シニア人生

第2の人生:ゆっくり あわてず 素直に 生きよう~!

創作童話

2013-03-06 07:21:02 | Weblog
ようやくに 収まる雪に 心撫で

今日はリニアルした創作童話を読んで頂けたら嬉しいです♪

小熊のぼうけん




ほそや よういち



  うららかな春の日差しが、山の森にも入りこんできます。


かわいていた笹の葉も、少しずつ緑色になってきた山の中でした。


、ザワザワと 笹の葉のこすり合う音が聞こえてきます。


 「お~~い・でているかあ~。」


 「こっちはでてないな~。そっちは~?


わらびやぜんまいなどの、山の幸をとりにやってきた人たちが、互いに声をかけ合っていたのでした。


 そして このようすを心配そうに じーっと見守っている黒いかげがありました。


おおきな影と小さい影が、ありました。


熊の親子でした。


「また人間達が来たわ・・。こわいからかえりましょうね。」 お母さん熊はいいました。


 「 お母さん、ぼくまだ腹いっぱいにならないよ~ん」 


小熊は 不満そうにお母さんにいいました。


 「でもね・・。人間は、とてもこわいのよ。なんにもわるいことしていない私たちを見つけただけで、おおさわぎしてつかまえようとするの・・。だから見つからないうちに、お家に帰りましょうね。」


小熊は、冬の間、雪の中のくら~い穴の中で生まれ、初めてお母さんと、食事に出かけてきたのです。


おうちから、お母さんのあとをついてきて、ようやく木の実を食べたばかりでした。


もっと、もっと食べたかったのですが、お母さんのあとについて帰ることにしました。


 一つこえ、二つ山をこえると人間の声も、きこえなくなりました。


小熊は、少し腹がへっても、お母さんと食事したことが、とてもうれしくって  穴の中の家に入ると、すぐ眠ってしまいました・・。


 次の朝・・。  


小熊が目をさましたら、お母さんはいませんでした・・。




どこへいったんだろう?   


キョトンとしてあたりを見まわしました。


「きっと、お母さんきのうは、人間たちと出あいそうになったから、お母さんだけで、木の実をとりに行ってくれているんだ」と小熊は、そう思い、ずーっとくらい穴の中で待っていました。


でも、お母さんは、お昼をすぎても帰ってきませんでした・・・。


小熊は 心配になっておかあさんを、さがしに出かけることにしました・・・。


きのう、いっしょに木の実を食べたところまできましたが、お母さんはみつかりません。


もう少し、いってみよう・・。


小熊は、 すこしずつ人の住んでいる方へとおりて行きました。



どのくらい歩いたでしょうか・・?


くたびれた小熊は、ここが、どこかもわかりません。


そして山とはちがった、平らな場所にでてしまいました。


それでも、小熊はお母さんをさがそうと、あたりをキョロキョロみまわしながら歩いていました。


 「お母さん・・・。」


すこしずつ暗くなりかけてきて、さびしくなってきた小熊の目の前に見えたのは、小さな小屋でした・・。 


中へ入ってみました。                 ずーっと,おくのほうまで行ってみました。


たくさんのわらが、つまれていました。


そ~と前足で、触れました。、


やわらかくって、おかさんの胸に、だかれているような感じになりました。


くたびれた小熊は,わらの上に横になると、すぐにうとうととねむり始めていました。


そのころ、外では


「きょう、熊が歩いているのを見かけましたので、みなさん,気をつけてください」


と、スピーカーをつけた自動車が、小熊のいる小屋の前を、大きな音を出しながら通っていきました。


小屋の中では・・・。


 「お母さん、おいしいね~♪ ムシャ・ムシャ」


きのうお母さんと、食事をしていた夢を見ながら、小熊は目からは、大きい涙を、たくさんながしていました。




 そんな時でした・・・!


 「いたぞー!ここにいたぞ・・!」


  「むむむっ?眠っているようだな」


 「お~う・子どものようじゃな~?」


  「子どもか~・・・・。おりに入れておいて、あしたの朝になったら山にはなしたら、よかんべ・・・。」




 次の日の朝・・・。


まだ朝陽も登らない山は、朝もやが、かかっていてぼんやりと見えました。


小熊にはまた、きのうのこわさが、からだ中に伝わってきて、ふるえが止まらなくなりました。


そして、なんにもわからないまま、おりに入れられた小熊は、原っぱへと運ばれてきました。


 始めて見るこわそうな目が、たくさん小熊を見つめていました。


その時です。


おりの入り口が開かれたと思ったら


「キャン!キャン!」 「う・・!」という犬のほえ声が、小熊の、おしりの方でします。


 


小熊は、こわくて、ただもうこわくて、どんどん、どんどんと山の方へと走って行きました。


どこをどう走ったのかわかりません・・。


山をいくつこえたかもわかりません・・・。


 小さな小川の流れる川に出ました。


汗をたくさんかいた小熊は、休んで水を飲もうとしました。


水を飲んで、ゆっくりしたら、またさびしくなって、お母さんをおもいだしました。


すると、後ろからポン、ポンと肩をたたかれました。


ふり向くと、お母さんです!


「お母さん、どこへいってたの~~?」


泣きながら、きのうのこと、朝にあったできごとを、すべてはなしました。   

 


お母さんは、うなずきながら、話しをきくと


「私の可愛い小熊ちゃん、しんぱいかけてごめんさいね。おかあさんんは、人間が来ることのできない、おおきな森をさがしていたのよ・。その森をようやくみつけたわ~♪」


と、いって川岸の向こうの森を指さしました。


光かがいた大きな森が 親子の熊の前にありました。


おかあさん熊と小熊は、よりそいながら、ゆっくりと川を渡り始めました。


とってもきれいな、天の川のような川でした。


渡りきった熊の親子は、たくさん実のなっている山へと、うれしそうに入っていくのでした。


森の入り口には、「動物たちの森」人間は、はいれません!という立て看板がありました。


夕方になり、一番星が、東の空に光りだしました。


もう少し、暗くなると、おおきな山が、明るくなるくらいのたくさんの星が出てきました。


あのお星樣の下の、どこかの山で、熊の親子は、明日から 人間をこわがらないで、たくさんの木の実を食べることが、できるようになるのでしょうね~~♪ 








「後記」

 最近、熊の出没、被害が相次いでいます。


これって熊や猿ばかりが悪いのでしょうか?              


スーパー林道、高速道路、宅地開発と,人間が動物の領域を荒しているようにも見えます。


里山の消滅も原因しているとも思えます。




地球は、人間の為だけにあるものではない!


生物全体の物として考えたいですね。

コメント
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