お金なしの60代、犬2匹と同居中。

二トラム。

2022-04-07 22:53:05 | 映画

 

きのう『二トラム』を観ました。

オーストラリア・タスマニア島で起こった無差別銃乱射、

35人が死亡し、15人が負傷した事件を映画化しています。

小さなころから二トラムという蔑称で呼ばれていたマーティンの、

情緒不安定な日常を淡々と描いています。

二トラムはマーティンのアルファベットを逆読みしたもの。

 

毎日住宅街の中にある自宅で花火をあげるマーティン。

隣家からは怒りの罵声が毎日あびせられます。

そんなマーティンに両親は半ば諦め気味、

興奮すると大声を上げて暴れるので、抗うつ剤の投与が続いていました。

通院に付き添っていた母親は、

主治医から投薬はマーティンのためか自分のためかと聞かれます。

少しためらってマーティンのためと答えます。

でも、家族なら毎日毎日何かの問題を起こす息子を、

少しでも静かにさせておきたいと思う気持ちは当たり前だと思います。

 

マーティンは芝刈りのバイトで出会ったお金持ちのヘレンと暮らし始めます。

周りから変人扱いされていたマーティンを、

母親ほど年上のヘレンは彼女なりのやさしさで接します。

それは恋人ではなくて、母、親友、仲間と言った感覚でしょうか。

いつも口うるさく厳しい母、そんな母には頭が上がらない父。

血のつながった家族よりも、ヘレンはつながっていたのかもしれません。

 

家にも、バーにも、ビーチにも、どこにも自分の場所がなかったマーティン。

小さいころ父親からもらったエアガンを撃ち始めます。

次第に上達して的はほぼ的中。

ヘレンの死の後、何十丁銃を買い求め、

そしてマーティンはすべての銃を持って出かけます。

 

なんだかとても重い映画でしたが、

マーティンを演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズのすごさ、

上質の映画を観たという気持ちが強い映画でした。

でも、次は明るくて楽しい映画を観たいと思います。

 

ポスター画像

 

 


ポンペイ2,000年前の暮らし。

2022-04-02 23:07:23 | 日記

 

先日『ポンペイ展』へ行ってきました。

あしたで東京の開催は終了して、4月21日からは京都の開催になります。

西暦79年イタリアのヴェスヴィオ火山噴火によって、

古代ローマの都市ポンペイが地中に埋まりました。

その当時の人々が使っていた道具、

フレスコ画、モザイク画、いろいろな像が展示されていました。

写真撮影がOKだったのですが、とにかく展示物のすばらしさに見入ってしまい、

1枚も写真を撮れませんでした💦

 

道具の精密さにはびっくりしました。

それに、ただの道具なのに、細かい装飾がなされているのにはさらにびっくり。

ポンペイの人たちのクリエイティブを追い求める気持ちが、

少し分かるような気がしました。

溢れそうになる創造力を押し止めることはできなかったのでしょう。

テーブルの脚はみなライオンの脚になっています。

今なら猫脚のバスタブみたいなものでしょうか。

 

モザイク画の細かさと美しさにも息をのみました。

もちろん、モザイク画だけに携わっていた人が作成したと思いますが、

あれだけの数を作るのには、何人の作家や職人がいたのでしょうか。

モザイク画の小さなピースの細かさ、色調の美しさ、

小さいものから大きなものまでどれも見事です。

一番大きなアレクサンドロス大王のモザイクは、

ナポリ考古学博物館で修復作業中なので展示はありませんでしたが、

実物大の画像が床に敷かれていました。

 

いろいろな像がある中で、アウグストゥスの胸像は印象に残りました。

ポンペイから少し離れたエルコラーノの出土とありました。

エルコラーノはポンペイのような大きな町ではなくて、

貴族の別荘や保養地の町だったようです。

この胸像をどういった意味で家に置いていたのでしょうか。

アウグストゥスと関係のある貴族だったのでしょうか。

とってもハンサムなブロンズのアウグストゥス、

レプリカでいいのでほしいと思いました。

 

13年前、ポンペイ遺跡に行きたくて、

南イタリアの世界遺産を巡るパックツアーに参加しました。

7、8か所を回ったと思いますが、

ポンペイ遺跡はとても印象深く心に残っています。

ツアーでは現地のガイドをつけなくてはならなくて、

英語で話すイタリア人ガイドの説明を添乗員が通訳するという、

ちょっとまどろっこしい説明でした。

でも、ポンペイでは、日本の女性がガイドをしていました。

ポンペイ遺跡に惚れ込んで現地でガイドをしているということでしたが、

言葉がすぐに分かるし、何よりも、説明がとても熱心でした。

ナポリ考古学博物館では、

「閉館まであと5分、まだ観られますから行きましょう!」

と言ってツアーのみんなを熱く誘導、

イタリア人の緩いガイドに慣れていたので感激しました。

2,000年前のポンペイの人たちが生きていたと実感できた旅。

そんなことも思い出したポンペイ展でした。

 

ポンペイ展お土産は『辻音楽師』と『猛犬注意』のマグネットを買いました。