TBSの番組で、司会者は「ご覧の番組で言いづらいのですが、水戸黄門(光圀)の大日本史編纂のせいで水戸藩の財政は火の車」と言っており、光圀没後16年たって養子の綱條がその負の遺産を背負っていたことが述べられていた。
テレ東で水戸黄門が悪人だったことを描いた歴史バラエティがあって、朝日新聞のテレビ欄では「水戸黄門、篤姫など他局の時代劇の主人公が槍玉に挙がっているのは何かの陰謀か」と評していた。
だがTBSでも水戸黄門の実像に触れるとマイナス面も言わないといけないようだ。
なお、この番組で吉宗をテレ朝の『暴れん坊将軍』のイメージと結びつけて紹介していたが、TBSとしては『大岡越前』で山口崇が演じた吉宗を例に出すべきだったかも知れない。
なお、次の『今夜はヒストリー』では吉宗の大奥大改革がテーマである。
TBSは『水戸黄門』を打ち切ったが、こういう時代劇風コスプレを混ぜたバラエティで歴史を描くことは続けるようだ。
制作費がかかる時代劇から撤退したテレビ局にとってはこれが限界なのだろう。
ところで新井白石と間部詮房による正徳の治についての説明で、スタジオのタレントたちが「側用人」という詞(ことば)を初めて聞いたと言っており、これは少し驚いた。側用人はどうも秘書のような立場らしいが家重の時代にも大岡忠光が側用人だったはずだ。これは『影の軍団II』『逃亡者おりん』で描かれている。
『水戸黄門』で存在が前提となっている「副将軍」が虚構であることがここでわかる。
正徳の治の時代の「水戸黄門」は綱條であった。
もし家宣や家継の時代に綱條が「副将軍」だったら正徳の治に参加していたはずだが、その様子はなく、新井と間部は「副将軍」でなく「側用人」であった。
綱條も家宣も『水戸黄門』に時々登場している。
この『今夜はヒストリー』の時代劇風の映像は番組のオリジナルだが、『水戸黄門』や『大岡越前』の映像を使ってほしかったところである。それをするのも肖像権などで金がかかるのだろう。
時代劇は放送文化と言われながら所詮は商賣の道具である。
関口宏はナショナル劇場と縁があるが、もっぱら『江戸を斬るII』以降の西郷輝彦主演のシリーズに同心役で出ていた。
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