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ドラえもんは歴史を変えるための存在だった

「未来の国からはるばると」を見るとドラえもんはのび太の未来を変えるために来たことがわかる。
2112年生まれのドラえもんにとって、のび太の「未来」は「過去」であるから、ドラえもんは過去を改変していたわけだ。

初期の原作では時間旅行法規制法の制定でドラえもんが未来へ帰る話が作られた。

「のび太のおよめさん」でのび太の未来がのび太の理想通り(結婚相手がしずか)と確定した時点でドラえもんの役目は終わり、「さようなら、ドラえもん」につながった。
「帰ってきたドラえもん」で再びのび太と同居することとなったドラえもんだが、ウソ800の効果で再びのび太を補佐することになったドラえもんは、当然ながら、今度は歴史が変わるのを防ごうという、以前と逆の方向に舵を切っている。

まるで革命で政権を取った政府が今度は新たな革命を潰そうとするように。

自分たちが変えた歴史がまた元に戻るのは困るというわけだが、ある意味で身勝手ではある。

ただ、ドラえもんは最終的にのび太の将来はのび太次第として距離を置くようになった。
1981年の「のび太の結婚式?!」を見ても、ドラえもんはのび太の歴史を変えるために来たことがわかる。

恐竜狩りや歴史改変が悪の所業となった大長編以降にドラえもんを見た世代は、初期の作品を見て「ドラえもんに矛盾がある」と意外に思うだろうが、初期作品をリアルタイムで見た世代にとってはそれはドラえもんの変化なのである。

てんコミ7巻石器時代の王さまに」(1971年『小三』10)でのび太は文明の利器を原始時代に持ち込んで支配者になろうとして失敗した。
ずっと後の作品である「のび太の日本誕生」(1989年劇場公開)でドラえもんはスネ夫とジャイアンに「石器時代の人が鉄器を使ったら歴史がめちゃくちゃになる」という趣旨の台詞を言っている。

大長編が定番となってから生まれた世代が、この「日本誕生」を先に見て、後になって「石器時代の王さまに」を見ると、のび太がギガゾンビのようなことを言いながらドラえもんが止めない様子を見て驚くかも知れない。「石器時代の王さまに」はアニメで何度かリメイクされているが、これを「日本誕生」の前の作品だと知らない「大長編ドラえもん世代」はどう思っただろうか。これを「『日本誕生』を無視したスタッフによる勝手な創作」かと勘違いした人もいるかも知れない。

1980年代以降の大長編は、1970年代ののび太やドラえもんが試みて失敗したことを作者が「悪玉の犯罪」に置き換えた作品で、表面的な設定は矛盾しているが、メッセージは同じであろう。

ドラえもん「石器時代の王さまに」リメイク版補足 - Yahoo!ブログ
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